同軸ケーブルを使ったコーリニアアンテナの製作

アマチュア無線のUHF帯の430MHz帯や1200MHz帯のアンテナは一般的にメーカー製のものを使う方が多いのですが、同軸ケーブルを使った多段のコーリニアアンテナは比較的簡単に作れて高性能なので自作してみました。

自作したコーリニアアンテナの例

同軸ケーブルで作ったコーリニアアンテナの全体写真

垂直型のコーリニアアンテナ(コリニアアレイ・アンテナ)とは、多数の垂直1/2波長のダイポールアンテナのエレメントを上下に並べて、同位相で給電したアンテナです。

つまり、何段ものアンテナをスタックにしたものです。このようなアンテナの配置をブロードサイドアレイと言います。

これに対して、八木アンテナやログペリアンテナのような配列のアンテナをエンドファイアアレイのアンテナと言っています。

普通に1/2波長のエレメントを直列に接続しただけでは、上下のエレメントの位相は逆相になりますので、普通は格段への給電に工夫が必要です。

エレメントに同軸ケーブルを使って、1/2波長毎にケーブルの芯線と外皮を互い違いに接続すると、ケーブルの外皮が放射エレメントになり、各エレメントからの放射が同位相で励振されるので、簡単な構造で利得が飛躍的に向上します。 アマチュア無線楽天 の自作アンテナとして人気があります。

このアンテナはパーソナル無線用として私が何年も前に自作したコーリニアアンテナです。右側に写っているのが8D-FBの同軸ケーブルで作ったコーリニアアンテナの本体で、左側のが、それを収納するビニルパイプです。

アンテナを収納するビニルパイプは細い方からVP13、VP16、VP20を使い、異径継手を使ってつないでいます。

コリニアアンテナの給電部とマッチング部分

同軸ケーブルで作ったコーリニアアンテナの給電部

コーリニアアンテナでは、各エレメントの長さを正確に電気的にλ/2とする必要があります。

特に多段のコリニアアレイとなると、各段の寸法の誤差が長さが長い程、累積されていくので、上部と下部の位相が狂ってくる可能性があります。

そうすると、期待の動作をしないので、良い性能の物を作ることができないばかりか、大きさだけ大きくて低性能なアンテナになってしまいます。

8D-FBの同軸ケーブルの波長短縮率はケーブルのメーカーの規格では約80%になっています。コリニアアレイが数段程度なら、計算値通りでも良いでしょうが、それより段数が増えると使う同軸ケーブルの波長短縮率を正確に測定する必要があります。

ケーブルの波長短縮率を正確に測定するには、周波数の正確なディップメーターか、リターンロスブリッジとスペクトラムアナライザーなどの測定器が必要となります。

このコリニアアンテナの給電部のマッチングには、スタブマッチを使っています。エレメントよりも少し細い同軸ケーブルの芯線と絶縁物をそのまま使っています。λ/4より少し短めから、少しずつ切ってSWR計を見ながら調整します。

コーリニアアンテナの先端部

同軸ケーブルで作ったコーリニアアンテナの先端部

アンテナの先端は電気的には開放でもかまいませんが、芯線と外皮はショートしている方が、ケーブルの芯線と外皮導体との間に帯電しないので、雷対策になります。

この為、ショート型のアンテナにしています。つまり、アンテナの先端にはλ/4の長さの同軸ケーブルを接続して先端はショートします。λ/4の長さの同軸ケーブルの先をショートしたものは、反対側から見るとインピーダンスが無限大となります。

これを接続してもしなくても理論的には何も変わらないのですが、同軸の外皮と芯線が互い違いに接続されているので、先端部分もアンテナとして動作します。

垂直コリニアアンテナの指向性と利得

垂直コーリニアアンテナの水平面の指向性はありません。つまり、水平面では全方向に均等に電波が放射されます。

垂直面の指向性はコリニアアレイの段数によって決まります。一般的には段数が多い程指向性が鋭くなります。ダイポールと比べた利得は理論的には2段で3dB、4段で6dBですが、実際は、損失もあるので、これより少し悪くなります。