岡山県地方の方言
岡山県の方言は中国地方に共通したものがありますが、関西地方のものとは共通点はあまりありません。一般的には岡山県人から見ると少し汚いような、喧嘩しているような、きつい言葉使いが多いように思います。若い人はあまり使わなくなりましたが、岡山県独特の言葉は残していきたいものだと思います。
岡山県地方の方言(岡山弁)
岡山県には独特な方言があります。有名なものでは「チバケル」「オエン」とかです。有名でなくても「オトンボ」「バンジ」などもあります。
よくバス旅行でバスガイドが岡山弁の紹介で、「でーこんてーてーてー」というのがあります。これは、「大根」のことを「でーこん」となまって言い、「炊いといて」を「てーてーてー」と言うからです。「てーてーてー」は、アクセントをうまく付けないとその意味には聞こえません。
一般的に岡山弁は、喧嘩をしているのかと思われるようなキツイ表現が多いようです。
- アンゴー、アンゴウ
- 「バカ」「アホ」「頭の悪い人」のことです。「おめーはあんごうじゃのー」
- イラ
- トゲのような毛のある「毛虫」意味です。一般的に毛虫を全てイラという人もありますが、毛のある毛虫をイラと言っているようです。
- ウゲル、ウガス
- 厚みの薄いものが「はがれる」意味です。「かさぶたがうげる」「切手をうがす」
- ウッタテ
- 毛筆で起筆の部分、つまり字の最初の部分の事です。私はこれを標準語だと思っていました。岡山弁だったんですね。
- エライ
- 「疲れる」「しんどい」と同じような意味です。「走って来たんでえらいわぁ」
- オエン
- 「してはいけない」というのを「おえん」と言います。「そがんことをしちゃーおえんがな」のように使います。長門勇の「おえりゃーせんのう」はあまりにも有名です。
- オセ
- 「大人」「おとな」のことを岡山弁では「オセ」と言います。「あの子はオセらしいのー」というふうに使います。「オセをする」と言う時は、仲間の中で中心的な存在になり世話役などをする事を言います。
- オトデー、オトディ
- 「兄弟」「姉妹」のことです。「あんたらーおとでーか、みたー、すぐわからー」
- オトンボ
- 「末っ子」のこと。「おとんぼう」とも言います。
- カス
- 「浸す」「浸ける」の意味です。「米を研いだ後、かしてから炊く」「茶碗を洗い桶にかしてーてー」
- キャークソガワリイ、キャクソガワリー
- 「とても不愉快だ」と同じような意味です。「今日は財布をのーしてキャークソガワリイ」と使います。
- キョーテー
- 「怖い」と言うのを岡山では「きょーてー」と言います。「夜に出歩きょーたらきょうてーで」と使います。「ぼっけーきょーてー映画じゃったのぅ」
- グシイ
- 「間の抜けた」「いいかげんな」とほぼ同じ意味です。「あの人はグシイ人じゃ」のように言います。
- ケナリー、ケナリイ
- 「羨ましい」「うらやましい」と同じ意味です。「あの人はうまく就職できてけなりーわぁ」
- ジーボー、ジイボウ
- 「食いしん坊」「食べたいのに食べられない状態」のこと。「あいつはじーぼーじゃ」「あの店の前でじいぼうしょうたんか」
- シゥエー、シウェー
- 「繊維質で噛み切れない」という意味です。「このスルメは、ぼっけーシウェーのー」このスルメは大変繊維質で噛み切れないという意味です。
- シネエ
- 「しなさい」という意味です。「死ね」という意味は全くありません。ぐずぐずしている人に「はよーしねえ」と言います。この言葉を知らない人には「早く死ね」と聞こえます。
- ジャ、ジャジャ
- 「そうです」と言うのを岡山では「そうじゃ」と言います。相槌を打つのに「じゃ」とか「じゃじゃ」と言う人があります。備中より 備前楽天 の人がよく使うようです。女の人が使っているのを聞いてびっくりしたことがあります。
- スバローシィ
- 「陰気な」とか「不景気な」とか「貧相な」とほぼ同じ意味です。「小遣いが少ねーけースバローシィばーじゃ」「何でそがんスバローシィ顔をしとんなら」というふうに使います。
- タツ
- 「閉める」と同じ意味です。「そこに居る人が戸をたててぇ」「さみぃけぇはよぅ戸をたってぇ」
- チバケル
- 標準語では「ふざける」と同じです。「ちばけたことを言うな」「そがんちばけたことをゆようたらおえりゃーせんのう」
- チビル
- 「すり減る」「減る」の意味です。「鉛筆がちびる」「よく歩いたけえ草履がちびたがぁ」
- チャラ書き
- 「走り書き」「丁寧に書いていない字」の意味です。私はこれを標準語だと思っていました。
- チョレエ、チョレー
- 「おっちょこちょい」「浮かれている」のような意味です。「あの人はチョレエ人じゃ」のように使います。
- デーレー、デエレエ
- 「ものすごい」「どえらい」の意味です。岡山弁の「ぼっけえ」と同じような意味です。「そりゃあ、でーれー事をしなすったんじゃなあ」
- テゴ
- 「手伝い」のこと。「忙しいけー、てごーしてー」
- テシ
- 「素人がすること」「自分ですること」「てしでする」「家をてしで建てる」
- テベス
- 「叩く」こと。「そがんわりぃ事ばーしょーたらてべすど」
- ドジクソ
- 「無理難題」「無茶なこと」「訳のわからないこと」の意味です。「そがんどじくそばー言うたらおえん」
- トラゲル
- 「仕舞う」「片付ける」と同じ意味です。「そがん奥の方へとらげるけー、見つかりゃあせんがな」
- ハウサル、はうさる
- 「腹ばいになる」「伏せる」と同じ意味です。「ここの赤ちゃんはもうはうさって進んどるが」
- ハシル
- 傷口などが「しみる」事を「はしる」と言います。「消毒液で手がはしった」
- バンジ
- 標準語で「熊手」のこと
- フウガワリィ、フウが悪い
- 「恥ずかしい」「そがぁな服を着たらふうがわりぃわぁ」
- ヘイトウ
- 「乞食」や「物乞い」とほぼ同じ意味です。「へいとうをする」などと使います。「茄子のへいとう揉み」というのがありますが、どうしてそのように言うのかわかりません。
- ヘシャゲル
- 「潰れる」「凹む」と同じ意味です。「ひしゃげる」とも言います。「おめーがヤカンを落としてへしゃがしてしもうたが」のように使います。
- ベットコ
- 「ビリ」「最下位」と同じ意味です。「今日の運動会じゃぁ、ベットコじゃった」などと使います。
- ベベチャンコ
- 「正座」のこと。「べべ」とは「着物」の事で、着物を着て座るのを「べべちゃんこ」と言う。「はよーこけーきて、べべちゃんこしなせー」
- ボッケエ、ボッケー
- 「ものすごい」「どえらい」と同じような意味です。岡山弁の「でーれー」とも似た意味です。「ぼっけーおおけー木じゃなあ」
- ミテル
- 液体や固体の物の量が減ったり、無くなることを「みてる」と言います。「おめーがぎょうさん食べるけー、お菓子がみててしもーたがな」と使います。ちょっと考えると「みてる」が「満ちる」を連想するので反対の意味を想像してしまいます。
- メグ
- 「壊す」の意味です。「めがす」「めげた」「めぐな!めぐな!」「椅子がめげてしもーた」「おめーは直さずん、めがすばーじゃのー」
- モモケル
- 衣服などに「毛玉ができる」「毛玉になる」「毛羽立つ」ことを岡山では「ももける」と言います。「この服ももけとるけー着られんわ」
- ヤッチモネエ、ヤッチュモネエ
- 「しょうもない」「くだらない」とほぼ同じ意味です。「そがあな、ヤッチュモネエことをするな」
- ヨーサリ
- 「夜」「夜中」とほぼ同じ意味です。「そがあに、ヨーサリに出かけちゃーおえん」そんな夜遅くに出かけたら駄目という意味です。
- ヨダツ
- 「面倒なこと」「気が進まない」とほぼ同じ意味です。「今日も仕事か、ヨダツなあ」などと使います。
- ワヤ、ワヤクソ
- 「無茶」「無茶苦茶」「目茶」「メチャメチャ」と同じ意味です。「大水で家が浸かってわやくそになった」
岡山県地方のアクセント
岡山県で使っている言葉には、近県で使ってるアクセントとは少し違いがあります。つまり、兵庫県より東の関西圏のアクセントはいわゆる関西弁なまりのアクセントですが、岡山県は標準語に近いアクセントです。
岡山県の南隣の香川県で使われている言葉のアクセントは、どちらかというと関西弁に近いようです。