ツェナーダイオードの使い方
ツェナーダイオードは定電圧ダイオードとも呼ばれて、一定の電圧を得るのに便利なダイオードです。また、一般的なシリコンダイオードの順方向の電圧降下も定電圧特性をしていて、これを定電圧に利用する方法もありますが、これはあまり知られていません。
ツェナーダイオードとは
ツェナーダイオード(zener diode)は定電圧ダイオードとも呼ばれます。通常のダイオードは順方向に電流を流しますが、逆方向に電流を流すことは想定していません。一般的にダイオードは一定以上の逆電圧が掛かると破損します。この電圧をダイオードの耐圧と言っています。
ツェナーダイオードは逆電圧を掛けることを目的として作られていて、一定以上の逆電圧をかけて電流を制限しながら使い定電圧を得る為に使用されます。
シリコンダイオードの電気的特性
ツェナーダイオードの電気的特性は下記の図のようになっていますが、順方向の電気的特性は一般的な シリコンダイオード楽天 と同じです。
つまり、下の図のように一般的なシリコンダイオードの順方向の電圧降下は約0.65Vです。尚、順方向の温度特性は負の特性を持っているので、これを勘案しなければならない場合もあります。
ツェナーダイオードの電気的特性
この図が一般的なツェナーダイオードの電気的特性です。順方向の特性は普通のシリコンダイオードと同じです。
逆方向の電気的特性はこの図のように、ある一定以上の逆電圧が掛かると急激に電流が流れて、ツェナー電圧と呼ばれる電圧で一定になります。
ここのため、電流を制限しないとダイオードが壊れてしまいます。一般的には数ミリアンペア(mA)の電流で使います。
シリコンダイオードの順方向の電圧降下を利用する
定電圧を得るには一般的にはツェナーダイオードを利用するのですが、簡単に約0.65Vの定電圧を得るにはシリコンダイオードの順方向の電圧降下を利用します。
シリシリコンダイオードを1個使えば約0.65Vですが、これを2個3個と直列に使えば手軽に約1.3Vや約2Vの電圧を得ることができます。
応用例として、詩吟用コンダクターの電池部の改造の記事を見てください。この例では7.3Vの電源電圧から約2V低い約5.3Vを3個のシリコンダイオードの直列回路で得ています。
このような使い方をする人はあまりなく、私くらいかもしれません。簡単でも有用な使い方だと思います。
別の応用例としては、PIC電源回路の工夫として使っているものです。何も普通のシリコンダイオードの順方向だけを使わなくても、LEDの順方向の電圧降下を利用することもできます。
この例では、LEDの順方向の電圧降下(1.7V)と普通のツェナーダイオードで約5Vの電圧を得ると共に、LEDの発光を動作表示にも利用しています。これも上手い使い方ではないでしょうか。
ツェナーダイオードで定電圧を利用する
ツェナーダイオードを 定電圧楽天 を作るのに利用するのは、ツェナーダイオードの一般的な使い方であり、誰でも知っているものです。
ツェナーダイオードの温度特性は約5Vを堺にして、それより低いものは負の温度特性を持っていて、それより高いものは正の温度特性を持っています。
ツェナー電圧が5V程度のものが多用されているのはその為です。しかし、総合的な温度特性を勘案してわざと温度特性の悪いものを使うこともあります。