オシロスコープ(オッシロスコープ)の使い方
オシロスコープ(Oscilloscope)は目に見えない電気信号を見ることのできる測定器で、電気回路や電子回路の設計や製作にはなくてはならないものです。オシロスコープを自由自在に操作できるようにならなくては、満足な回路設計製作はできないものです。
オシロスコープとは
オシロスコープ( シンクロスコープ楽天 とも言います)とは、時間と共に瞬時に変化する電気信号(電圧波形)を目に見えるようにブラウン管上や液晶画面に描かせて、普通は目で見ることのできない電気信号の変化を観測できるようにした電気波形測定器です。つまり横軸(水平軸)が時間で、縦軸(垂直軸)が電圧となっています。
電気信号の波形は一般的に周期的に変化するものが多く、その信号に同期したトリガーを掛けて何度も画面に描いて見易くしています。
水平軸は一般的には時間ですが、電圧に設定する(XYモード)こともできます。また垂直軸は電圧に変換できれば、電流でも他の要素でも測定可能です。
アナログオシロスコープとデジタルオシロスコープ
これは私の使っているソニーテクトロニクスのTHS710型デジタルオシロスコープです。電子回路の設計製作やテレビの修理では必需品です。ACアダプタ又は充電式電池で使えるのですが、充電式電池は数年で劣化してしまいました。現在はACアダプタだけで使用しています。
デジタルオシロスコープも良いのですが、私はアナログのオシロスコープの方が好きです。波形の細かいところがアナログの方がよく見えます。つまみの数はアナログオシロスコープの方が多いのですが、一度設定したらそう変更することがないので、操作は簡単です。
デジタルオシロスコープはつまみの数は少ないのですが、一般的に操作は面倒です。デジタルオシロスコープはパソコンの一種とも言えます。
デジタルとアナログのオシロスコープは良い点もあれば悪い点もあります。それぞれの良い点を引き出すような使い方ができれば最高です。
THS710型デジタルオシロスコープの主な仕様
アナログ周波数帯域 60MHz
サンプルレート 250MS/s
チャンネル数 2チャンネル
オシロスコープの一般的な使い方
- 電源を入れます。
- 必要に応じて輝度を上げたり、フォーカスを合わせたり、輝線を水平に調整したり、目盛照明の明るさを調整したりします。
- あらかじめ、校正用の矩形波でプローブの位相調整をしておきます。
- 水平軸のスキャン時間を決めます。(スキャン時間/DIVの設定をします)
- 垂直軸の感度の調整をします。(垂直軸の電圧/DIVの設定をします)
- 垂直軸のカップリングを適度なACまたはDCにします。これは測定する信号により選択します。
- 適度なプローブ(10:1が一般的)を使用して、測定する信号を入力端子に接続します。
- 周期的に変化する波形を止めて見る為にMODE(トリガー、同期)の調整をします。(トリガーの極性やトリガーのかけ方を調整します)
- 見易いように水平垂直位置の調整等をします。
2CHオシロスコープの使い方
二つの信号を同時に観測できるのが2CHオシロスコープです。オシロスコープは同時に二つの信号を掃引できないので、信号を切替えて表示します。
ALTまたはCHOPキーを選んで表示します。ALT(オルタネート)は入力信号を交互に切り換えて掃引しますので2チャネル測定で比較的周波数の高い信号を観測するのに適しています。
CHOP(チョップ)は速い周期で入力信号を波形の途中で交互に切り換えて表示します。2チャネル測定で比較的周波数の低い信号を観測するのに適しています。低い周波数での二つの信号の微妙な位相ずれを見ることができます。
オシロスコープ使用上の注意
オシロスコープを使用する時、いくつか気をつけることがあります。これに気づかないとオシロスコープが使えないこともありますし、回路を壊すこともあります。
- オシロスコープの輝度を下げていると何も表示しないので、壊れていると思いがちです。何も表示しない時は輝度を上げてみます。
- 垂直、水平の位置調整が大幅にずれていると、画面には何も表示しないので、これも壊れていると思いがちです。何も表示しない時は、垂直または水平位置をいじってみましょう。(Trace finder ボタンで表示させることができる機種もあります)
- 垂直感度調整が適切でなく、DCカップリングで直流電圧を測定すると、表示が画面の外に出てしまい何も表示しないことがあります。垂直の感度を下げてみます。
- トリガー調整(同期調整)のMODE切替えにAuto(オート、自動)と、Normal(ノーマル)と、Single(シングル)がありますので、これがNormalまたはSingleになっていると、同期が掛かっていないと画面には何も表示しません。これを普通はAuto(オート、自動)にして、同期が掛かっていなくても掃引させます。
- 最近の2CHデジタルオシロスコープでは信号のGND側(アース側)がセパレート(絶縁)されているようですが、2CHアナログオシロスコープでは二つの信号のGND側が共通になっているものが多いので注意が必要です。つまりGND側を同じ電位にしないと回路をショートさせてしまうことがあります。
オシロスコープでの波形の観測例
前の画像はテレビの水平出力のコレクタパルス電圧のオシロスコープ波形です。後ろの画像はテレビの垂直出力電圧のオシロスコープ波形です。これはナショナルテレビTH-29VS35の波形ですが、ブラウン管式のテレビの代表的な波形です。
電気は目に見えないので、波形をオシロスコープで観測することにより電気回路の動作が手に取るようにわかるものです。オシロスコープは能率的な修理や製作には最低一台はほしいものです。
XYモードでの使い方
オシロスコープは水平軸を時間にするだけでなく、水平軸、垂直軸共に電圧に設定することも可能な機種があります。この時はXYモードに設定します。
この波形は約100%近くまで変調したAM送信機のトラペゾイド波形で、振幅変調の直線性と振幅変調度がわかります。オシロスコープをXYモードで使用したものです。
オシロスコープの水平軸にはコレクタ変調する低周波の変調電圧波形(DCカップリング)を与え、垂直軸にはアンテナ出力電圧波形を与えます。
また、リサージュ波形の測定にはオシロスコープをXYモードにします。