バイコニカルアンテナ

バイコニカルアンテナ(Biconical Antenna)は、ダイポールアンテナの素子の両端を太くして円錐状としたものです。このような構造にすることによって広帯域性が得られます。これは、ダイポールアンテナの素子を2本にして角度を付けたAWXというアンテナも広帯域なことから容易に想像できます。

バイコニカルアンテナとは

バイコニカルアンテナのバイ(Bi)はふたつのという意味です。コニカルは円錐のようなという意味です。つまりふたつの円錐の形をしたアンテナということになります。

円錐状楽天 導体(コーン)が一つ(mono)の構造のものをモノコニカルアンテナといいますが、ひとつのコニカルともう一方が円盤状になったものを、ディスコーンアンテナ(ディスク+コーンアンテナ)といいます。

バイコニカルアンテナの広帯域特性

バイコニカルアンテナはとても広帯域な特性を持っています。精密に作られたバイコニカルアンテナはVHFの30MHz?300MHzもの広帯域特性を持ったものまであります。

バイコニカルアンテナの写真

バイコニカルアンテナ旅行中、「あわじ花さじき」の頂上付近で偶然にバイコニカルアンテナを見つけたので写真に撮ってきました。しかもVHF用と思われるのが5個スタックになっていました。その上にはUHF用と思われるバイコニカルアンテナの5個スタックもありました。5個スタックなら約4dB程度のスタック利得があるのではないでしょうか。受信用にしてはとても贅沢な使い方です。

このアンテナは総務省の遠隔方位測定設備(DEURAS-D)とのことです。私たちアマチュア無線家や放送局等の電波利用者が支払っている電波利用料を財源として整備されています。

遠隔方位測定設備とは、全国の各地の鉄塔やビルの屋上等に設置している幾つもの受信局を、各地にある各総合通信局に設置しているセンタ局と高速デジタル専用回線等で結 んで構成されています。

測定周波数範囲は25MHz?3GHzと広く、自動監視も可能です。急速に普及が拡大している移動通信をはじめ、無線通信に混信や その他の妨害を与える不法無線局の監視を行っています。

バイコニカルアンテナの指向性と利得他

単体のバイコニカルアンテナはダイポールアンテナの変形となりますので、ダイポールアンテナと同じく、垂直にすれば無指向性のアンテナになります。水平にすれば8の字の指向特性となります。

バイコニカルアンテナの利得は6dBiと表示してある製品がありますので、ダイポール比4dB程度ということになりますが、少し多めのような気がします。

バイコニカルアンテナの利得はそんなに大きくなくても実際に自動車などに付けて使った場合、QSB(フェーディング)が少ないと言われています。

つまり車が移動することによって、電波が強くなったり弱くなったりする比率が小さいということです。

バイコニカルアンテナのインピーダンス

バイコニカルアンテナの給電点のインピーダンスは接続するケーブルの関係で、普通は50Ωになるようにしています。円錐形状の頂角を大きくするとインピーダンスは小さくなります。

極限まで頂角を小さくするとダイポールアンテナになってしまいます。ダイポールアンテナの給電点のインピーダンスは約73Ωですから、この頂角を大きくしていくと50Ωになることは容易に想像できます。