ライン信号-マイク信号変換器の製作

ステレオアンプやテープレコーダーなどのライン信号を使って、ICレコーダーなどのマイク端子から録音したいことがあります。この時、信号を減衰させる抵抗入りの市販のコードを使うのが普通です。私は、簡単に作れるので廃品の部品を使って作ってみました。

ライン信号をマイク信号に変換する減衰器のプリント基盤部

ライン信号をマイク信号に変換する減衰器の拡大写真

この写真の基板は、 オーディオアンプ楽天 やテープレコーダーなどのライン信号(Line Signal)の出力を減衰させて、マイク信号に変換して、 ICレコーダー楽天 などに録音する為に製作したものです。

元々、故障した地デジチューナーが手元にあったので、そのピンプラグを刺す部分とプリント板部分を、プリント板カッターなどを使って切って、取り出してこれを利用して作りました。

追加する部品は47kΩ(または18kΩ)と180Ωの抵抗各2本と、ステレオミニプラグ付きのシールド線だけです。

ライン信号をマイク信号に変換する減衰器の全体

ライン信号をマイク信号に変換する減衰器の全体写真

この写真は、変換器(減衰器)がほぼ出来上がったところです。ステレオミニプラグにコードが付いた物を基板にハンダ付けして使っています。これをマイクの録音端子に接続します。

反対側は、ピンコードを直接差し込んで接続してアンプなどのライン出力端子につなぎます。

ICレコーダーなどのマイクを使った機器には、自動的に信号レベルを調整する機能が備わっているので、こんないい加減な減衰器でも、普通は何もしないでも、適度な信号で録音できるようです。どうしてもうまくいかない場合は抵抗値を変更して減衰量を調整してください。

最終的に、私はR1とR3を47kΩから18kΩに変更しました。これは、使用する機器によって適当な値を選ぶのが良いと思います。この値だと信号は約1/100になります。つまり減衰量は約40dBです。

ライン信号をマイク信号に変換する減衰器の回路図

ライン信号をマイク信号に変換する減衰器の回路図

これが、ライン信号をマイク信号に変換する回路図です。この図の左側にピンコードでアンプなどのライン出力に接続します。出力は、ステレオミニプラグでマイクの入力端子に接続します。

回路は単純な抵抗分割による減衰器です。低周波信号を47kΩ(または18kΩ)の高インピーダンスで受けて180Ωの低インピーダンスで取り出していますので、外部の回路に与える影響が少なく、不要信号の入り込む余地を少なくしています。(最終的にはR1とR3を47kΩから18kΩに変更しました)

信号は約1/260(変更後は約1/100)になります。つまり減衰量は約48dB(変更後は約40dB)です。1Vの入力なら出力は約3.8mV(変更後は約10mV)となります。

180Ωという低インピーダンスでは、シールドしなくても外部からの影響は無いでしょう。

ライン信号とヘッドフォン信号を相互に変換

ライン信号とヘッドフォン信号を相互に変換したり、マイク端子で録音したりしたい場合は、別ページのライン・ヘッドホン信号相互変換器の製作の方が便利だと思います。小型のICレコーダーのヘッドフォン信号を使って、ステレオなどに接続するのに便利です。

ラインの信号とは(電圧とインピーダンス)(1V程度)

調べてみると、ラインの信号の大きさは決め方によって様々なようです。業務用の音響機器のラインの信号レベルは+4dBuで約1.23Vとなっています。民生用の音響機器では-10dBVで0.32Vとなっています。その差は約4倍もあります。

ラインの出力インピーダンスは数百Ω~1kΩ程度のものが多いようです。入力インピーダンスはこれと同じか、10k~50kΩのハイインピーダンスにする場合が多いようです。

マイクの信号とは(電圧とインピーダンス)(0.01V程度)

マイクから出る出力電圧はダイナミックマイクで約2mVで、コンデンサマイクで約5~20mVです。

また、マイクのインピーダンスは、種類やトランスの使用の有無によって違います。ダイナミックマイクでトランスを使ったものは約10kΩと高いものがありますが、一般的なマイクでは、約100Ω~1kΩのものが多いようです。

マイクの入力回路のインピーダンスはハイインピーダンスにする場合が多いようですが、マイクのインピーダンスと大きくかけ離れていると、音質が変化することがあります。