生活排水と浄化槽

一般の人は自分で出した汚水の量とその浄化についてほとんど関心がないのが現状です。私も浄化槽管理士の免許を取得するまではその事についてほとんど知りませんでした。浄化槽の構造と働きや浄化槽管理士の試験などに関する情報を掲載しています。

水の汚れとBOD

合併浄化槽の画像

BOD(Biochemical Oxygen Demand)とは 生物化学的酸素要求量で好気性条件下で 20度C 5日間に消費される酸素量(mg/L)or(ppm)を言います。

つまり水を浄化する為に、水中の汚れ(有機物)がこのような 微生物楽天 によって分解される際に消費される酸素量のことで、有機物による汚濁の指標として用いられます。この数値が小さい程きれいな水と言えます。

mg/Lとppmは水のように比重がほぼ1の場合は、同じと見なしてかまいません。最近はmg/Lに統一されているようです。

代表的なBOD濃度の例

し尿(非水洗、汲み取り式) 13g/L
し尿(水洗) 0.26g/L
米のとぎ汁 3g/L
ラーメンの汁 25g/L
日本酒 200g/L
廃天ぷら油 1000g/L
単独処理浄化槽処理後の水 0.09g/L以下
合併処理浄化槽処理後の水 0.02g/L以下

し尿以外のものでBOD濃度の高いものがあるのがわかります。特に廃天ぷら油は浄化するのが困難なので、排水に流さない事が重要です。ラーメンの汁等も出来ればそのまま川に流さない方がいいのですが・・・。

合併処理浄化槽を設置するといかに水がきれいになるかが解るでしょう。

近年、合併浄化槽と下水道の普及が進み、川の水が次第に綺麗になっているのを実感しているのではありませんか。

生活排水のBOD量

  BOD量 水量
し尿(水洗) 約13g/人・日 約50L/人・日
生活雑排水 約27g/人・日 約150L/人・日
生活排水合計 約40g/人・日 約200L/人・日

し尿よりも生活雑排水の方が2倍もBOD量が大きいことがわかります。

し尿のみ処理する単独処理浄化槽より、全生活排水を処理する合併処理浄化槽の重要性がわかると思います。

浄化槽の違いによる処理後のBOD量の差

浄化槽には、し尿のみを処理する単独浄化槽と、し尿と生活雑排水の両方を処理する合併処理浄化槽の二種類があります。現在は単独処理浄化槽の生産と設置工事は行なわれていません。従って新規に浄化槽を設置する場合は全て合併処理浄化槽となります。

過去に生産され設置された単独処理浄化槽が現在でも多く使われており、生活雑排水は垂れ流されているので、なかなか川の水は綺麗になりません。

特に岡山市は下水道の整備が他の自治体に比べて遅れており問題となっています。現に私の店のある場所では、人工密集地であるにもかかわらず、下水道になる計画すらありません。今後16年以降に整備を予定している区域にも入っていません。(2007年4月)

  単独処理浄化槽方式 合併処理浄化槽方式
し尿だけ処理 生活雑排水 し尿+生活雑排水
BOD負荷量(g/人・日) 約13 約27 約40
汚水量 (L/人・日) 約50 約150 約200
汚水のBOD濃度 (mg/L) or (ppm) 約260 約180 約200
BOD除去率(%) 65以上 90以上
BOD残存率(%) 35以下 100 10以下
処理後の水のBOD濃度(mg/L) or (ppm) 90以下 約180 20以下
処理後のBOD量(g/人・日) 4.6以下 約27 4以下
処理後のBOD量合計(g/人・日) 約32 4以下

単独処理浄化槽だけだと、合併処理浄化槽に比べて処理後のBOD量が8倍も大きいことがわかります。最近の合併処理浄化槽は性能が良くて、管理が良ければ5mg/L以下の処理水とする事が出来ます。

合併処理浄化槽は下水処理場と排出水の基準が同じになっています。下水管を埋めたりする工事が不要ですので、下水処理場を作るより、合併処理浄化槽を作る方がトータルのコストは少なくて済みます。特に人口密度があまり高くない地域で、下水処理場を作ることは税金の無駄使いになる事が多いようです。

浄化槽管理士試験の概要と受験記

実施機関 (財)日本環境整備教育センター TEL 03-3635-4880
郵便番号 130-0024 東京都墨田区菊川2-23-3
資格の概要

浄化槽の保守点検(点検、調整又はこれらに伴う修理をする作業)。

浄化槽管理者より委託されて浄化槽の保守点検を実施する者は、厚生大臣より浄化槽管理士の免状の交付を受けた浄化槽管理士でなければならないとなっています。

しかし、浄化槽管理者が自ら管理する場合は浄化槽管理士の資格は不要です。私は自宅の浄化槽を管理する為に取得したのですが、自宅の浄化槽は資格がなくても管理はできます。でも資格がないと、どう管理していいのか解らないと思います。

受験資格 学歴、実務経験等は一切問わない。
試験日 毎年10月頃
試験地 宮城県、東京都、愛知県、大阪府、福岡県
試験科目
  1. 浄化槽概論
  2. 浄化槽行政
  3. 浄化槽の構造及び機能
  4. 浄化槽工事概論
  5. 浄化槽の点検、調整及び修理
  6. 水質管理
  7. 浄化槽の清掃概論
参考書
■「浄化槽の維持管理」
浄化槽管理士楽天 認定講習会テキスト)
編集・発行:(財)日本環境整備教育センター
B5判 4分冊 20,000円位でした。書店では売っていません。独学で受験する場合は、購入するしかありません。
■「浄化槽の維持管理(追補)」
B5判(149頁)、2,000円位でした。
問題集
■浄化槽設備士問題解答250題 オーム社
これは浄化槽設備士の問題集ですが、どんな問題なのか参考にはなりました。実際の試験はこれより少し難しいようでした。浄化槽設備士試験の場合は四肢択一ですが、浄化槽管理士試験は五肢択一です。
私の受験した当時は浄化槽管理士試験の問題集は何もありませんでしたが、現在は浄化槽管理士試験の問題集が市販されているようです。
受験の感想
  • 試験機関等が過去問題を発表していないし、問題集は無く、雲をつかむようなものでした。試験問題は試験後全て回収しました。これは徹底していて驚きました。
  • 試験問題は100問あり大変多い。計算問題も多かったようですが、私は公式を覚えるよりも、本の内容を理解していれば解ける問題が多かったように思いました。公式が多くて到底全部は覚えられません。数学や化学の応用問題という感じです。なかなか良い問題が多かったと思います。
  • 四肢択一なら、まぐれ当たりもありますが、五肢択一では理解してないと非常に難しいと思いました。
  • 合格率は大阪の場合、受験者約1500人で合格者222人ですから、約15%でした。
  • 時間も費用ももったいないので、上記の参考書と浄化槽設備士の問題集だけで一発合格を目指しました。満点合格をねらったのですが、それは無理でした。でも、受験後すぐに合格の手応えはありました。

私は1999年に受験しました。試験は年に1回ですので、半年以上前から一生懸命勉強すれば合格は可能でしょう。