電気店逸話3

電気店の業務中に起こった面白い話やエピソードなどを集めたものです。長年電気店を営んでいると色々な事件が起こります。私たちはその都度対処しなくてはなりません。中には面白い話もあります。他店の対応のまずさの尻ぬぐいをすることもあります。

洗濯機の給水用の水道栓が開かないと電話

洗濯機の画像

行ってみると、「この蛇口が固くて開かないので、洗濯できません」との事でした。確かに私が力いっぱい(岡山の方言でハラビキ)やってもビクともしません。

蛇口を壊してはいけないので、程々にして蛇口のところをよく見ると、何やらつまみの軸部分が長く見えます。試しに蛇口を閉める方向(右回転)に回してみると簡単に回ります。

何のことはない、全開になっているのに更に蛇口を左に回していたのでした。これでは回るわけはありません。そのまま全自動洗濯機を動作させると水は正常に出ます。蛇口が閉まっていると思い込んでしまったようでした。(2007年2月)

エアコン室外機の周りは風通し良く

エアコンの画像

エアコンが冷えないと電話がありました。行ってみると確かに冷気が全く出ていません。室外機を見ると、室外機と壁との間に引越しで使ったと思われるダンボール紙を畳んできっちりと隙間無く詰めてあります。

エアコンの冷房とは室内の熱を室外へ運んで逃がす動作をしています。室外機で熱を逃がせないと、室外機の温度が上昇して過熱してしまいます。過熱するとエアコンはもう働けないと、動作を停止するようになっています。真夏に人に冬服を着せて重労働をさせるようなものです。

別のお客さんですが、エアコンの室外機にビニールのカバーをしたまま冷えないと言っていたこともありました。

もっとエアコンをいたわって使って下さい。暑いからといって室温を20度以下まで下げるような設定にするのもやめて下さい。(2005年8月)

電源のないエアコン

エアコンが動かないと電話がありました。確かにリモコンでも、本体の応急運転ボタンでも電源が入りません。電源電圧をテスターで確認すると電源が来ていません。

ここまでならよくある話です。そう ブレーカー楽天 が落ちている場合です。しかしブレーカーは全部入っていました。ブレーカーの出力側でもテスターで電圧を確認すると全部OKです。さてはネズミが電線を切ったのかと思いましたが、ネズミがVVFケーブルを切った事は経験したことがありませんし、ネズミでもこのケーブルの銅線までは切れないと思いました。

よく見ると古い家にしては分電盤が新しくなっています。近年に石油給湯器が電気温水器に換わっています。お客様に確かめると、電気温水器は1年半前に取り付けたとの事です。エアコンはもう2年位使っていないとの事です。

分電盤を交換した電気工事業者がエアコンの配線を切ったままにしたらしいのです。分電盤の後の電線を探ってやっと未配線の電線を見つけ配線しました。何ともいいかげんな仕事をした電気工事業者です。お客様ももっと早くチェックをしていれば余計な出費はしなくて済んだはずです。(2004年12月)

電源のないブースター

テレビの映りが急に悪くなったと電話がありました。そのお客様は十数年前に新築されアンテナのポールの上に立派なアンテナが立っています。

テレビを見てみると全U/Vチャンネルの映りが良くありません。全くアンテナがないのと同じような映り方です。壁面端子からテレビまでのアンテナの接続は何箇所か良くないところがあり、それらの全てを直すと全く映らなくなってしまいました。

アンテナからのケーブルをたどっていくと、ブースターに接続されています。ブースターは100V電源タイプで100Vのプラグは何処にも接続されていません。電源コードは新品の時と同じように束ねてあります。近くを見回してみましたが数メートル以内には何処にも100Vのコンセントはありません。

コードリールで100Vを供給してやるとテレビはバッチリ映りました。結局ブースターには電源が一度も繋がれてなかったのです。テレビの接続が下手くそで、このケーブルが室内アンテナのように働いて今まで映っていたようです。信じられないような工事がしてありました。(2004年2月)

洗濯機の動作がおかしいと電話あり

すすぎの時水がたまらないうちに脱水が始まるのですぐ見に来てほしいとの事。

行ってみると「一年半前に買った時にはこんな事はなかった。絶対におかしい。」とおっしゃいます。よくよく事情を聞いてみると、どうやら最近気になって洗濯中の動作をよく観察したら、すすぎの動作がおかしいと思うようになられたらしい。注水すすぎの動作が理解出来ないらしいのです。注水しながら脱水槽が小刻みに回転するのも今までに見たことの無い動作らしいのです。

私も設置の時そこまでは説明しませんでしたので、これからは少し詳しく説明しないといけないなと思いました。とりあえず詳しく説明して動作と使い方を理解していただきました。(2003年2月)

我が家の温泉騒動

6年程前、我が家を新築した時にあまりに山奥なので、町の水道が来ていませんでした。(今も来ていませんが)そこで生活用水を確保する為に井戸を掘りました。(深さ約4メートル、湧水量約40リットル/分)風呂に入ると水が変だと誰からともなく言うようになり、親戚の人が来て入ってもおかしいと言うのです。「石鹸の泡立ちが温泉みたい」と。

飲み水用の水質検査をすると、PH=8.8位の値が出ました。笠岡保健所に聞くと、鬼ヶ嶽とか新本の温泉もPH=8位だとか言い、温泉かも知れないと言うので、にわかに温泉騒ぎになりました。

後でよく調べると、どうやらコンクリートの井戸の輪(井筒)からアルカリ成分が出て、アルカリ性になっていたようでした。それにしても一年以上もアルカリ成分が出るもんでしょうか。そのせいで、温泉に関しては詳しくなりました。一時の夢でした。(2002年10月)

キジが空から降ってきた(キジ版まちぼうけ)

「まちぼうけ」という童謡があります。あれはウサギでしたが、あれのキジ版の出来事が先日田舎でありました。父母が家に居ると、屋根の上に何かが当たって庭に落ちたらしい。行ってみると、綺麗な色のキジのオスがバタバタ羽根を動かして仰向けになっていたらしい。すぐにぐったりとして死んでしまったそうです。

まさに食べて下さいと言わんばかりの事件だったそうです。早速父が料理したらしい。私も食べてみました。父母は肉が硬いと言っていましたが、私は美味しく思いました。キジの肉は滅多に食べられません。田舎に住んでいる者の特権でしょうか。

もう3?4年前になりますが、私が考えて作ったお隣の電気柵に、猪がかかって死んでしまったことがありました。たまたま猪の体に緩く張っていた電気柵の針金が巻きついて、田圃の水の中に転んだものですから、感電死したようです。珍しい出来事でした。思いがけない収穫で、近所の人と料理して食べました。こんなこともあるんです。田舎っていいでしょう。(2002年6月)