石油ファンヒーターの修理手順(よくある故障事例)
石油ファンヒーターが故障すると寒くて困るのですが、故障とは言えない簡単なものは素人でも対処できるものです。燃料切れや灯油への水の混入やファンやその周辺への埃の付着など、修理を依頼する前に自分で簡単にチェックしたいものです。
自己診断機能の活用(エラーコードのチェック)
石油ファンヒーターに異常があったら、まず、エラーコードをチェックして、自己診断機能を活用しましょう。この機能だけでかなりの故障を特定できます。異常で止まった場合はエラーコードが表示部に出ていることがあります。
燃料が供給されないで途中で止まる場合
石油ファンヒーターの燃料の 灯油楽天 が途中で供給されない状態になって止まってしまうことがよくあります。アラジンの石油ファンヒーターでは、U13のエラーになります。
一番多いのは燃料切れです。これは、カートリッジタンクを外して燃料を入れてやります。
また、買ってきた灯油には多かれ少なかれ水が混入していることがあります。この水がカートリッジタンクの下の受け皿に次第に溜まると、カートリッジタンクに灯油があっても燃料が供給されません。
これは、受け皿のフィルターが全て水で覆われると、フィルターが水を通さないので、油もフィルターを通過できないからです。この場合は受け皿のフィルターを掃除してやります。
埃の付着(ファン周辺や吸気フィルター)による停止
コロナの石油ファンヒーターでは、EFまたはEHのエラーになります。トヨトミの石油ファンヒーターでは、E-0のエラーになります。ダイニチの石油ファンヒーターでは、E09のエラーになります。アラジンの石油ファンヒーターでは、U04のエラーになります。
対流ファンやその周辺やほこりフィルターに埃が付着すると、石油ファンヒーター本体の温度が異常に上昇して動作が停止することがあります。この場合は、ファンやフィルターの埃を取り除いてやり掃除をします。本体の分解が必要になることもあります。
対流ファンのフィルターとは別に、吸気フィルターがある機種もあります。これは、燃料を燃やす為の空気の取り入れ口のフィルターです。ここが埃で詰まると、燃焼用の空気が不足して、赤火燃焼したりして不完全燃焼で停止することがあります。この場合もフィルターの掃除をします。
フレームロッドにシリコーンなどの絶縁物が付着
コロナの石油ファンヒーターでは、E0やE4のエラーになります。トヨトミの石油ファンヒーターでは、E-6のエラーになります。ダイニチの石油ファンヒーターでは、E03のエラーになります。アラジンの石油ファンヒーターでは、H36のエラーになります。
石油が正常に燃焼しているかどうかを常に監視しているものが、 フレームロッド楽天 と呼ばれる部品です。このフレームロッドは、炎の中を微小な電流が流れることを利用して、炎の状態を監視しています。
この部品に空気中に含まれるシリコーンなどの絶縁物が付着すると、炎電流が流れなくなり正常な燃焼状態かどうかを監視できなくなるのです。このようになった場合は、分解してフレームロッドを交換するか、フレームロッドをワイヤブラシなどで磨いてやります。
シリコーンがフレームロッドに付着するのを防ぐには、女性が使う髪のシリコンコート剤などを石油ファンヒーターのある部屋で使わないことです。また、床用のシリコーンの入ったワックスや家具のつや出し剤や防水スプレーなどでも同じ症状になりますので注意が必要です。
気化器の不良(不良灯油などによる)
エラーコードは前記のフレームロッドにシリコーンが付着した場合と同じになることが多いと思います。
長い間石油ファンヒーターを使用していると、 気化器楽天 が次第に目詰まりしてきます。不良灯油を使うと一気に気化器の不良となります。そうすると、燃焼炎が大きくならなくなって、最後には燃焼を持続できなくなって停止します。
下記のように気化器のクリーニングをすれば直ることもありますが、症状が進んだ場合は気化器を交換するしか方法はありません。
気化器の空焼き(クリーニング)方法
気化器を交換する前に気化器のクリーニングをしてみましょう。また、シーズンオフになる前には必ず気化器の手入れ(クリーニング)をしましょう。
まず、灯油を専用のスポイトなどを使ってタンクなどから全て抜き取ります。臭いがしますので、屋外でスイッチを入れて気化器のクリーニングのスイッチを入れます。機種によっては「お手入れ」などと書いてあるかも知れません。
何時間も掛かる場合がありますので、終了するまで待ちましょう。気化器のクリーニングをしても性能が回復しない場合は気化器を交換します。
シーズンオフには灯油を抜いておく
シーズンオフにタンクの中から灯油を抜き取っておかないと、残った灯油の揮発成分が揮発して、灯油が不良灯油となって、石油ファンヒーターが故障する原因になります。
専用のスポイトを使うか、鶴首スポイトを改造した灯油抜き治具を使ってください。これはとても便利です。
換気不良による停止
エラーコードは前記のフレームロッドにシリコーンが付着した場合と同じになることが多いと思います。
石油ファンヒーターを密閉した室内で使うと、空気が不足して不完全燃焼になります。そうなると換気ランプが点灯して停止することがあります。時々は部屋の換気をしてください。
換気しても燃焼が停止する場合は、フレームロッドにシリコーンが付着した場合や気化器の不良などの場合も考えられます。その場合は、フレームロッドを磨いたり交換します。また、気化器の不良では気化器を交換します。
このようにフレームロッドにシリコーンが付着する現象は、スプレー式の枝毛コート剤などが原因となる事が多いので、枝毛コート剤を使う時は石油ファンヒーターを使っていない部屋でやってください。
コンセントに挿すとファンが回るだけの故障
エラーコードは前記の埃の付着(ファン周辺や吸気フィルター)による停止とほぼ同じになることが多いと思います。
電源プラグをコンセントに挿すと対流用のファンがすぐに回るだけになるものです。この場合、空気の対流によって冷やされるべき所に付いている温度ヒューズが切れている場合があります。たいていは、燃焼部分の前の上の方やその横に付いています。これは温度が下がると自動復帰するものが多いようです。
これは、石油ファンヒーターを運転中に電源プラグを抜いてそのまま放置するとよく起こる故障です。つまり、機器の温度が高い状態でファンが回らなくなって、異常温度になって温度ヒューズが切れるのです。
石油ファンヒーターは運転を停止しても、対流用のファンが停止するまでは、電源プラグを抜かないようにしましょう。