井戸水と水道水の併用
家庭で井戸水と水道水の両方が使えると井戸と水道の良いところを享受できます。しかし、井戸と水道の配管が二重に必要になったり、井戸と水道を接続する場合は、クロスコネクションの問題がありますので注意が必要です。
井戸と水道を併用する場合の問題点
新規に井戸を掘った時、その井戸水を家の中でも使いたいと思うのは自然なことです。この時、今ある配管を使いたいと思うのも当然なことです。でも、そうする時には注意する点がいくつかありますので、留意しておいてください。
水道水と井戸水は同じ配管で器具に接続する事はできません。これは、消毒されていて安全が保障された水道水が、消毒されていない井戸水によって汚染される事を防ぐ為です。
災害や事故などで水道が断水した場合、もし、井戸水と水道水の配管が接続されていると、井戸水が水道水に混入して、近所の水道の蛇口に井戸水が侵入する恐れがあります。
また、井戸水を湯にしたものと水道水を蛇口で混合したりして接続することも禁止されています。
井戸と水道が全く別々の配管なら併用の問題はありません
水道の配管が既にある場合、井戸を新規に掘って、別の配管にした場合、これは、井戸水と水道水が混入する問題は発生することはないので、全く問題はありません。
水道と井戸の配管を共有にする場合は、下記のように様々な問題が発生するので、注意する必要があります。
井戸水の使用と下水道料金との関係
下水道が普及している世帯では、井戸水を使った場合も下水道使用料金が発生します。つまり、風呂や台所で使った井戸水を下水道に流すことになるからです。
但し、庭などで洗車や庭木などに井戸水を使った場合は、下水道の使用にはなりませんので、下水道料金とは関係ありません。
井戸と水道を併用する方法
井戸水と水道水の両方を使う方法として、この写真のように、井戸と水道の配管を分けて、全く別々にする方法があります。
この場合は、井戸水と水道水は別の配管系統ですので、互いに水の混入の問題は全くありません。
しかし、配管が二重に必要になりますのでコストが高くつきます。
配管は一系統でも、井戸水と水道水の切り替えをホースの接続変更で行なう方法もあります。
例えば、通常は水道水を使っていて、水道が断水した時だけ、耐圧ホースの接続を水道側から井戸ポンプ側に変更して、井戸水を使うなどの方法です。この方法は水道法などのクロスコネクションに該当しないので問題はありません。
この他に上記の2つの方法の併用があります。つまりよく使う所には井戸と水道の2系統の配管をしておいて、あまり使わない所は水道水と井戸水を耐圧ホースで切り替える方法です。
一般の家庭の 水道工事をする場合は、市町村が認定した水道工事の指定工事店で行なってもらう必要があります。しかし、自分の家の水道工事は給水装置工事主任技術者の資格があれば行なうことができます。
クロスコネクションになる場合
バルブなどを使用して、水道水と井戸水をバルブの操作だけで切り替えている場合は、クロスコネクションに該当しますので禁止されています。
ボールバルブや電磁弁によって切り替えている場合であっても、また、逆流防止弁などを使用していても、水が絶対に混入しないという保証はありません。この為、法律で禁止されているのです。
クロスコネクションに関する水道法などの法規
クロスコネクションに関係すると思われる法規は次の通り「水道法 第十六条」と「水道法施行令 第五条」です。
水道法 第十六条(給水装置の構造及び材質)
水道事業者は、当該水道によって水の供給を受ける者の給水装置の構造及び材質が、政令で定める基準に適合していないときは、供給規程の定めるところにより、その者の給水契約の申込を拒み、又はその者が給水装置をその基準に適合させるまでの間その者に対する給水を停止することができる。
水道法施行令 第五条(給水装置の構造及び材質の基準)
法第十六条の規定による給水装置の構造及び材質は、次のとおりとする。
一 配水管への取付口の位置は、他の給水装置の取付口から三十センチメートル以上離れていること。
二 配水管への取付口における給水管の口径は、当該給水装置による水の使用量に比し、著しく過大でないこと。
三 配水管の水圧に影響を及ぼすおそれのあるポンプに直接連結されていないこと。
四 水圧、土圧その他の荷重に対して充分な耐力を有し、かつ、水が汚染され、又は漏れるおそれがないものであること。
五 凍結、破壊、侵食等を防止するための適当な措置が講ぜられていること。
六 当該給水装置以外の水管その他の設備に直接連結されていないこと。
七 水槽、プール、流しその他水を入れ、又は受ける器具、施設等に給水する給水装置にあっては、水の逆流を防止するための適当な措置が講ぜられていること。
クロスコネクションの弊害と注意
クロスコネクションでは、井戸水などが水道管に流入するばかりではなく、その反対に、知らない内に大量の水道水が「井戸」などに流れ込んで、過大な水道料金が請求されることがありますので絶対にしないようにしましょう。