鷲峰山の捧澤寺(小田郡矢掛町東三成)

小田郡矢掛町東三成にある鷲峰山(じゅぶうざん)の捧澤寺(ほうたくじ)は、鎌倉時代よりも前の時代から存在していたと言われています。現在は廃寺となっていますが、様々な建造物が残されていて、ハイキングや見学には最適な所です。昼間でも一人では寂しい所です。

捧澤寺(ほうたくじ)の仁王門

捧澤寺の仁王門

矢掛町の吉備真備公園から、北へ約2km歩いて海抜399mの鷲峰山(じゅぶうざん)とその中腹の捧澤寺(ほうたくじ)へ来ました。

鷲峰山は「じゅうぶざん」とも「じぶうざん」とも読むという説もあるようですが、私は学生の頃から「じゅぶうざん」と聞いています。岡山県大百科事典にも「じゅぶうざん」とだけ書いてあります。

捧澤寺は棒澤寺と書いてあることもありますが、捧澤寺と手偏の「捧げる」(ささげる)という字で書くのが正式名称です。岡山県大百科事典には「捧澤寺」と書いてあります。また、この読み方ですが、私が高校生の時、国語や漢文の先生から教えてもらったのは「ほうたくじ」でした。地元の大多数の人は今でも「ほうたくじ」と呼んでいます。「捧」の読み方は「ほう」または「ささげる」であり、「ぼう」とは読みません。

たぶん、私の想像ですが、元々、「捧澤寺」と書いて「ほうたくじ」と読んでいたものが、活字やパソコンなどの普及で「捧」という字が表示されにくく、「棒澤寺」と間違って書かれることが多くなり、これを見て「ぼうたくじ」と読む人が出てきたのかも知れません。

今は無人の廃寺ですが、往時は栄えていたものと思います。 聖徳太子楽天 も来たことがあるとのうわさです。真偽の程はわかりません。

捧澤寺の南約200mにある仁王門です。屋根は修復されて綺麗になっていました。2体の重要文化財の寄木造りの金剛力士像があったそうですが、現在は県立博物館にあるそうです。

捧澤寺の阿育王塔

捧澤寺の阿育王塔

高さ約5.5mの阿育王塔(あしょかおうとう)です。捧澤寺の約50m南の高台にありました。矢掛町の重要文化財となっています。

この塔は多層塔とか多重塔と呼ばれていて、東三成の浅野源治兵衛忠明が捧澤寺24世法恵の代に、近江国石塔寺の阿育王の塔を2/3に縮小して建立したものです。

明治5年(1768年)の銘が刻まれています。石工は片山光重です。

阿育王(あしょかおう)は、紀元前3世紀頃に実在したインドの王で、仏教を保護して普及させた人です。

撮影 2016年2月27日

捧澤寺の総石造りの石門

捧澤寺の石造りの山門

捧澤寺の境内の南側を東へ向って登ると、この石門があります。門の幅と高さは約2mです。

全部が花崗岩で作られていて、両方の柱には印鑑によく使われる篆書体(てんしょたい)で漢字の文字が刻まれていました。

私には読めませんが、空海の著書の「秘蔵宝鑰」にある文が彫られているそうです。

捧澤寺の境内の太子堂

捧澤寺の境内の太子堂

捧澤寺の境内には、この写真の太子堂と本堂が残っていますが、本堂は近づくと倒壊の危険がある程荒れています。

この太子堂は比較的近づいても安全と思われます。屋根は綺麗に修復されていました。太子堂の中には何もありませんでした。

捧澤寺は高野山真言宗の別格本山で、檀家の無い修行をする寺だそうですが、やはり檀家が居ないと荒れてしまうのでしょうか。

この境内の周辺には他にも様々な建物があったようですが、昭和32年3月の大火で消失したそうです。

捧澤寺の太子堂の西側から北へ向って山に入ると、矢掛町の重要文化財となっている宝篋印塔(ほうきょういんとう)や山岳の寺を思わせるような石垣や千手観音菩薩の石像などが残されていました。

捧澤寺の約200m北の磨崖仏

捧澤寺の約200m北の磨崖仏

捧澤寺の北約200mで、鷲峰山頂の南約50mにある大岩(大きさ約4m四方)に彫られた磨崖仏(毘沙門天)です。これは、矢掛町指定の重要文化財となっています。

安永6年(1777年)8月に浅野又三郎によって奉納されたようです。毘沙門天は釈迦四天王のひとつで、北方の守護神です。真言宗の隆盛期に作られたようです。

この北約50mには、標高399mの鷲峰山があります。この辺りには、我が家の周りと同様に花崗岩の巨石がたくさんありました。

捧澤寺の宝篋印塔

捧澤寺の宝篋印塔(ほうきょういんとう)

捧澤寺の太子堂の西側から北へ向って山に少し入ると、矢掛町の重要文化財となっている宝篋印塔(ほうきょういんとう)に着きます。

塔身の正面に阿閦(あしゅく)如来の梵字、向かって右に不空成就如来の梵字、左に宝生如来の梵字、背面に阿弥陀如来の梵字が刻まれているらしいのですが、薄くてよく見えません。

この立て札を含む全ての立て札には、お寺の名前が手偏の「捧澤寺」とはっきり書かれていました。木偏の「棒澤寺」ではありません。読み方も「ほうたくじ」と読みます。