報道されている原発事故の放射線の数値の誤解

新聞の報道では、30km圏のすぐ外側での放射線の強さ[Sv/h]と、胸のX線集団検診の値や、胃のX線集団検診の値や、一般人が年間で自然界から浴びる値等[Sv]と比較しています。これはそもそも単位が違いますので比較する事そのものが間違っています。

新聞やテレビの報道は放射線量[Sv]と放射線の強さ[Sv/h]を混同しています

放射線を示すステッカーの画像

2011年3月11日の「東日本大震災」の影響で、福島第一原子力発電所で重大な原発事故が起こりました。放射性物質が漏れて、半径20km以上離れた所に退避と、半径20km〜30kmでは屋内退避の方針になっています。

3月18日の読売新聞朝刊によると、16日の測定値で、原発から30〜40kmの地点で14.2〜80[μSv/h]で、50〜60kmの地点で4.0〜22.2[μSv/h]の放射線量を測定したとの報道がありました。また、17日の測定値では、30km圏のすぐ外側で、170[μSv/h]とのことでした。

新聞では、この値と、胸のX線集団検診の値(50[μSv])や、胃のX線集団検診の値(600[μSv])や、一般人が年間で自然界から浴びる値(2400[μSv])や、胸部CTスキャンの1回の値(6900[μSv])等と比較しています。これはそもそも単位が違いますので比較すること自体が間違っています。

新聞報道の間違い(誤解)

新聞の報道では、30km圏のすぐ外側で測定した 放射線楽天 の強さ170[μSv/h]と、胃のX線集団検診の放射線量(600[μSv])や、一般人が年間で自然界から浴びる放射線量(2400[μSv])や、胸部CTスキャンの1回の放射線量(6900[μSv])等と比較していますので、とても低い数値で何も問題は無いような印象を与えています。これは素人(一般の人)を欺くものです。

比較するには単位をそろえる必要があります

もし比較するのなら、単位を揃えなければ意味がありません。単位をマイクロシーベルト/時間[μSv/h]に揃えてみます。そうすると、一般人が年間で自然界から浴びる値(2400[μSv])を一時間当たりに変換すると、0.27[μSv/h]となります。

30km圏のすぐ外側の170[μSv/h]はとても危険です

2011年3月17日に測定された放射線の強さは、原子力発電所から30km圏のすぐ外側で、170[μSv/h]ですので、これと一般人が自然界から浴びる値0.27[μSv/h]とを比較すると、これは何と、自然界の放射線の630倍にもなります。

法律により許容されている被曝線量(自然放射線や治療による被曝を除く)は、一般の人では1[mSv/年]ですから、170[μSv/h]の放射線なら、わずか約6時間で許容量を超えてしまいます。

もし、170[μSv/h]の放射線を一年間浴びると、約1.5シーベルト[Sv]にもなります。これは短時間に浴びれば、急性放射線障害を起こしたり、悪心や嘔吐、水晶体の混濁等を起こしたりする、1シーベルトより強いものです。また、2シーベルトでは5%の人が死に至るレベルです。

あなたは一日に80回も胸のX線集団検診を受けますか

原発から30km圏のすぐ外側で測定された放射線の強さ170[μSv/h]を、胸のX線集団検診で受ける放射線量(50[μSv])と比べてみます。これは、約18分毎に胸のX線集団検診を受けているのと同じ事です。こんなに頻繁にX線集団検診を受けてみたいと思いますか。この場所に一日居ると約80回も胸のX線集団検診を受けたことになります。

事故原発から50〜60km離れても22.2[μSv/h]の放射線は危険です

法律により許容されている被曝線量(自然放射線や治療による被曝を除く)は、一般の人では1[mSv/年]ですから、22.2[μSv/h]の放射線なら、わずか約45時間で許容量に達してしまいます。

3月16日に測定された、原発から50〜60km離れた所の放射線の強さ22.2[μSv/h]は、胸のX線集団検診で受ける放射線量(50[μSv])と比べると、約2時間15分に1回、(または1日に約11回)、胸のX線集団検診を受けるのと同じです。これで安全と言っている人は何を考えているのでしょうか。自分の身は自分で守るしかないと思います。

被曝線量シーベルト[Sv]と放射線の強さ[Sv/h]

シーベルトは生体への被曝線量[Sv]を表わす単位です

シーベルト(Sievert、Sv)とは、生体への被曝線量(ひばくせんりょう)を表わす単位です。つまりシーベルトは被曝線量という生体が受けた放射線の総量であり、放射線の強さではありません。

単位時間当たりの被曝線量は放射線の強さ[Sv/h]を表わします

生体への放射線の強さ(強度)を表わすには、単位時間当たりのシーベルト(被曝線量)を使います。単位は[Sv/h]のように1時間当たりの被曝線量で表わします。しかし、テレビ等の報道では、1時間当たりの被曝線量を単にシーベルトと言って、放射線の強さとして使っていることがありますので注意が必要です。

また、放射線の強さ[Sv/h]を論じる場合に、比較として病院でCT検査を1回受けた時の被爆線量や胃のレントゲン撮影の被曝線量[Sv]を使っている場合がよくあります。これは比較する単位が元々違いますので単純に比較はできません。放射線の強さ[Sv/h]に時間を掛けてやり、被曝量[Sv]に直して、単位を揃えて考える必要があります。

自然放射線の量

私達の生体が受ける自然放射線の量は、全世界平均の1年間で2.4ミリシーベルトと言われています。これは0.27 [μSv/h] の放射線強度に相当します。

法律により許容される被曝線量(自然放射線や治療による被曝を除く)

一般の人は1[mSv/年]を超えないこと。放射線や放射能を扱う医師、レントゲン技師、看護師は20[mSv/年]を超えないこと。

法律による許容量というのは、それ以上だと、何らかの健康被害が起こる可能性があるから決められていると思います。少し超えたからすぐ問題があるというものではありませんが、許容量を超えないようにしたいものです。

短時間に受けた放射線被曝量と人体の症状

150ミリシーベルト = 男性は一時的に不妊になります

250ミリシーベルト = 白血球が減少します

500ミリシーベルト = リンパ球が減少します

1シーベルト = 急性放射線障害が起こります。悪心や嘔吐、水晶体の混濁等

2シーベルト = 5%の人が死に至ります

4シーベルト = 50%の人が死に至ります

7シーベルト = 100%の人が死に至ります

医療機関での被曝

病院でCT検査を1回受けた時の被爆線量は約7ミリシーベルトです。胃のレントゲン撮影では0.5〜3ミリシーベルトの被曝があります。胸のX線集団検診1回では約50マイクロシーベルト[μSv]の被曝があります。