分配器と分波器の違い(用途と注意事項)
分配器と分波器は名前がよく似ています。また、用途も似ていますので、使い方がよくわからず、間違って使ってある場合もあります。分配器は電気的な信号を均等に分けるものです。分波器は混合されているテレビ信号などを周波数の違いを利用して分離する為のものです。
分配器とは(分配器は信号を均等に分けるものです)
分配器は電気的に信号を均等な大きさに分けるものです。4分配器であれば、信号を均等に4つに分けます。どの出力信号でも同じ大きさの信号が出力されます。
4分配すれば、4つの出力端子に1/4ずつにエネルギーを分けたものが出力されます。出力端子からの信号レベル(エネルギー)は、 分配損失楽天 があるので、実際の信号出力は入力信号の1/4以下になります。
分配器の用途と注意事項
分配器は高周波信号(電波の信号エネルギー)を均等な大きさに分ける機器ですので、一般的には家庭の天井裏等で、アンテナからの信号を各部屋に均等に分ける用途に用いられます。
周波数が高い程、分配器での損失が多くなります。また、分配する数を増やせば増やすほど信号エネルギーが弱くなります。従って、分配数は必要最小限にした方がより美しい画像や音が楽しめることになります。
分配器には電源を送ることができる電流通過型とそうでないものがあります。また、電流通過型でも、正の直流しか通過しないものと、交流も通過するものがありますので注意してください。最近はプラス15Vを通過させるものが多いようです。その他に、全端子電流通過型と1つの端子だけに電流を通過できるタイプのものがあります。
分配器には、屋根の上や屋外で分配するタイプの防水型と、室内で分配するタイプの非防水の屋内型とがあります。防水型を屋内で使用してもかまいませんが、屋内型を屋外で使用すると機器内に湿気や水が入ったりして、寿命が縮まりますので注意してください。
分波器とは(分波器は信号の周波数の違いを利用して分離します)
分配器が信号を均等に分けるのに対して、分波器は信号の周波数の違いを利用して分離します。つまり、ある周波数より高い信号と低い信号とに分ける機器の事です。中身はハイパスフィルターやローパスフィルターになっています。3分波の場合は、前記のフィルターに加えてバンドパスフィルターも使用しています。
分波器の用途と注意事項
テレビ用の壁面端子の信号は、一般的に全てのテレビ信号が混合されて一本の同軸ケーブルで伝送されています。また、テレビのアンテナ入力端子は、VHF/UHFとBS/CSの2つアンテナ端子があるのが一般的です。この為、信号を分離する「分波器」を使用します。地デジの場合は、地デジとBS/CSの信号の分離に分波器を使います。
分波器の代わりに分配器を使用している場合がよくあります。このようにすると、分波器に比べて分配器は信号の低下が大きいので、受信レベルが低くなるので注意しなければなりません。
普通の分波器の信号の低下は約2dB~4dBです。分配器の信号の低下は2分配器の場合、約4dB~10dBです。もちろん、電波の強さが十分大きいならば、分波器の代わりに分配器を使用できます。
なお、分波器を分配器の代わりに使用することはできません。分配器のつもりで分波器を間違えて買わないように注意してください。
一般的な混合器と分波器の違い
分波器の構造は一般的な混合器とほぼ同じなので逆に接続すれば混合器としても使用できる場合があります。つまり、一般的な混合器と分波器は構造的には同じものです。中身がハイパスフィルターやローパスフィルターやバンドパスフィルターになっていますので当然ですね。
しかし、混合器は屋根の上で使用する場合がありますので、その場合は、防水型を使用する必要があります。分波器の防水型は市販されていないはずです。