PICを使った防犯ベル用自動再セットタイマーの製作
約20年前に私が製作した防犯ベル装置は今でも現役で働いています。うまく動作して泥棒を進入させないように何度も働いてくれました。PICを使った防犯ベル用自動再セットタイマーの製作記事です。
PIC12F629を使った防犯ベル用自動再セットタイマーの製作
防犯ベルは泥棒が入ろうとした時ベルが鳴りますが、一般的にはベルは鳴り続けます。これでは周りに迷惑を掛けて不便なので一定時間後に停止するようにします。更に停止した後も何度でも動作するように防犯ベルを再設定するようにしています。
しかし製作当時はタイマーの適当なのが見つからなかったので、ナショナルのマルチレンジタイマーATC12112をONモードの5分にして使っていました。
最近 PICマイコン楽天 が使えるようになったので、このATC12112のタイマーをPIC12F629に置き換えてみました。簡単にうまくできましたので紹介します。
防犯ベル用自動再セットタイマーの製作方法
防犯ベル用自動再セットタイマーの回路図
回路の動作と注意点
- 回路図はナショナルのマルチレンジタイマーATC12112の代替部分のみ表示しています。全体の回路は防犯ベル装置の設計と製作のページをごらんください。
- 上の回路図で7番端子(ATC12112の端子番号以下同様)は+12Vの電源に接続します。8番端子は防犯ベル用のリレーの電源側に接続します。1番端子は警報ベルの+12V電源側に接続します。
- 泥棒が入る等で警報が鳴ると防犯ベル用のリレーがOFFとなり、1番端子に12Vが掛かり、R1とD1の定電圧回路で約5Vの電圧がPIC12F629に掛かりPICが起動します。
- PICの4番ピンはタイマー時間の切り替え用の入力端子です。Hで5分Lで3秒です。3秒はテスト用です。
- タイマー時間が経過するとPICの5番ピンの出力はLからHになります。この為にQ2とQ1がONとなります。そして8番端子から防犯ベル用のリレーに+12Vを再び掛けてリレーをONしようとします。もしこの時全てのドアが閉まっていればリレーはONとなり防犯ベルは再びセットされます。
- この時、もしドアが開いていれば、リレーはOFFのままでドアが閉まるまでベルは鳴り続けます。
- この動作がうまくいくかどうかはC3の1000μFがカギを握っています。つまり防犯ベル用のリレーがONしようとする時には、1番端子の12Vは0VになっているのでPICの電源はC3のコンデンサのみからの電源で一瞬の間動作しているのです。
- 最近のトランジスターは高性能なのでR5の10kΩは無くてもかまいませんが、Q2のコレクタ電流が約2.5mA程度なので、hfeが100ならベース電流は約25μA程度でONになります。信頼性を重視するなら付けておいた方が良いでしょう。
- PIC12F629の4番ピン(GP3)には必ずコンデンサーC1を取り付けてください。PICの入力端子にコンデンサーを取り付けないと、手で直接端子を触る等のノイズで簡単に誤動作します。
- PICの4番ピンは入力端子(出力には設定できない)で内部プルアップはできません。プルアップする場合は必ず外部プルアップ抵抗が要ります。
- PICの4番ピンはHで5分タイマーに、Lで3秒タイマーになります。これは起動時にチェックしているだけで動作している時はどんな電圧でもかまいません。
- PICの他の使わない端子は全て出力に設定して開放としてください。
- ウオッチドッグタイマー(WDT)は使いません。使うとプログラムが停止した時、リセットされて最初から動きますので必要ありません。
- 時間精度はPICの内部クロックの精度となります。私の製作した物では5分でプラス3秒の誤差でしたから、約1%の誤差ということになります。このタイマーではこの程度で全く問題ないと思います。
防犯ベル自動再セットタイマーのアセンブラープログラム
私の作成した防犯ベル自動再セットタイマーのアセンブラープログラムです。プログラム部分をエディターで読み込んで、ファイル名をbell_timer.asm等にして保存して使ってください。