電波とアンテナについて
電波(電磁波)と普通の家庭用の交流電源とは何が違うのでしょうか。電波とはどのような性質のものなのでしょうか。電波の速さはどのくらい。周波数とは。波長はどうやって計算するのか。アンテナの大きさは何で決まるのか。など、素人でもわかるように解説しました。
電波とは(電磁波とは)
電波とは何でしょうか。家庭で使う交流の100Vの電気とはどのように違うのでしょうか。
これは主に周波数の違いです。周波数とは、1秒間に交流の電気のプラスとマイナスが入れ替わり元に戻る回数のことです。家庭用の交流100Vは50又は60ヘルツ(Hz)で1秒間に交流の電圧が上がって下がる(マイナスまで下がる)のを50又は60回繰り返しています。
これに比べて電波は周波数が300kHz~3,000GHzのものを言います。つまり3x105~3x1012Hzの周波数です。3の後ろに0が5個から12個も付く程高い周波数なのです。
電波のように高い周波数になると、アンテナを使って遠くに(宇宙ステーションや月や惑星など)、速く(光とほぼ同じ速度で)電気信号を届けることができます。
この図は振幅変調した電波の周波数と振幅の関係を模式的に表わしたものです。S信号波というのは音声など(300~3kHz)の波形です。
C搬送波というのが変調されていない元となる電波です。
DのAM変調波というのは、搬送波(電波)をS信号波で振幅変調したものです。このように音声などの信号で変調して電波として送るのです。
この振幅変調という方式は中波のAMラジオなどの電波と同じものです。変調にはこの他に周波数変調や位相変調などがあります。
アンテナとは(アンテナの大きさ)
アンテナは電波を空中に効率良く放射したり、遠くから来た電波を効率良く集める為の空中線などです。空中線と言っても線状になっていない物やパラボラアンテナのような物もあります。
アンテナの大きさは波長の長さと比例関係があり、その性能は、一般的にはその大きさに関係します。
この図のように基本になるアンテナは、普通は、半波長の ダイポールアンテナ楽天 や1/4波長の接地アンテナです。
1/2波長の電線の中央部から給電すると、中央部は電流が多くて電圧が低くなっています。定在波ができていると言います。
また、先端部は電圧が高くて電流が少なくなっています。そこから先には電流が流れていかないので当然ですね。
長年の研究からアンテナをこのような構成にすると効率良く電波を発射できることがわかっています。
この図のように、1/4波長の接地アンテナは1/2波長のダイポールアンテナの半分と同じような動作をします。
ほぼ、全てのアンテナは、基本的にこのように電圧の高い所と電圧の低い所があり、その場所は決まっているものです。これを定在波のあるアンテナと呼ぶこともあります。
定在波の無いアンテナは数少ないのですが、その例としては、ロンビックアンテナのような特殊な進行波アンテナがあります。
波長とは
電波の速度は光と同じく、1秒間に約30万キロメートル進みます。月までの距離が約38万キロメートルですから、月まで1秒ちょっとで電波は届きます。
電波は水の波と同じような性質がありますから、この30万キロメートルの間に、電波の周波数分だけの波が存在しています。そうすると、波と波の間の距離つまり、波長は次のようになります。
波長λ = (30万キロメートル)/周波数
地上デジタルテレビの波長とアンテナ素子の長さ
地上デジタルテレビの周波数は現在、470MHz~770MHzですから、これを約600MHzとすると、この電波の波長λ[m]は
波長λ[m] = 300,000,000[m]/600,000,000[Hz] = 0.5[m] となります。これを書き直すと、
波長λ[m] = 300[m]/600[MHz] = 0.5[m] つまり、300mを周波数[MHz]単位で割ったものが波長[m]となります。
600MHzの地上デジタルテレビ電波の波長は50cmとなります。1/2波長では25cmとなります。地上デジタル放送の受信アンテナで代表的な八木アンテナの素子がそれぐらいの長さになっているのに気が付きましたか。
携帯電話の波長とアンテナの長さ
携帯電話で使用している電波の周波数は約850MHzです。この波長を計算してみると、
波長λ[m] = 300[m]/850[MHz] ≒ 0.353[m]
つまり、波長は約35cmです。1/4波長なら約9cmです。これなら携帯電話の大きさとあまり違わないですね。うまくすると、携帯電話の中にアンテナを埋め込めるということです。もし、もっと低い周波数を使っていたら、携帯電話からアンテナがはみ出してしまいます。