電柱交換と高電圧迂回工事

我が家の近所で電柱を交換する必要があり、6600Vの負荷開閉器を使った、高圧をケーブルで迂回しての電気工事がありましたので見学しました。6600Vの工事でも停電範囲を最小限にする工事には、かなりの手間と危険が伴いますが、それを手際よく作業しているのには感心させられました。

負荷開閉器の設置と高電圧の迂回(うかい)

負荷開閉器の設置と高圧の迂回

我が家の近所で、古い電柱を新しいものに交換する工事が何日もありました。新しい電柱を立ててからトランスなどの機器も新しくして、最後に高圧電線を古い電柱から新しい電柱に移転するのです。(株)中電工が工事をしていました。

私は6600Vの高圧電線をどのようにして移動させるのか、大変興味がありました。

この写真のように、工事する区間の古い高圧電線を一時的に仮設の 高圧ケーブル楽天 で迂回(うかい)させるのです。この為の高圧負荷開閉器を2個電柱に取り付けして配線します。

この電柱の左下付近に2台の高圧負荷開閉器があります。この電柱から左の部分の高圧線を移動させるのです。

何故2台の高圧負荷開閉器が必要になるかと言うと、従来の高圧線を入り切りするものと、迂回させる高圧ケーブル線を入り切りするものの両方が必要だからです。

右側の常時電気が来ている高圧線にクリップで6箇所仮のケーブルを接続しています。これは2台の高圧負荷開閉器に並列に接続されています。手前の負荷開閉器から従来の高圧線に接続し、奥の負荷開閉器から仮設のケーブルで高圧を迂回させています。

この電柱の左の方の何百メートルか先にもこの写真と同じように高圧ケーブルを迂回させる為の工事をします。

高圧負荷開閉器の設置と高圧を迂回する回路図

高圧負荷開閉器を設置して高圧を迂回する回路図

この画像が高圧負荷開閉器を設置して高圧を迂回する回路図です。

停電させて工事をする起点と終点に高圧開閉器を合計4台設置して、それらを切り替えることによって、停電させずに高圧を迂回することができます。

まず、最初は電柱上の高圧線で電気を送っていますが、上側のスイッチ(高圧負荷開閉器)を入れてから、赤色で示した高圧線の6箇所を切断します。

その後、下側のスイッチを入れてから、上側のスイッチを切ると電柱上の高圧線には電気が流れなくなります。このようにすると、電気工事をしていない所を瞬時も停電させることはありません。

6600Vの電柱には何故腕木が2本必要なのか

この上の最初の写真の電柱の天辺には、高圧線を支持する為の腕木が2本平行に取り付けられています。電柱によっては腕木が1本の所もあります。

この2本の腕木の必要性がこの回路図を書いていてわかりました。高圧ケーブルの迂回をする時、この腕木と腕木の間で電線を切ったりつないだりする必要があったのです。

2台の高圧負荷開閉器の取付けとその配線

2台の高圧負荷開閉器の取付けとその配線

電柱の上に2台の高圧負荷開閉器を取り付けて、その配線をします。

右側の常時電気が来ている高圧線にクリップで6箇所に仮のケーブルを接続しています。これは2台の高圧負荷開閉器に並列に接続されています。

手前の負荷開閉器から従来の高圧線に接続し、奥の負荷開閉器から仮設のケーブルで高圧を迂回させています。

この仮設のケーブルは地上に置いていたり、電柱から電柱に空中を配線したりしていました。

スイッチは手動で下から紐で操作するようになっています。

高圧負荷開閉器のアップ写真

高圧負荷開閉器のアップ写真

電柱の上にある高圧負荷 開閉器楽天 を見ると小さいように見えますが、地上にあるのを見るととても大きなものです。これは負荷が掛かった状態でもスイッチの入り切りができるものです。

また、電線の接続部分はとても大きく、絶縁に配慮されているのが見て取れます。

何故、6600Vの高圧線が3本線で配線されているかと言うと、交流の配電は3相交流だからです。3本線で1セットになります。従ってスイッチの操作も3本一度に行います。

高圧を迂回させてからの高圧電線の移動などの作業

高圧を迂回させてからの高圧電線の移動などの作業

高圧を仮設のケーブルで迂回させたら、いよいよ高圧線の移動です。しかし、その前に、高圧が来ていない事を確認してから、アース線を高圧線に取り付けます。これは安全確認の為には非常に重要です。

この写真では、バケット車2台と作業員5人が同時に電柱の上で作業をしています。工事にはバケット車4台、それ以外の車両6台、人員約15名で作業していました。

高圧線を移動させたり、電線の張りを調整したりしていました。電線が長ければ切ります。短かければ電線を足してやります。

停電時間を最小限にする為に、手際の良い作業が求められます。また、安全には特に気を付ける必要があります。作業の監督者が大きな声で指示を出していました。

既設の負荷開閉器を使う場合は仮設の負荷開閉器は1台だけ

既設の負荷開閉器を使う場合は仮設の負荷開閉器は1台だけ

この写真は、既設の負荷開閉器を使った場合の迂回路の配線です。

上の高圧真空負荷開閉器は、元々この電柱に設置してあったものです。この下に仮の負荷開閉器を取り付けて、空中を飛ばして仮設のケーブルを配線しています。

この仮設ケーブルは約100mから200m引っ張ってありました。この区間の高圧工事をする時は、いちいちこのケーブルと高圧負荷開閉器を取り付ける必要があります。

とても手間が掛かり、危険な工事だという事を再認識しました。