グリッド・タイ・インバーターを使った系統連系(ソーラーとGTI)

グリッド・タイ・インバーターを入手したので、小規模な太陽光発電(ソーラーパネル)の電力を系統連系して家庭内に流すシステムをDIYで製作してみました。ソーラーパネルで発電した電力を簡単な方法で効率良く家庭内で消費できるのでとても良い方法だと思います。

グリッド・タイ・インバーターとその外観

グリッド・タイ・インバーターとその外観写真

住宅用のソーラー発電が新築住宅を中心に普及してきていますが、これは主に昼間に発電した余剰電力を電力会社に買い取ってもらう系統連系方式で、一般的には、高価でとても大掛かりなシステムです。

しかし、特に最近は小規模なグリッド・タイ・ インバーター楽天 (GTI)と呼ばれる機器を使った簡易的に系統連系ができるものが少しずつ普及して来ています。

ソーラーで発電したエネルギーをバッテリーに充電して使うよりも簡単で能率が良いので、法律的には少し問題が残りますが、小規模なものなら良い方法だと私は思います。

私は、このマイクロインバーターと小型のソーラーパネルを使って家庭用の電気と系統連系できる簡易装置をDIYで製作してみましたので紹介します。製作と言ってもただ組み合わせて設置しただけです。

この写真は今回私が使った、小型(600W)のグリッド・タイ・インバーター(Grid Tie Inverter)です。製品にはマイクロインバーター(Micro Inverter)と書いてありました。ソーラーパネルで発電した電力を家庭用の100Vに系統連系して家庭内に送ることができます。

100W程度のソーラーパネルを使うのであれば、インバーターには250W程度でも良いのですが、大きくても価格がほぼ同じだったので、少し大きい600Wのマイクロインバーターにしました。将来パネルを増設する予定ならこれで良かったのかも知れません。

GTIなどの機器の接続方法と運転方法

裏面にあるDC端子にソーラーからのコードを接続します。そして、この表面のパネルには系統連系するAC100Vに接続するコードを接続して、家庭用の商用の100Vにつなぎます。

全ての接続が完了したら、スイッチを入れます。そうすると、RUN表示の青いLEDとERROR表示の赤いLEDが点灯します。その後、ERROR表示の赤いLEDだけが点灯しました。

ここで、しばらく待っていると、RUN表示の青いLEDだけが点滅して、系統連系が始まります。安定して発電するようになるとRUN表示の青いLEDだけが点灯します。そして、家庭内に発電した電力を送り込むことができます。

ソーラーからの給電パワーが変化すると、RUN表示の青いLEDが点滅して動作を変更しているようです。安定するとRUN表示の青いLEDだけが点灯します。

ワットチェッカーをAC100V側に接続しておくと、発電して変換した電圧や電流や力率や電力などを測定することができます。また、発電して送り込んだ積算電力量も測定できます。このワットチェッカーはどちらの方向への電力も区別しないで表示できるようです。

グリッド・タイ・インバーターの裏面と発電したパネルからの接続状況

グリッド・タイ・インバーター(GTI-600W)の裏面の写真

このグリッド・タイ・インバーターGTI-600Wは、元々、12Vシステムのバッテリーを充電する為の太陽電池モジュール用に使う為のインバーターです。この為、入力のDC電圧は最大パワーの時約19Vで、開放電圧は30V以下となっています。

太陽電池パネルも含めて購入するなら、24Vシステム用のパネルとグリッド・タイ・インバーターを買ってください。その方がDC電流が少なくなり扱いやすいと思います。

この写真のようにソーラーパネルからの直流の接続にはバナナチップを使ってみました。

プラス、マイナスの接続は間違えないようにしてください。取り付け、取り外しは簡単ですが、抜け止めの工夫が必要です。私は紐でケーブル毎ケースに縛り付けました。

他に30Aヒューズが2個並列と冷却ファンが付いていました。表側には100V端子とスイッチなどが付いていました。

ワットチェッカーを使って発電量を測定してみました

グリッド・タイ・インバーターで系統連系した電力を測定した写真

グリッド・タイ・インバーターで系統連系した発電電力を ワットチェッカー楽天 で測定してみました。

ソーラーパネルは最大126Wのものですが、少し薄曇りの日でしたので82Wが100Vの家庭用に系統連系して流れているのがわかります。

この他に刻々と変化する電圧や電流や力率や電力などを測定することができます。また、発電して送り込んだ積算電力量も測定できます。

一般の家庭では昼間には換気扇や冷蔵庫やテレビやビデオなどの電気製品をほぼ常に使っているので、系統連系で100W程度を発電しても、家の外まで電力が流出することはまずありません。私の家でも浄化槽のエアーポンプや換気扇が常時動いていますので問題は全くありません。

発電した分だけ電力会社から買わなくても済むはずです。これからワットチェッカーを長期間取り付けて発電の電力量などを測定してみたいと思っています。

インバーターの最低発電パワー

このインバーターでは、一体最低、何ワットまで発電するのか調べてみました。夕方日が暮れて来る頃に調べると、ワットチェッカーの表示で1Wでも発電していました。RUN表示の青いLEDランプが点灯していました。

そして0Wの表示になっても発電していました。つまり、この時はこのインバーターで1W消費しているので、1Wの発電をしていることになります。すごいです。びっくりしました。

夜になると、全てのLEDが消灯して、ワットチェッカーの表示はこのインバーターの消費する電力の1Wとなっていました。

120Wソーラーパネルの設置状況

ソーラーパネルの設置状況の写真

この写真は、屋根の上に置いた三菱電機製多結晶シリコンソーラーパネル(最大発電量126W、19.2V、6.56A、40セル)の設置状況です。

イレクターという鉄パイプ入りで表面がプラスチック製のパイプで架台を製作しました。真南に向けて角度は約35度にしました。

現在はこれを田舎に持って帰って物置の屋根の上に設置しています。

上記のようにグリッド・タイ・インバーターと併用して商用の100Vと系統連系して家庭の発電用に使っています。

使ったグリッド・タイ・インバーターの仕様など

名称は600Wグリッドタイインバーター、用途は系統連系用の正弦波インバーターでAC90-140Vに変換しています。100W程度のものなら法律的には特に何もなく普通の家電製品と同じ扱いです。

ただ普通の家電製品は電力を消費しますが、これは、電力を供給するという違いがあります。AC100Vが停電したら電気の供給も止まります。家庭内から外に電力が出て行く程のものを使うには法律的に問題の無いようにしてください。

入力電圧はDC11Vから32Vです。適合ソーラーパネルはVmp:18V、Voc:21Vと書いてあります。これは12Vバッテリーの充電用に作られたパネルの為のインバーターです。

AC出力電力は600W / 110Vです。

AC出力電圧は90V~140Vの正弦波です。

周波数範囲は48Hz~62Hzにオート同期します。50Hz/60Hz自動切り替えです。

外形寸法は 210x165x53単位[mm]です。

注意事項など

注意事項として、このグリッドタイインバータは、オフグリッドや独立型太陽光システムとして使用することはできません。スマートマイクロインバータのAC出力は、ユーティリティグリッドと同期します。

発電していない時のインバーターの消費電力は約1Wです。これは、ワットチェッカーでも確認しました。つまり、常時接続していても問題はありません。インバーターが自動運転してくれます。

320Wシステム用に増設したソーラーパネル

320Wシステム用に増設したソーラーパネル

グリッド・タイ・インバーターは600Wの能力があるので、120Wで使うには発電量が少なくて勿体ない感じです。この為、100Wの単結晶シリコン ソーラーパネル楽天 を2枚増設して320Wのシステムとしました。(2017年11月)

既存のソーラーの架台をそのまま利用したので、増設分だけの架台を作りました。そうすると、小型の物置の上にソーラーパネルを置くと狭い感じです。

既設のソーラーパネルの影の影響が無いようにすると、屋根から一部はみ出してしまいます。

ソーラーの架台は1つに統合した方が影の影響を考慮しなくてよいので、すっきりすると思います。将来、時間があったら1つにしてみたいと思っています。

既設のパネルは40素子の太陽電池で、新設のものは36素子の太陽電池です。この為、発電電圧が1割程違うので、3つのパネルの出力に逆流防止ダイオードを入れて並列接続にしました。

小形のソーラーパネルには普通は逆流防止のダイオードが入っているのですが、この程度の大きさのソーラーパネルには逆流防止ダイオードは入っていません。正常動作時は特に問題ありませんが、故障などの異常動作時には逆流するおそれがあるので、必ず逆流防止ダイオードを挿入してください。

正常動作時には電圧の違うソーラーパネルを並列に接続した時、ソーラーパネルには常に負荷が掛かっているので、電圧の低い方のパネルの負荷が少し減る程度の影響しかありません。

1日に1から1.5kWh程発電してくれれば良いのですが、どうでしょうか。発電量は約3倍になっているのを確認しました。我が家にはスマートメーターが設置されていますが、2年以上運用しても、今のところ、系統に電力が流れた形跡(逆潮流)はありません。全く問題無いと思います。

GTIの故障と修理

設置から約5年経過した2022年の夏にGTIの出力が0Wなのに気がつきました。GTIを分解してみると、ソーラーを接続するプラス端子の奥が発熱して変色して断線しているのを発見しました。

よく見ると、GTIからの線を接続している端子部の締め付けが緩かったと思われました。また、その先に付いている30Aのヒューズが2個並列になっている部分まで変色していました。このヒューズは切れていないようでした。

ソーラーはこれ以上増設する予定がないので、この60Aのヒューズは不要と思われたので、ヒューズを削除しました。

他の回路の部品については劣化や変色やコンデンサの膨張や液漏れも全く問題なさそうでした。回路はしっかりしているようでした。このまま、まだ10年くらいは使えそうに思いました。