微小ループアンテナ(電磁誘導アンテナ)

微小ループアンテナは、波長に比べてループの大きさが極端に小さいループアンテナです。マグネチックループアンテナとも呼ばれるように電界より主に磁界を利用したアンテナです。中波のラジオ受信用やアマチュア無線の一部で使われていますが、送信では効率のあまり良くないアンテナです。

微小ループアンテナとは(特徴)

微小ループアンテナというのは、ループアンテナの周囲の長さが 波長楽天 に対して非常に短いアンテナのことです。

ループの長さは受信用なら普通は1/10波長以下です。送信用にも使えますが効率が悪いのであまり使われません。大きさは1/4波長以下の事が多いようです。

スモールループアンテナとかマグネチックループアンテナとか呼ばれることもあります。形は1波長のループアンテナに似ていますが、動作原理はこれとは全く違っていて、中波のラジオの受信用のバーアンテナに近い原理です。

つまり、このアンテナは電界ではなく磁界を主に利用したアンテナです。この為に、放電などの雑音の影響が少ないアンテナと言われています。

中波受信用の微小ループアンテナの例

中波ラジオ受信用微小ループアンテナの写真

フェライトを使ったバーアンテナはバリコンと組み合わせて同調させて使用するアンテナです。フェライトコアは磁界を効率良く集める為に使用しています。

このフェライトコアを取り去って、ループの大きさを大きくしたものが中波受信用の微小ループアンテナです。

一般的に、中波は波長が長いので本来は屋外に長いアンテナ線を高く張る必要があります。これを小さくしても共振すると共に感度が良いように、アンテナ線をコイル状にしてできるだけ大きなループにしているのです。

中波受信用微小ループアンテナの使い方

上の写真は、市販されている卓上型の中波受信用の微小ループアンテナの写真です。放送局の電波に同調させるようにバリコンで調節できるようになっています。

最大感度になるようにツマミを調整します。そして、このツマミのある方向か、その反対側を放送局の方向に向けると最大の感度になります。

ラジオに繋ぐ為のアンテナ接続ケーブルが付属していますが、アンテナ端子の無い小型のラジオなどではこの微小ループアンテナの近くにラジオを置くだけでも感度アップになります。

中波受信用の微小ループアンテナの実際の製作構想

中波受信用の微小ループに使うエレメント用のアンテナ長の目安は0.05波長程度までが良いようです。これ以上の長さのアンテナエレメントをコイル状にしてもインピーダンスが大きくなって実用的ではないのです。

中波のラジオの場合、波長は200~600mなので、0.05波長は10~30mに相当します。つまり10~20m程度の電線を直径30cm程度の円形のループにすると、約10~20回のコイルとなります。

これに同調用のバリコンを組み合わせて微小ループアンテナを作ることができます。ループの大きさや形や巻き数を試行錯誤すればそこそこのものができそうです。

ラジオのアンテナ端子に接続するピックアップ用のループは1ターンでも良さそうです。実験に一度作ってみたいものです。

アマチュア無線用の微小ループアンテナの例

波長に比べて大きさが小さいループアンテナに、送信機からマッチング回路を通して接続して、ループの給電部の反対側にコンデンサを接続した構造のアンテナがよくアマチュア無線用の微小ループアンテナとして使われています。

エレメントは金属製のパイプなど作られていることが多く、コンデンサとループエレメントにより共振させて使用します。つまり、エレメントの先端に接続したコンデンサが大きく効いて、ループの形状を大幅に短縮したアンテナなのです。

送信に使う場合には、平衡・不平衡を無視して、直接アンテナに同軸ケーブルを接続すると、給電用のケーブルがアンテナの一部としても動作したり、給電線に高電圧が発生する場合がよくあるので注意が必要です。

一般的には、フロートバランを接続して、平衡・不平衡の変換をして微小ループアンテナに給電します。また、給電点を家屋からできるだけ遠ざけてTVIやBCIに注意して運用する必要があります。

水平面の指向性は1波長のループアンテナの場合とは正反対で、ループの面と同一方向に輻射が最大となり、ループの面と直角方向で輻射が零となります。つまり、磁界を利用したアンテナだということがよくわかります。

ループの周囲の長さが短くなるに従って、使用できる周波数帯域幅が小さくなり、効率も低下していきます。性能は1波長ループアンテナには遠く及ばない悪いものです。小さいだけが取り得のアンテナだと思ってください。