各種エネルギーの経済性比較
灯油、電気、ガス等の各種エネルギーの経済性を、発生熱量の計算と機器の能率から比較しています。電力会社は電気が有利だと、ガス会社はガスが良いと、石油会社は石油が有利だと言います。一体どのエネルギーが有利で、どのエネルギーが使いやすいのでしょうか。私なりに分析してみました。
各種エネルギーの発熱量の比較計算
エネルギーの種類 | 出力発熱量 [kWh] |
入力エネルギーの 単価 | 1円当りの
発熱量 [Wh/円] |
---|---|---|---|
電気ヒーター (従量電灯) | 1 (入力1kWh) | 18~25[円/kWh] | 40~56 |
電気ヒーター (時間帯別電力) | 1 (入力1kWh) | 8~35[円/kWh] | 29~125 |
エコキュート (時間帯別電力) | 3 (入力1kWh) | 8~35[円/kWh] | 86~375 |
電気エアコン (従量電灯) | 4 (入力1kWh) | 18~25[円/kWh] | 160~222 |
三相エアコン (低圧電力) | 4 (入力1kWh) | 12~30[円/kWh] | 133~333 |
石油(灯油) | 9.58 (入力1L) | 1200~1800[円/18L] 66.7~100[円/L] |
95.8~143 |
LPガス | 34.1 (入力1m3) | 500~2500[円/m3] | 14~68 |
- エネルギーの単位を cal から Wh に統一しました。1kWh≒860kcal として換算しました。
- エアコン以外は放熱ロスや熱交換の効率は考慮していません。
- 電気を主な発熱以外に使用した場合は、その電気エネルギーは考慮していません。
- LPG(プロパンガス)は毎月の使用量が1m3程度だと基本料金の占める割合が多くなり非常に割高になります。
- 単価は基本料金をある程度考慮しています。私の独断です。
- 単価には幅をもたせてありますので、ご自分の場合に合わせて再計算してください。
- 都市ガスは手元に資料が少なく割愛しました。間違い等がありましたら、お知らせいただけるとありがたく思います。
発熱量計算の根拠
エアコン | 電気ヒーター比で4倍の効率とする(最近の製品は3~5倍くらい)エアコンのCOPについて |
---|---|
エコキュート | 時間帯別電力を使ったヒートポンプ式の給湯器で COP=3 (電気ヒーターの3倍の効率)とする |
石油 | 8,800[kcal/リットル](高発熱量)*注 |
8,240[kcal/リットル]≒9.58[kWh](低発熱量)*注 | |
LPガス | 22,450[kcal/Nm3] (高発熱量)*注 (Nm3は1気圧の単位体積量) |
29,300[kcal/m3]≒34.1[kWh] (300mmHg+1気圧) (低発熱量)*注 低発熱量を石油の比率で計算 |
*注
「石油燃焼機器」 (財)日本石油燃焼機器保守協会 平成9年10月発行による
燃料中に水素原子を含んでいる場合、燃焼ガス中に水分が出来ますが、これが液体のままだとして、計算した 発熱量楽天 を高発熱量と言います。またこれが気体になる為に消費された熱量(気化熱)を差し引いたものを低発熱量と言います。
実際は、水分は気体になるので、低発熱量で計算すべきです。
各種エネルギーの有利な利用方法(私の意見)
経済性重視の場合
1円当りの発熱量から考えてみると、電気温水器、エアコン、石油、を比べると大きな違いはありません。電気ヒーター(従量電灯)とLPガスは1円当りの発熱量が少なく、不利です。
最近話題の、このような エコキュート(時間帯別電力を使ったヒートポンプ式の給湯器)は灯油より有利な場合が多いけれども、昼間に動作させると割高となります。また設備費が灯油の場合の2~3倍も高価です。そして冷媒CO2の高圧圧力が9~15MPaもあり(従来のエアコンの約3~7倍)機器の寿命はどうでしょうか。
暖房については、換気の必要がほとんどないのと、臭いがないという理由で、私はエアコンをお勧めします。
給湯については、沸かす湯の温度を低く設定できるのと、必要な時必要な量だけ沸かすことができるので、電気温水器より石油給湯器をお勧めします。
太陽熱温水器と併用するなら、低い温度に設定した石油給湯器が大変有利です。電気温水器と太陽熱温水器の併用の場合は、水温を一旦約90度以上に沸かして、水と混合して使う事になります。この場合は前者に比べて、沸かした湯の使用量が少なく、集めた太陽熱を有効に利用できないことになります。また、電気温水器からの放熱ロスも無視できません。
効率と経済性を重視すれば、上記のようになります。しかし騒音や安全性やメンテナンス性を重視すれば、電気温水器の方が良いかもしれません。
環境に配慮した場合
環境に配慮した場合はどのようになるでしょうか。電気以外は使う所で熱を直接発生させますが、電気の場合は火力発電か、原子力発電が主流です。この場合の発電効率は約40%です。送電の効率を考えると、全体の効率は約35%程度です。 つまり電気のエネルギーは約2/3のエネルギーを捨てて、約1/3のエネルギーしか利用していません。
電気は大変効率の悪い使い方です。それを考えたら、電気以外のエネルギーの方が環境にやさしいと言えると思います。でもエアコンとエコキュートだけは電気ヒーターの約3倍以上の効率なので、別に考えた方がいいでしょう。
我が家の給湯方式の紹介
我が家の給湯方式は自然循環式の太陽熱温水器と石油給湯器を直結して使用しています。真冬でも天気が良ければ太陽熱温水器だけで40度C以上の温水が得られます。ソーラー凍結防止アイデアにより真冬でも太陽熱の恩恵が受けられます。
冬には井戸水を利用すれば約17度Cの水から温度を上げるので、冷たい水道水を利用するより更に約10~15度C高い温度の湯が得られます。また井戸水では夏には湯温が高くなり過ぎず、太陽熱温水器の寿命が長くなります。
1年間の灯油代は約15,000円です。これより安くて効率の良い方法はないと思っています。エコキュートより設備費、ランニングコスト共安上がりです。15年以上故障はほとんどありません。環境にも非常にやさしいと思います。
最近は太陽熱温水器を設置する人が減ってきました。このように太陽熱温水器は安くて非常に優れたものだと思います。いまいちど太陽熱温水器を見直してみませんか。
調理用コンロの経済性比較
熱効率 | 1円当りの
有効熱量 [Wh/円] |
表示パワー | 最大有効パワー[kW] | |
---|---|---|---|---|
電磁調理器 (IHヒーター) | 90% | 36~50 | 2[kw] | 1.8 |
LPガスコンロ (IHの1/3) | 30% | 4~20 | 4000[kcal/h] | 高カロリー側 1.4 |
熱効率はナショナルIHヒーターのカタログから転記
調理用コンロの経済性(私の意見)
電磁調理器が、熱効率、1円当りの有効熱量、最大有効パワー、耐久性、安全性、清掃のし易さのすべてで有利です。電磁調理器の価格が高い事を考慮しても、これから買うなら、私は電磁調理器をお勧めします。
欠点としては土鍋、アルミ鍋、中華鍋が使えない事、磁気漏れがある事等です。これらの欠点を認識してうまく使えばこれほど経済的で便利なものはないと思います。
この磁気漏れは心臓ペースメーカーを使用している人には影響がある可能性がありますので電磁調理器は使わない方が良いでしょう。