スペクトラムアナライザー(スペアナ)の使い方
AMワイヤレスマイクの出力波形を測定する為に、スペクトラムアナライザー(スペアナ)をローデ・シュワルツ・ジャパン(株)様からお借りしたので、久々にスペアナを使ってみました。スペアナの基本的な使い方です。
スペクトラムアナライザー(スペアナ)とは
スペクトラムアナライザー楽天 (Spectrum analyzer)(スペアナ)とは、横軸(X軸)に周波数をとり、縦軸(Y軸)に電圧または電力波形をデシベル(dB)表示するオシロスコープに似た測定器です。略してスペアナと呼ばれています。デシベル(dB)表示ですから、電圧と電力の区別はありません。(例えば20dBなら電圧で10倍、電力で100倍です)
簡単に言えば、周波数成分を見ることができる測定器です。スペクトル分析器とも呼ばれています。電磁波の電界強度測定器として使われることが多いと思います。
Rohde&SchwarzのスペクトラムアナライザーFSL18
この写真は、CQ出版社を通して、ローデ・シュワルツ・ジャパン(株)からお借りしたスペクトラムアナライザーFSL18です。
高価なものなので、とても個人で買えるようなものではありません。
スイッチを入れるとWidowsXPが立ち上がりました。これはコンピューターそのものです。マウスを付ければマウスで使えるのかもしれませんが、試してはいません。右のカーソルで操作しました。
R&SのFSL18の主な仕様
- 周波数範囲:9kHz~18GHz
- I/Q復調帯域幅:28MHz
- レベル測定確度:<1.2dB(18GHzにて)
- 分解能帯域幅:1Hz~10MHz(ゼロスパンにて20MHz)
- 高速測定:
測定スピード:80スイープ/秒(ゼロスパンにて)
周波数カウンタ:分解能0.1Hzで<50ms - 多様な測定機能:パワー・センサ接続によるパワー測定、雑音指数/ゲイン測定、AM/FM/PhiM復調、他
- サイズ (W x H x D):342.3mm × 158.1 mm × 367.0 mm (ハンドルを除く)
- 重量:<8kg
スペクトラムアナライザーの一般的な使い方
- 電源を入れます。
- 水平軸のセンター周波数を決めます。
- スパンの周波数幅を決めます。この時、左端の周波数がゼロ又はプラスになるようにします。
- 左端の周波数がマイナスになるような設定は無視されます。
- 測定する信号を入力端子に接続します。
- 測定端子の入力インピーダンスは50Ωのものが多いので、インピーダンスマッチングを取る必要があります。高い周波数では特に注意します。
- 垂直軸のアッテネーターを調整して見やすいようにします。
- RBW(Resolution Band Width)(スペクトラムアナライザーのIFフィルタの帯域幅)を目的に応じて設定します。
- このRBWの設定によってノイズやバンド幅の広いエネルギーの測定値に差がでることがありますので注意します。
- VBW(Video Band Width)は検波回路の後ろにあるフィルタで、表示波形のノイズを除去して見やすくするように調整する場合もあります。
スペクトラムアナライザーで測定したAMワイヤレスマイクの出力波形
私が設計製作した AMワイヤレスマイク の出力のRF信号をスペクトラムアナライザーで測定したものがこの波形です。
AMワイヤレスマイクを1.5kHzの正弦波で約25%変調した時のものです。
この横軸はセンター周波数が700kHzで左端が687.5kHzで右端が712.5kHzです。
700kHzプラスマイナス1.5kHzの1次上下側帯波のレベルは700kHz 搬送波楽天 のレベルに比べて約-18dBとなっていて、ほぼ理論通りです。奇数次の上下側帯波にレベル差があるのは、FM変調成分の為です。
700kHzプラスマイナス3kHzの上下2次側帯波のレベルは1次上下側帯波のレベルに比べて約-40dBとなっています。これは、AM変調器の変調の直線性によるものと、残留FM変調成分によるものと思います。
でも-40dBなら電圧で1/100、(1%歪みに相当)、電力で1/10,000なので問題はありません。AM変調の総合の歪み率で1%以下にするのは一般的にとても難しいものです。簡単な回路でこの性能ならまずまずです。
スペクトラムアナライザーの特徴
- 無線機や送信機の送信波の電力や電圧を測定したりそのスプリアス(不要輻射成分)を測定したりします。
- 受信機等の局部発信信号強度やそのスプリアスを測定したりします。
- 電波の電界強度を測定するのにも使います。
- 電子機器の不要輻射強度を測定するのにも使います。
- 入力端子はN型コネクタになっていて、普通は50Ωでまれに75Ωのインピーダンスとなっているものがあります。