放射能とその単位ベクレルについて
2011年3月11日に東日本大震災がありました。福島第1原発事故で放射性物質が漏れて、食品に残留放射能が検出されました。この放射能の量はベクレルという単位です。ベクレルとは放射能の量を表わす単位です。1秒間に1つの原子核が崩壊して出す放射能の量が1ベクレルです。
放射能と放射線
放射能というのは、放射性物質が放射線を出す能力のことです。単位にはベクレル[Bq]や キュリー楽天 があります。放射線を出す能力のある物質を放射性物質と呼びます。
放射線とは、放射能(放射性物質)が出す、目に見えない電磁波や粒子線のことです。放射線量の単位にはグレイ、シーベルト[Sv]、レントゲン、ラド、レム等があります。この中で、生体への被曝線量を表わすのにシーベルトという単位を使っています。
放射能と放射線は全く違うものですが、最近の報道では、これらを混同して使っている場合がありますので注意しましょう。
ベクレル(Bq)とは放射能の量のことです
ベクレルとは、放射能の量を表わす単位です。1秒間に1つの原子核が崩壊して出す放射能の量を1ベクレルとしています。1秒間に10個の原子核が崩壊して放射線を出せば10ベクレルとなります。1秒間の数なので、交流の周波数のヘルツ[Hz]と同じ次元をもっています。
食品の残留放射能濃度(ベクレル/kg)とその摂取制限
放射性物質を含む食品や水を体内に取り入れることによる放射線の影響を防ぐために、食品の安全基準の単位としてベクレルが使われています。その摂取の制限は食品1kg当たりで次のようになっています。
なお、100[Bq/kg]を超えるものは、乳児用調製粉乳及び直接飲用に供する乳に使用しないよう指導することとなっています。
- 放射性ヨウ素131の場合
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飲料水、牛乳---300[Bq/kg]、 野菜---2,000[Bq/kg]
- 放射性セシウム134、放射性セシウム137の場合
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飲料水、牛乳---200[Bq/kg]、 野菜、穀物、肉、卵、魚---500[Bq/kg]
体内に取り込まれた放射能物質の行き先とその影響
体内に取り込まれた放射性物質は、甲状腺に集まる放射線ヨウ素131や筋肉に滞留するセシウム137などがあります。放射性物質は、崩壊して非放射性になっていきます。その半減期は、放射性ヨウ素131で約8日、セシウム137で約30年です。
また、このような放射能物質は糞尿等として体内から次第に排出されていきます。セシウム137の場合は、約100~200日です。
甲状腺に集まった放射線ヨウ素131による甲状腺がんの発生確率は被ばく時の年齢で異なっています。乳幼児の被ばくでは特に増加しますが、40歳以上ではあまり増加しないことがわかっています。
2011年3月11日の福島第1原発事故後の食品等の残留放射能
新聞によると、福島第1原発から約100km離れた茨城県日立市などで、3月18日~19日に11箇所から採取したホウレン草から基準値(2[kBq/kg])を約27倍超える最大54.1[kBq/kg]の放射性ヨウ素を検出したとのことです。
福島県は3月20日、県内で生産された牛の原乳から、食品衛生法の暫定基準値を超える放射性ヨウ素が検出されたことを明らかにしました。福島第1原発から約40km離れた飯館村では基準値の17倍(5200ベクレル/kg)のヨウ素を検出、放射性セシウムも基準値を超えました。新地町、いわき市、国見町でも4~6倍のヨウ素が検出されました。事故を起こした福島第1原発から西に離れた会津地方でも検出されました。
厚生労働省は3月21日、福島県飯舘村の簡易水道水から、規制値の3倍を超える1キロあたり965ベクレルの放射性ヨウ素を検出した、と発表しました。厚労省は「1週間以内と一時的な飲用であれば直ちに健康には影響しない」としていますが、飲まない方が良いでしょう。
東京都水道局は3月23日、葛飾区の金町浄水場から乳児の飲用に適さない濃度の放射性ヨウ素が検出されたと発表しました。検出濃度は210[Bq/kg]で、厚生労働省が示した乳児の飲用に関する指標値の100[Bq/kg]の2倍以上になっています。これが配水されている東京都23区と武蔵野、町田、多摩、稲城、三鷹各市では注意してください。成人でも飲み続けない方が良いでしょう。