原子力発電所の事故と放射能と退避

2011年3月11日の「東日本大震災」の影響で、福島第一原子力発電所で重大な原発事故が起こりました。放射性物質が漏れて、半径30km以上に退避した方が良いとの情報がありました。原発事故の時の対処方法を簡単にまとめてみました。

原発事故と退避の仕方

放射線を示すステッカーの画像

もし、 原発事故楽天 が起こったら、原発からの距離によって放射線のリスクが違います。放射能物質の量は事故の点からの距離の2乗に反比例します。2倍の距離に逃げれば、そのリスクは1/4になります。とにかく遠くに逃げるのが一番です。

原発事故の時、雨が降っていたらその雨に当たらないようにしましょう。その場合は、絶対に外に出ないようにしましょう。また、風向きにも注意が必要です。

退避する時の服装は、皮膚を露出しないように、長袖、長ズボンで帽子をかぶります。メガネか保護メガネをかけた方が良いでしょう。マスクをするか、濡れタオル等で口と鼻をおおってやり、放射性物質を体内に取り入れないようにします。

もし、屋外で放射能に汚染されたおそれがある場合は、着ていたものを全部脱いで洗うか、ビニール袋に入れます。その後、シャワーで体に付いたものを洗い流してやります。

原発の事故で放出される主な放射性物質

原子力発電所では、ウラン235やプルトニウム239の原子核を核分裂反応によってエネルギーを取り出しています。もとのウラン235やプルトニウム239の原子核は核分裂によって微粒子になります。これらの微粒子はとても放射能レベルが高いものです。

クリプトン85、キセノン133

常温では重い気体の放射性物質なので、事故の時は大部分が大気中に放出されます。クリプトン85は半減期が約11年で比較的長いのですが、キセノン133の半減期は約5日と短いのです。事故直後には問題となりますが、すぐに拡散されてしまいますので後々まであまり問題になりません。

ヨウ素131

ヨウ素131は約180℃以上では気体なので、原発事故では放出されやすい物質です。天然に存在するヨウ素は放射性は無く、安定なヨウ素127です。ヨウ素は水には溶けにくい物質で、気体が冷えるとサブミクロンの粒子(直径約0.1μm)となって大気中を飛んでいきます。

ヨウ素は人体には必須の微量元素で、喉の甲状腺にあり成長ホルモンとして働いています。もし、放射性のヨウ素131を人体に取り込むと、ヨウ素127と同様に甲状腺に集められてしまいます。

ヨウ素131の半減期は比較的短くて約8日です。数ヶ月後にはほとんど残っていません。しかしその間に甲状腺が放射線を浴びて、甲状腺ガンを起こすことがあります。

セシウム137

セシウムは約680℃以上では気体なので、ヨウ素と同様に原発事故で放出されやすい物質です。セシウム137は、半減期が約30年で人の寿命に比べて無視できません。

またセシウムは水溶性で、土壌の粒子と結合しやすいので長期間、土に含まれて残ります。地面から放射線を出し続けたり、農作物に取り込まれて、長期汚染の原因になります。

プルトニウム239

プルトニウム239は原発事故の際には遠方にはあまり放出されません。プルトニウム239は、核分裂で放出される中性子をウラン238が吸収して作り出される物質です。プルトニウム239の半減期はとても長くて約2万4千年です。

プルトニウムの人体への影響は主にアルファ線によるものです。このアルファ線は紙一枚でも遮蔽できるもので、人体の中の極めて短い距離にだけ影響します。

プルトニウムの毒性が大きいのは肺に吸い込んだ場合です。これは長い間肺に付着して肺がんの原因になります。肺に付着したプルトニウムは少しずつ血液の中に入り、リンパ節や肝臓、骨などに集まり放射線の影響を与え続けます。

安定ヨウ素剤(ヨウ化カリウム剤、ヨウ素酸カリウム)を飲む意味

ヨウ素は、体内に取り込まれて甲状腺に集中します。放射性ヨウ素の半減期は約8日です。そのために原発事故の直後に安定ヨウ素剤を飲んでやると甲状腺にはそれ以上ヨウ素が取り込まれません。それで甲状腺ガンを防ぐことができるのです。

安定ヨウ素剤の服用方法と注意

安定ヨウ素剤を飲むには、1日1回成人でヨウ化カリウム130mg(ヨウ素として100mg)、子供は成人の1/2を服用します。服用期間は約一週間以内です。

ヨウ素の副作用は、甲状腺障害やヨウ素アレルギー、耳下腺炎等があります。服用の注意をよく読んで飲み過ぎないようにしましょう。