AM送信機のトラペゾイド波形の観測
AMコレクタ変調回路(振幅変調回路)のような終段振幅変調回路の良否を簡単に判定する方法にトラペゾイド波形を観測する方法があります。AMワイヤレスマイクの設計と製作で、トラペゾイド(Trapezoid、台形)波形を観測しましたのでトラペゾイド波形について解説します。
トラペゾイド波形とその観測方法
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AMコレクタ変調回路(振幅変調回路)のような終段振幅変調回路の良否を簡単に判定する方法にトラペゾイド波形を観測する方法があります。これは、オシロスコープをXYモードにして、X軸を終段の電源に接続して、音声信号で変化する電圧をかけ、Y軸にアンテナ出力電圧をかけて測定したものです。
このようにして測定すると、コレクタ側の電源電圧が刻々と変化すると、それに応じたアンテナ出力電圧が記録できて、台形を横にした波形が観測されます。台形の斜めになっている部分が直線状になっているのが良いAM変調波形となります。100%変調では、台形が二等辺三角形になりますので、100%変調まで、うまく変調がかかっているかどうかが一目瞭然です。
実際のトラペゾイド波形の観測
トラペゾイド楽天 とは、台形という意味です。トラペゾイド波形がちょうど台形を横にしたような波形をしているので、このように呼ばれるようになりました。
100%近くまで変調したトラペゾイド波形
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この図がAMワイヤレスマイクを調整して、100%近くまで変調したトラペゾイド波形です。
台形の斜めになっている部分が直線状になっているので直線性の良い振幅変調がかかっているのがわかります。
過変調つまり100%以上の変調をかけようとしても、低周波増幅回路のダイナミックレンジの関係で100%の少し手前までしか変調がかからないような回路になっています。
オシロスコープはソニーテクトロニクスのTHS710を使いました。水平軸の信号のカップリングはDCにします。(水平1V/Div. 垂直20V/Div. 140Vp-p以上あります)
約50%変調したトラペゾイド波形
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この図が約50%変調したトラペゾイド波形です。通常はこのような波形になるところで使うことが多いと思います。とても綺麗な波形です。
音声波形は単一の正弦波でなくて、普通の音声でもレベルが一定ならこのような波形になります。
タンク回路の調整をずらした時のトラペゾイド波形
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100%近くまで変調したトラペゾイド波形でタンク回路を離調した時はこのような波形になります。
タンク回路の調整ができていない時やアンテナを手で触ったりして調整が大きくずれた時もこのような波形になります。
このようになると音声が歪んできますので終段振幅変調回路では、アンテナも含めた終段のタンク回路の調整がとても重要です。
送信機の振幅変調の直線性
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これがAM変調の直線性を測定したものです。これは100%近くまで変調したトラペゾイド波形の上半分の波形と同じと考えられます。
コレクタ変調としてはまずまずの特性をしていると思います。
CSデジタル放送の音楽で変調を掛けて、中波のラジオで聞いてみましたが、普通のラジオ放送と比べて遜色ない音がしていました。