ライン・ヘッドホン信号相互変換器の製作

スマートフォンやCDラジカセなどのヘッドホン信号を、ステレオアンプなどのライン端子などで使いたい場合や、反対にライン信号をヘッドホン信号に変換したい時に使える相互信号変換器を製作しました。また、これらの音声信号をICレコーダーなどのマイク端子で録音できる回路も追加しました。

ライン信号とヘッドホン信号をトランスを使って相互に変換します

ライン信号、ヘッドホン信号相互変換器内部の写真

この写真のプリント基板は、秋月電子通商の「ヘッドホン出力・ライン入力間用昇圧トランスキット」を組み立てて改造したものです。

この組み立てキットの プリント基板楽天 は45mmX45mmの大きさで、低周波トランスにはサンスイのST-32を使用しています。

改造の要点は、ライン側にRCAピン端子を追加して使用します。従来、ライン出力用に使っていたステレオミニジャックをマイク録音端子として使用しています。

その後は下記のようにプリント基板のパターンをカットして、抵抗4個を基板の裏に追加して回路を改造します。

プリント基板の隅を加工してプラスチックケースにぎりぎりに入れています。プリント基板は固定する必要はありません。自然に固定されます。

ライン信号、ヘッドホン信号相互変換器(マイク録音端子付)の全回路図

ライン信号、ヘッドホン信号相互変換器(マイク録音端子付)の全回路図

この図が、ライン信号、ヘッドホン信号相互変換器(マイク録音端子付)の全回路図です。

ラインの入出力は、ステレオミニジャックからRCAピン端子に変更しています。この方が使い勝手が良いのと、見ただけでライン信号端子だとわかります。

ヘッドホン入出力端子は従来通り、ステレオミニジャックのままです。ライン信号とヘッドホン信号は、巻線比12対1のトランスを使用しているので、電圧比も12対1となります。信号電圧比は約21.6dBです。インピーダンス比は1200Ω対8Ωとなっています。

マイク録音端子は、従来のステレオミニジャックのOUTPUT側を使っています。この端子のプリント基板のパターンをカットして、68Ωと8.2Ωで電圧を約1/10にしています。ここの減衰量は約19.6dBです。従ってマイク端子の電圧はライン入出力に比べて約-41dB(約1/100)です。

別のページで製作した、ライン信号-マイク信号変換器も約40dB減衰させていますので、この代わりとしても使えます。

このマイク録音端子は、ここにヘッドホンを接続すると、少し音は小さいですが、音声信号のモニターとしても使えます。

電源を全く使用していなくて、音声トランスを使用しているので、ラインとヘッドホンの端子は、どちらも入力にも出力にも使えて、相互に信号変換が可能なのが特徴です。また、トランスの1次側と2次側は絶縁されています。

タカチの小型プラスチックケース(TW5-3-5)に入れる

タカチの小型プラスチックケース(TW5-3-5)に入れた写真

この写真は、ほぼ出来上がったプリント基板を改造したものを、タカチの小型プラスチックケース(TW5-3-5)に入れたものです。

このケースは、このキットを入れるには少し小さいので、基板がちょうど入るようにプリント基板を全体に少しカットしています。

ケースの基板取り付け用の8箇所のダボは邪魔なので、ニッパーで切り取ります。ケースの蓋は付属のビス4本で止めます。

製作結果と、完成した写真

ケースに入れてほぼ完成した写真

この写真がケースに入れて完成したライン・ヘッドホン信号相互変換器です。 ラベルライター楽天 で文字を入れると、とても立派に見えます。

写真の左側がライン信号入出力端子のRCAピン端子で、右側奥がヘッドホン信号入出力端子のステレオミニジャックです。手前はマイク録音端子兼モニター端子のステレオミニジャックです。

ケースの大きさは外形が50X25X50mmです。材質はABS樹脂です。とても小さくてAFトランスが2個入っているので重量感があります。

スマートフォンやICレコーダーのヘッドホン端子からの音声をステレオミニプラグで、このヘッドホン入出力端子に接続して、変換されたライン信号をステレオやカラオケ装置などのラインに接続して使ってみました。

その逆も使えます。ヘッドホン端子の無い機器のライン端子の音声を固定音量のヘッドホン信号に変換できます。この時の音量は通常使われているヘッドホンの音量に近くなります。これを音量調節付のヘッドホンで聞くと便利でしょう。

音響機器のライン端子やヘッドホン端子からの音声をICレコーダーやラジカセのマイクで録音することができます。とても使い勝手の良い信号変換器となったと思います。

ライン・ヘッドホン信号相互変換器の効果

このライン・ヘッドホン信号相互変換器を使わずに、ヘッドホンの信号を直接ベリンガー(Behringer)のXENYX502ミキサーのライン信号に入れてみました。

このミキサーは増幅度が十分あるので、ゲインを上げればヘッドホンやステレオで聞くことができます。しかし、音質はこもったような音になり、良いとは言えませんでした。インピーダンスの不整合と音量を不正規のところで使うのが良くない原因かも知れません。

やはり、このライン・ヘッドホン信号相互変換器を使って、ヘッドホンの信号をラインに変換してやると、本来の臨場感のある良い音質で聞くことができました。

ラインの信号とは(電圧とインピーダンス)

調べてみると、ラインの信号の大きさは決め方によって様々なようです。業務用の音響機器のラインの信号レベルは+4dBuで約1.23Vとなっています。民生用の音響機器では-10dBVで0.32Vとなっています。その差は約4倍もあります。

ラインの出力インピーダンスは数百Ω〜1kΩ程度のものが多いようです。入力インピーダンスはこれと同じか、10k〜50kΩのハイインピーダンスにする場合が多いようです。

ヘッドホンの信号とは(電圧とインピーダンス)

ヘッドホンの信号は、音量調節するもので、かなり大きな変動幅があります。しかし、ここで製作に使ったトランスでライン信号をヘッドホン信号に変換した音の大きさが、ちょうど良い音量になっています。

ヘッドホンやイヤホンの信号電圧はライン信号の約-20dBで、0.05から0.5V程度です。音声信号はヘッドホンで聞くと、かなり小さい音でも聞くことができます。つまり、ライン信号の約-40dB程度のモニター音でも十分聞き取ることができます。

ヘッドホンやイヤホンのインピーダンスは4Ωから150Ωのものまでがよくありますが、ここではよく使われている8Ωから16Ωを想定して製作しています。

マイクの信号とは(電圧とインピーダンス)

マイクから出る出力電圧はダイナミックマイクで約2mVで、コンデンサマイクで約5〜20mVです。

また、マイクのインピーダンスは、種類やトランスの使用の有無によって違います。ダイナミックマイクでトランスを使ったものは約10kΩと高いものがありますが、一般的なマイクでは、約100Ω〜1kΩのものが多いようです。

マイクの入力回路のインピーダンスはハイインピーダンスにする場合が多いようですが、マイクのインピーダンスと大きくかけ離れていると、音質が変化することがあります。