アース、接地の等電位化(接地を相互に接続)
落雷等で各機器のアースの電位が大きく異なると、この電位差によって電子機器が破壊されてしまう場合があります。これを防ぐ為に、建物内でのアース電位を全て同じにすることが行われています。これを接地の等電位化と呼んで、ボンディングや一点アース等の方法で行います。
従来の個々に接地する方法とその問題点
従来、建物の 通信機器楽天 や設備機器の接地はそれぞれ単独で接地工事をするのが普通の工法でした。接地抵抗値も各機器によってそれぞれ異なっているのが普通でした。
例えば、避雷針は5オーム、分電盤の接地は30オーム、通信機器は50オーム、洗濯機は80オーム等のように、すべてバラバラの場合もあるし、何種類かは同じ場合もあります。
この場合、例えば避雷針とか、近くの別の建物に落雷があった時、地中に大電流(数百アンペアとか数千アンペア等)が流れて、各機器のアース(接地)電位がバラバラの高電位になることがあります。
その結果、接地極の電位が同じアースにもかかわらず別々の電位となり、この電位差が大きくなるので、様々な機器が破壊されることがあります。
その一例として、アース間の抵抗が1オームとすると、その間に数千アンペアの電流が流れれば、アース間には数千ボルトの電圧が発生します。抵抗値が大きければもっと大きな電圧になります。
最近の接地方法、接地の等電位化
落雷等で各機器のアースの電位が異なると、この電位差によって各機器が破壊されてしまう場合があります。
例えば、電話機器等の通信機器の場合、電話線の引込線は、アレスタ(避雷器)により接地されています。そして、通信機器には別の系統の接地がしてあるとします。
そうすると電話線と筺体間や電話線とAC100V間には、落雷時にはとても大きな電位差が発生し機器が破損する場合があります。
これを防ぐ為に、建物内でのアース電位を全て同じにすることが行われる場合があります。これを建物の接地の等電位化と呼んで、ボンディングや一点アース(統合接地)等の方法で行なっています。
大地アースとシャーシアースと雷による機器の破壊
普通にアースと言えば、この回路図のように、大地アースと機器のシャーシアースとの2種類があります。各種通信機器や電気機器などの内部では、この図のようなシャーシアースを通常の機器のアースとして使用しています。
この機器のアースを、機器の動作安定や雷などのサージから守る為に、更に、大地アース極(大地に埋めた接地電極)に接続するのが普通です。
前記のように、この大地アースの電位が機器によってバラバラでは、雷などの大きなサージエネルギーで機器間のアース電位が異なることになります。
この場合、個々の機器でサージ対策がしてあっても、機器相互間のアース電位が異なっては、機器相互が共通の電源や信号線などで接続されていると、機器が破壊される可能性があります。
等電位ボンディングとは、その方法
等電位ボンディングとは、各通信機器や電気機器や電気設備を火災や破壊やノイズの防止や動作の安定の為に行うものです。
等電位ボンディングは各機器のアース間を直接導体によって接続するか、サージ保護装置(避雷器、アレスター)によって接続する方法です。
異なる機器間のアースを直接導体で接続すると、アース間で迷走電流が流れて、予期しない様々な問題や不明なノイズの発生が起こる可能性があります。
これらの問題を防止する為に、サージ保護装置(避雷器、アレスター)を使ってアース相互を接続することもあります。そうすると、通常はそれら相互のアース間に電流が流れることはありません。
アース間を直接導体によって接続する方法
各機器のアースは別々に設置して、そのアース間を直接導体によって接続する、等電位ボンディングは接地極が全て並列になるので、全体の接地抵抗を更に低くすることができます。
この場合、ボンディングに使う電線はそのアースシステムで使っている最大の太さ以上の電線を使用する必要があります。
この方法はアース同士を接続すると、何らかの不具合(予期しない様々な問題やノイズの問題)が起こる場合は使うことができません。
個々の機器に雷対策機器(避雷器、アレスタ等)を用いる方法
各通信機器や電気機器や電気設備に個々にサージ保護装置(避雷器、アレスター、サージプロテクタ、SPD:Surge Protective Device)を取り付けます。
そして、それらのアース(接地)同士を接続して、共通(統合接地)にすることにより、各機器を火災や破壊から守る方法です。
この場合、アース(接地)を共通にして、接地抵抗を小さくしておくことが最も重要です。各機器のアースが別々ではあまり効果はありません。
アース間をサージ保護装置等で接続する方法
各通信機器や電気機器や電気設備のアース極(接地極)同士をアースバランサーというサージ保護装置(避雷器、アレスター等)で接続する方法です。
接地抵抗値は従来のままですが、各機器のアース電位の差は避雷器の動作電圧以上の電位差にはならないようになります。
この方法はアース極(線)同士を直接は接続しないので、予期しない様々な問題や不明なノイズの発生が起こる可能性はまずありません。