ヘンテナというアンテナについて
ヘンテナとはアンテナの種類のひとつです。寸法が少し位違っていても、エレメントの途中を切ったり、変形してもうまく働きます。縦長のアンテナなのに水平偏波になります。性能が比較的良くて、日本のアマチュア無線家が考案したものです。
ヘンテナとは
ヘンテナ(へんてな)とは、アンテナの種類のひとつです。名前の通り「変なアンテナ」です。何が変かというと、寸法が少し位違っていても、エレメントの途中を切ったり、変形してもうまく働くこと、縦長のアンテナなのに水平偏波になること等です。
ヘンテナの歴史
1972年に アマチュア無線楽天 クラブ「相模クラブ」のミーティングで染谷一裕(JE1DEU)さんがDEUクワッドを提案したのがきっかけで、大久保忠(JH1FCZ)さんが中心となりヘンテナが開発されました。
その後、多くのアマチュア無線家の手によって様々な改良が加えられています。アマチュア無線家の間では世界的にも有名で日本で考案されたアンテナです。
ヘンテナの特徴
長辺が約1/2波長で、短辺が約1/6波長の長方形のループエレメントから構成されていて、長辺の中央よりずれた、それぞれの1点に給電点があるアンテナです。マッチングの調整は、給電点の位置を変更することによって行ない、基本的にはエレメントの長さを調整する必要はありません。
構造が簡単でも高性能です。左の図のような構造のアンテナでは、水平偏波で水平面指向性は、最大輻射方向から左右90度にヌル・ポイントがありますが、ほぼ無指向性に近い8の字特性です。またヘンテナの前方利得は半波長ダイポール比約3.0[dBd]です。利得は4エレメントの八木アンテナに相当するそうです。ということは、垂直面の指向性が鋭い(低輻射角)ということです。
この構造のヘンテナは水平偏波で設置面積が狭くて済むし、ヘンテナの中央には金属のマストが使えるので、簡単に設置することができます。私は50MHz(6m)の移動運用でよく使いました。約900MHzのパーソナル無線のアンテナにも使ったことがあります。
ヘンテナの調整方法
正確に作成するにはSWR(Standing Wave Ratio) メーターで定在波比を測定して、これが最小になるように給電点の上下位置を調整します。でも適当に作ってもそこそこ動作するところが良い点です。
私の経験では、50Ωの給電線で接続する場合、給電点の位置はλ/2の垂直エレメントの下から約20~25% (λ/10~λ/8)のあたりに最良点があります。SWRメーターが無い場合はこの値を参考に適当に作ってもそこそこの性能が出せると思います。
ヘンテナの給電方法
ヘンテナはダイポールアンテナと同様に平衡アンテナです。従って不平衡の同軸ケーブルを直接つなぐのはあまり良くありません。しかし、実用上は直接つないでも大きな問題は無いようです。
不平衡を平衡に変換するにはバラン(Balun)を使います。バランには、同軸ケーブルを利用したシュペルトップ (バズーカマッチ)やUバラン(インピーダンス比1:4)がよく使われています。周波数が低い場合はフェライトコアを使ったバランでも良いと思います。
ヘンテナの応用(種類)
- ヘンテナの上半分を切り取ったものにフォークヘンテナというものがあります。これは動作がヘンテナとは少し違いますが、高さがヘンテナの半分になるので低い周波数では有効かも知れません。
- フォークヘンテナの下にλ/4のエレメントを2個取り付けたものもヘンテナの一種です。これをHヘンテナと言います。
- ヘンテナを横に倒してからλ/2部分を丸くなるように変形することができます。 このようにすると、電波は垂直偏波に変わりますが、うまく電波を発射できます。これもヘンテナの一種です。ハットヘンテナと言います。
- ヘンテナの後方に反射器を付けたり、前方に導波器を付けたりすると前方へのビームが鋭くなって八木アンテナに似た動作をします。