エアコン用真空ポンプの役割と使い方
エアコンなどを取り付ける時、真空ポンプは重要な工具のひとつです。真空ポンプはエアコンの配管パイプ内や室内機のパイプ内のエアパージや水分を真空乾燥させるのに必要なのです。このページは真空ポンプの役割と使い方について解説しています。
冷凍機、エアコン用真空ポンプとその役割
冷蔵庫や冷凍庫やエアコンの修理や取り付けの時に、真空ポンプを使いますが、その主な役割は冷媒の通るエアコン内と配管パイプ内のエアパージと真空乾燥です。
エアパージとは、エアコンの取り付け時などに配管パイプ内や室内機内に残っている空気を取り去る事です。真空乾燥とは、配管内や室内機内を一時的に真空にして、残っている水分を蒸発乾燥させる事です。
もし、エアパージや真空乾燥を行わないと、冷媒に空気や水分が混じってしまい、冷媒を使った冷却や発熱の動作がうまくいかなくなる可能性があります。もちろん、ゴミなどの異物が混じっても動作に影響します。
エアコン用真空ポンプの写真
これがエアコンなどに使う真空ポンプの写真です。タスコのTA150SBという機種です。小型でもツーステージ方式です。
到達真空度は38ミクロンHg(つまり、水銀柱で38μmの圧力)で、吸入口は5/16インチのフレア用です。
最近の機種では真空ポンプアダプターが内蔵されていますので、真空ポンプアダプターは外付けでの必要はありません。
真空ポンプには専用の真空ポンプオイルが入っています。これが劣化すると真空到達度が悪くなってきます。また、真空ポンプの寿命にも影響しますので、早めに交換しましょう。オイルは規定量を入れます。
真空ポンプアダプターの役割と使い方
これが古い真空ポンプなどに取り付けて使う、 真空ポンプアダプター楽天 です。真空ポンプのオイルが配管内に逆もどりするのを防ぎます。
R410A未対応の古い真空ポンプには必須のものです。エアコンの配管内に真空ポンプのオイルが逆流しないように必ず古い真空ポンプには取り付けて使用してください。
空気や水分などの異物を除去する為に真空ポンプを使っているのに、オイルをパイプ内に入れたのでは何をしているのかわかりません。
付属されているフレアアダプターは従来(R22)用の1/4インチサイズを新冷媒(R410A)用の5/16インチに変換するものです。
このアダプターの使い方は、真空ポンプの電源コードをこのアダプターのコンセントに差し込んで、ここから電源を取るようにします。
エアパージでの真空ポンプの使い方
セパレート型エアコンの取付け時、配管内と室内機のパイプ内の空気と水分を真空ポンプで除去するのが真空ポンプ方式です。エアパージとは配管内の空気を除去することです。
真空ポンプを使う方法(推奨方式)
環境破壊を防ぐ為、真空ポンプ方式が推奨されています。
- エアコンの配管が済んだら、サービスポートと、この写真のようなマニホールドの低圧側とをホースで接続して、マニホールドの低圧側バルブを開けておきます。
- マニホールドの真ん中の黄色いホースを真空ポンプに接続します。
- 真空ポンプアダプタ一体型の真空ポンプ以外は、真空ポンプアダプターを真空ポンプに取り付けます。
- 真空ポンプを約15~20分間運転して配管内と室内機の中の空気と水分を抜きます。
- 圧力ゲージで-0.1MPaを確認します。
- マニホールドのバルブを閉めて、真空ポンプを停止します。その状態で約10分間放置して、真空状態をチェックします。(ゲージ圧力が変化しない事を確認します)
空気と水分を抜くだけなので、特に高真空にする必要はありません。終ったら真空ポンプを外してエアコンのバルブを開けます。
なぜ、真空ポンプで乾燥できるのか
水は、一気圧では100度Cで沸騰します。気圧を低くしていくと、100度より低い温度でも水が沸騰するようになります。気圧の低い富士山頂でご飯を炊くと芯ができるのはこの為です。
真空に近い圧力では、水は常温でも沸騰します。つまり、常温でも水がどんどん蒸発して乾燥できることになります。つまり、真空に近い宇宙空間では水は液体では存在できないのです。