アンテナのRF接地(アース)とカウンターポイズ

ロングワイヤーアンテナやロッドアンテナなどの接地型のアンテナではRFグラウンド(高周波の接地やアース)がとても重要です。アンテナの場所が高くて大地に直接接地できない時は、カウンターポイズと呼ばれるものを使用すると効果的です。

接地型アンテナのRFグラウンドの重要性

ダイポールアンテナと接地型アンテナの模式図

接地型アンテナのRFグラウンドは アンテナ楽天 の一部です。例えばCB(27MHz帯のシチズンバンド)のハンディトランシーバーやアマチュア無線の50MHzのハンディトランシーバーでは、ロッドアンテナを伸ばしただけでは良く電波は飛ばないものです。

トランシーバーをしっかりと手に持ってやると遠くまでよく電波が飛んで、トランシーバーを置いてやるとうまく交信できないのを経験したことはありませんか。これは、人体がRFグラウンド(接地、アース)の役目をしているのです。

つまり、この図で、半波長ダイポールの下半分がトランシーバーの筐体となっている場合や、1/4波長垂直接地アンテナの接地が十分でない場合と考えられます。

私は大学生の頃、50MHzのFD-AM3というAMハンディ機で東京都青梅市の御嶽山から都区内や近県の各局と交信したことがありますが、この時、内蔵のホイップアンテナを使用しました。しかし、電波の飛びは今ひとつでした。

この時、このようなこともあろうかと、1.5mのリード線(50MHzでλ/4)を持参していました。これをトランシーバーの金属部に接続すると、相手の信号が、がぜん強くなったのを覚えています。このリード線がアンテナのRFグラウンド(接地、アース)の役目をしていたのです。

カウンターポイズとは

カウンターポイズとはモノポールアンテナ(ロングワイヤーアンテナやロッドアンテナや単一アンテナ)のアース側に取付ける仮想の接地のことで、大地に接地するのではなく、大きな金属メッシュや1/4波長程度の電線を何本かをアース側に放射状にとりつけたものです。

本来は大地に接地すべきアンテナの一部をカウンターポイズとして接続するもので、地上に置いても良いし、地上から離してもかまいません。また地中に埋設することもできます。

カウンターポイズを地上高く設置すれば、給電点を高くすることができますので、電波を遠くへ飛ばすことが可能になります。

絶縁しないで地中に埋設すれば、これは大地アースと同じように思われますが、電線の長さが長くなったり、広い範囲になったりすれば、大地アースとはまた違った性質のものとなります。

また、短波より低い周波数では、カウンターポイズの長さが数メートルから数百メートルにもなり、地中に何本も浅く埋設していても、接地抵抗はとても低くなります。

大地の接地抵抗とカウンターポイズ

接地アンテナを大地に接地すれば、大地の接地抵抗がアンテナの輻射抵抗(放射抵抗)と直列になるので損失が発生します。

そして、アンテナの輻射抵抗(放射抵抗)に比べて接地抵抗が無視できなければ電波の輻射効率(放射効率)が悪くなります。

しかし、一般的に波長に比べて十分大きなカウンターポイズでは接地抵抗がほぼ零となるので損失は発生しません。

必要なカウンターポイズが無い場合

商用電源の無線機器で、カウンターポイズが必要なのに、もし、付けなかった場合は、電源コードがカウンターポイズのような働きをする場合があります。

もしこれが送信機だと、電源コードがアンテナのようになってTVI(テレビへの電波障害)やBCI(ラジオへの電波障害)が発生しやすくなります。

もしこれが受信機だった場合は、電源から来るノイズが多くなる危険性があります。このようにカウンターポイズはとても重要なものなのです。

カウンターポイズの先端を大地に接地するのは問題です

カウンターポイズの先端を大地に接地する人がまれにありますが、一般的には、この方法には問題があります。

1/4波長のカウンターポイズの先を大地に接地すると、この接地点の電位が低くなり、1/4波長離れた、給電点が電圧最大点になるからです。つまりカウンターポイズに定在波が乗ることになります。

このようにすると反対にTVIやBCIが発生しやすくなったり、送信電力が大きいと送信機の筐体に触ると高周波で感電することがあります。

このような例は2階から大地にアースする場合に当ります。もし2階から大地にアースする場合は、危険防止の観点からはRF(無線周波数)を阻止するコイルを通して接続してやることで解決できます。RFに対してはカウンターポイズを使用します。

建物が鉄筋コンクリートの場合には窓枠にアースすることで、建物の鉄骨や鉄筋全体を接地として利用できます。この場合はカウンターポイズは特に必要ありません。

カウンターポイズのアンテナへの応用

カウンターポイズのアンテナへの応用というのが適当かどうかわかりませんが、グランドプレーンアンテナのグランドに相当する部分はカウンターポイズそのものです。