エアコンやパソコンで感電
電気製品のアース(Earth)接地は感電の防止には非常に効果があります。故障していない電気製品でアース(接地)していなくて感電したことはありませんか。私はシャープのエアコンの取り外し中に気持ち悪いほど感電しましたのでその原因を調べてみました。
故障していない電気製品でも感電します
この図の電柱の上にあるトランスの2次側とトランスの鉄心は電柱の所でアース(接地)されています。
最近のインバーターエアコンは左の図のように ノイズフィルター楽天 回路が使われています。コイルLはキャンセル巻きされたフェライトコアのコイルです。このLとC1,C2,C3とでローパスフィルターを構成しています。
コンデンサC1,C2はエアコンの外装金属部に接続されています。普通のエアコンはこの金属部をアース(接地)するのが常識ですが、マンションの上階部等ではアース端子が無い場合があり、アースしていない物もかなりあります。
C1=C2の場合、約50Vの電圧が人体に掛かります。C3は感電には無関係です。
ノイズフィルターのコンデンサによる感電
この図はエアコンのノイズフィルターのコンデンサによる感電を説明したものです。
鳳・テブナンの法則によって等価回路は左の図のようになります。感電していない時の外装金属部の開放端電圧は100V電源の半分の50Vになります。また、電源を短絡した時の外装金属部と電源の間のインピーダンスはC1+C2になります。
エアコンに限らず、パソコンや冷蔵庫でも最近はインバーターやスイッチングレギュレーターを使用しています。このノイズ防止(不要輻射対策)にノイズフィルターを使用している製品が増えています。最近はこの回路に比較的容量の大きなコンデンサが使用されているものがあります。これらの製品でも同様に感電することが容易に想像されます。
この場合、感電を防止するにはアース(接地)をするのが最良なのは言うまでもありません。アースをすることはノイズ防止にも効果があります。
ノイズフィルターコンデンサの実測と感電電流の計算
シャープエアコンAY-S22BE1の場合
私が感電したシャープエアコンAY-S22BE1での実測値は、C = C1+C2 = 0.016μFとなりました。(測定はMETEXのM-3860Mでコンデンサの容量測定機能を使用しました)
このコンデンサCのリアクタンス Z を計算すると
Z = 1/2πfC ≒ 166kΩ となります。(f = 60Hz)
人体とその接地抵抗を無視して人体に流れる最大の電流 I を計算すると
I = 50/Z ≒ 0.3mA となります。
0.3mAと言えばビリビリと気持ち悪く感じるはずです。エアコンを取り外した時の感電状況は、マンションの3Fの室外機に素手で触ったときです。足元はコンクリートでスリッパを履かずに靴下だけでした。靴下は汗で少し湿っていました。エアコンはアースをしてありませんでした。
こんな状態では気持ち悪くてエアコンの取り外しはできないのでスリッパを履いてやりました。手袋でも絶縁は良いはずです。
エアコンの取り外しにはポンプダウンが必要なので、その作業中にはコンセントを抜くわけにはいきません。バルブの操作などが必要となります。
組み立てパソコンの場合
手持ちの組み立てパソコンの電源部のノイズフィルターコンデンサの容量を2台実測してみました。C = C1+C2 = 0.0154μF のものと、0.0074μF のものがありました。これでパソコンでも感電するものがあることがわかりました。
エアコンなら雨のかかる室外に設置するものなので、アースをするのが常識ですが、パソコンは普通アースをしません。パソコンで感電するのは問題だと思います。