J型アンテナの特徴と製作
垂直J型アンテナは、波長の1/2の長さのダイポール部と、λ/4の長さのマッチング部で構成されています。構造が簡単で作りやすくて高性能です。放射部分が高い所にあり、マッチング部のインピーダンスと電圧が下へ行くほど低いので取り扱いが容易です。
J型アンテナの特徴
J型アンテナは、アンテナの全体の形がアルファベットの「J」の形になっているので、「J型アンテナ」と呼ばれています。λ/2の長さのダイポール部と、λ/4の長さの マッチング楽天 部で構成されています。
λ/2ダイポールアンテナの片方の端の電圧最大部から給電しているので、マッチング部分も電圧最大部分と接続されています。この為、ラジアル部は必要ありません。つまり、ノンラジアルのアンテナとなります。
垂直にアンテナを構成した場合、構造が簡単で作りやすく、放射部分が高い所にあるので、低い打ち上げ角度となり、高性能なのが特徴です。
430MHz帯用垂直J型アンテナの製作
この写真がアマチュア無線の430MHz帯用で製作したJ型アンテナの全体写真です。放射部とマッチング部を合わせた、全体の長さは約50cmです。エレメントにはΦ2mmの銅線を使っています。
放射部分のアンテナの動作は1/2の波長の大きさのダイポールアンテナと全く同じです。普通のダイポールアンテナはアンテナの中央から給電しますが、このアンテナは片方の端から給電します。
写真の下の方の、1/4の波長の一端をショートした平衡線路のマッチング回路を使って、この一番電圧の高い(インピーダンスの高い)所から給電するのが特徴となっています。このマッチング方法をλ/4ショートスタブマッチと言います。
マッチング部分の下から上に行くにつれて、インピーダンスが高くなるので、給電部は特性インピーダンスが50Ωの同軸ケーブルを、マッチングが丁度とれる位置に接続しています。簡単にマッチング(整合)がとれるのが特徴です。
アンテナの下の方はインピーダンスが低く、電圧も低く、周囲の影響が少ないので、給電したり、アンテナを支持したりするのに好都合です。
給電部の少し上の黒い部分は、同軸ケーブルの芯線のポリエチレンを使ってスペーサーとしています。その上に熱収縮チューブを被せています。この平衡線路が平行になっていないのは、SWRをより下げる為です。上に行く程、線路を狭くしています。
電気的な部分ができ上がったら、全体をグラスファイバー製の管や塩化ビニールの管などに入れると防水にもなり、使いやすいと思います。
430MHz帯の場合、小形に作れるので、移動やモービル用として最適なアンテナです。もちろん、144MHzなどの他の周波数帯で使っても良いでしょう。
430MHz帯用垂直J型アンテナの給電部と調整方法
この写真が、430MHz帯用J型アンテナの給電部を拡大したものです。5D-2Vの同軸ケーブルを直接Φ2mmの銅線にハンダ付けしています。また、同軸ケーブルも給電部より下の部分と近接していますが、インピーダンスが下へ行くほど低いので全く問題はありません。
給電部分に、バラン(平衡-不平衡変換器)を付ける人もありますが、元々この部分は平衡ではないので、バランを取付ける必要はないでしょう。
マッチング部分の調整は、SWR計を接続して搬送波を送信します。SWRを測定してみます。給電点を少し移動させてから再度測定します。これを繰り返して、SWRが下がる点を探します。簡単にSWRが下がるはずです。
マッチングの最良点を調整するには、エレメントの長さを調整して、最適周波数の調整も行ないます。また、給電点の上下移動と、マッチング部の平衡線路の平行度も調整します。
このアンテナは、簡単にSWRを1.2以下にできます。構造が簡単で高性能なので、アマチュア無線用として一度作ってみませんか。