単独処理浄化槽と合併処理浄化槽
浄化槽には、し尿のみを処理する単独浄化槽と、し尿と生活雑排水の両方を処理する合併処理浄化槽の二種類があります。現在は単独処理浄化槽の生産と設置工事は行なわれていません。従って新規に浄化槽を設置する場合は全て合併処理浄化槽となります。
単独処理浄化槽
単独処理浄化槽の内部です。左は、ばっ気室と言って、 エアーポンプ楽天 によって空気を送り込んで、好気性微生物の働きで水を浄化します。
右上は沈殿室です。曝気で浄化された水の中の固形物を沈殿させて、上澄み液を消毒室に送ります。
右下は消毒室です。消毒薬にはハイクロンを使っています。塩素を使って放流する水の中の微生物を消毒して側溝に放流します。
SV30とは
ばっ気室の水を30分間沈殿させて沈殿した部分の比率で掃除の時期を判断します。(SV30と言う)この写真では28%となっています。SV30は60%以下に管理する事になっています。
単独処理浄化槽で、通常これを60%以下に管理するのは困難です。私は工夫してこれを60%以下になるよう管理しています。
このSV30測定シリンダーはアクリル板で自作しました。
浄化槽管理用の道具
浄化槽管理用の道具です。左上からSV測定用メスシリンダー、PH計、消毒薬、透視度計、温度計、掃除ブラシ、柄杓、バケツです。
消毒薬には、ハイクロン錠を使っています。薬局や通販などで買うことができます。
合併処理浄化槽
現在、浄化槽と言えば全てこの合併処理浄化槽を指します。し尿と生活雑排水の両方を処理することができます。自治体の下水処理とほぼ同じ性能で水の処理をします。
嫌気濾床槽(嫌気濾床接触ばっ気方式)初期処理
合併処理浄化槽の嫌気濾床槽です。手前が第一槽、奥が第二槽です。プラスチック製の濾床で、嫌気性微生物の働きで有機物を分解して水を綺麗にします。
右下に出ている水は、曝気槽下部から汚泥移送ポンプ(エアーリフトポンプ)で送られてきた水です。通常、この水は小指の太さ程度の量になるように調整します。
二つの半円状の穴は槽の掃除用です。この穴から汚泥をポンプで引き抜きます。
一番手前のパイプが家庭からの汚水の流入口です。
嫌気濾床第二槽と接触ばっ気槽(中間処理)
合併処理浄化槽の嫌気濾床第二槽(手前)と接触ばっ気槽(奥)です。
接触ばっ気槽では大量の空気を送って、プラスチック製の好気濾床に住みついた好気性微生物の働きで水を綺麗にします。
左上のバルブは好気濾床に付着し過ぎた、接触ばっ気槽の微生物を剥す為に、逆洗装置へ空気を送る用途に使います。
沈殿槽と消毒槽(最終処理)
合併処理浄化槽の接触ばっ気槽(手前)と沈殿槽(中)と消毒槽(奥)です。
消毒には塩素を発生させる、市販のハイクロンを使用しています。
中央の右の装置は、接触ばっ気槽の下に貯まった汚泥を嫌気濾床第一槽に運ぶ為の汚泥移送装置です。ばっ気の空気を利用したエアーリフトポンプです。
接触ばっ気処理後の水は金魚が住める程の綺麗な水になります。
合併処理浄化槽の構造図
合併処理浄化槽はこの図のような構造をしています。左端の流入口から入った汚れた水は嫌気濾床第一槽に入ります。プラスチック製の濾床で、嫌気性微生物の働きで有機物を分解して水を綺麗にします。汚泥移送ポンプ(エアーリフトポンプ)から送られて来た沈殿槽の下の汚泥を含んだ水もここに戻って来ます。
嫌気濾床第一槽で処理された汚水は嫌気濾床第二槽に入ります。ここでも同様に嫌気性微生物の働きで有機物を分解して水を綺麗にします。
嫌気濾床第二槽で処理された汚水は接触ばっ気槽に入ります。接触ばっ気槽ではエアーポンプで大量の空気を送って、プラスチック製の好気濾床に住みついた好気性微生物を育てます。この好気性微生物の働きで有機物を分解して更に水を綺麗にします。
接触ばっ気槽には逆洗装置というものが付いています。好気濾床に付着し過ぎた微生物を時々はがす為のものです。エアーポンプから空気を一時的に逆洗装置へ送って付着した微生物をはがしてやります。
接触ばっ気槽で処理された水は沈殿槽に入ります。ここで汚泥を沈殿させ、綺麗な上澄み水にします。
沈殿槽を出た上澄み水は消毒槽に入ります。消毒は塩素を発生させる薬剤を使用します。私はハイクロンという商品を使用しています。
消毒槽を出た綺麗な水は流出口より、側溝を通って川に流れて行きます。
浄化槽の掃除について
浄化槽は定期的な管理と掃除が必要です。掃除には少なくとも年に1回以上の汚泥などの引き抜きが必要です。私はこれを自分でやっています。
具体的な掃除用ポンプとその方法は水中(汚水)ポンプの改造,(浄化槽の汚水引き出し用)に簡単に書いています。