EFHWアンテナの製作(端部給電)
アマチュア無線用の端部給電アンテナの製作記事です。アマチュア無線の全てのHFバンドで同調して使える夢のようなアンテナです。同軸ケーブルで給電してフェライトコアを使ったインピーダンス変換器を使うので取り扱いが簡単でインピーダンス整合しやすい特徴があります。
EFHWアンテナの特徴
EFHW(End Fed Half Wave)アンテナとは、アンテナの端から電圧給電するワイヤーアンテナで、昔はアマチュア無線でチェッペリンアンテナとかツェップアンテナなどと呼ばれていたものです。
ツェップアンテナは梯子フィーダーと呼ばれる2本の電線を5~20cm程度離して配置したものを使っていました。しかし最近は給電に同軸ケーブルを使用してフェライトコアを使ったインピーダンス変換器を使う例が多くなりました。
同軸ケーブルとフェライトコアを使ったインピーダンス変換器なら、取り扱いが簡単でインピーダンス整合が取りやすいのが特徴となっています。
一般的な1/2波長のダイポールアンテナは基本波の他にその奇数倍の周波数でも使えますがEFHWアンテナは基本波の整数倍の周波数でも使える特徴があります。
EFHWアンテナの全景写真
一般的なワイヤーアンテナは1/2波長の ダイポールアンテナ楽天 やロングワイヤーアンテナが多いのですが、私はHFバンドの全て(3.5MHz、3.8MHz、7MHz、10MHz、14MHz、18MHz、21MHz、24MHz、28MHz)で使えるEFHWアンテナを製作してみました。
この写真が我が家のアマチュア無線用のアンテナ群です。と言ってもEFHWと144MHzと430MHzのGP(Ground Plane)しかありません。
母屋の2階の屋根の天辺に立てた屋根馬と32mmΦのポール(地上高約10m)から、太さ3.5平方mmのアンテナワイヤー2本(長さ38.5m)を山の方へ張っています。ワイヤーの間隔は最大約50cmです。
裏の畑(下からの高さ約5m)に立てた8mの梯子タワーとその上のビニルパイプ4mでワイヤーアンテナを支持しています。
更に、その上の段(下からの高さ約10m)に単管で作った5mの簡易タワーを立てて、その上に4mのビニルパイプを使ってワイヤーアンテナを支持しています。
それより上は立木を利用してクレモナロープで引っ張ってアンテナを支持しています。一番高い所は下からの高さ約20mあります。
フェライトコアを使ったインピーダンス変換器の写真
この写真が屋根の上の給電点にある、フェライトコアを使った1:36のインピーダンス変換器です。50Ω(オーム)の36倍は1.8kΩのインピーダンスとなります。
アンテナエレメントを2本にしていることと、エレメントに太い銅線を使用していることで、チェッペリンアンテナにしては給電点のインピーダンスが低くなっていると思います。
このことで、SWRがあまり暴れず使用できる周波数範囲が広くなっていると思います。
フェライトコアは大型のFT-240-43を使用しました。巻線には電気工事用のVVFの被覆芯線1.6Φを使っています。これを6本まとめてフェライトコアに3回巻いています。
インピーダンス変換器の回路図
これがフェライトコアを使ったインピーダンス変換器の回路図です。
6本の電線を使った、3回巻きのコイルを回路図のようにステップアップするように配線します。最大の電圧は6倍(インピーダンス比36倍)となります。SWR1ならアンテナのインピーダンスは1.8kΩになります。
移動運用時にも使えるように、電圧が2倍、3倍、4倍の所からタップを出して、様々なアンテナにも対応できるようにしてあります。インピーダンス比とインピーダンスは4倍200Ω、9倍450Ω。16倍800Ωとなります。
約20MHz以上の周波数でSWRが高くなるのを補償するために、150PF3kVのコンデンサを50Ωの同軸側に並列に接続しています。W1JR巻きの場合でも同様な効果があります。
コアへのコイルの巻き方はW1JR巻きにしている記事が多いのですが、私が実験した限りでは、この巻き方の方がSWRが良い傾向となりました。
このアンテナは直流的にはアンテナが建物の鉄骨を通して接地されているので、誘導雷には問題ありません。避雷器の必要はありません。接地極は建物の鉄骨をあちこちで、単管の長さ3m1本と2m5本と1m5本を地中に叩き込んで、全て並列に配線しています。接地線は太さ10平方mm以上の銅線を使っています。
EFHWアンテナのSWRとスミスチャート
この写真がnanoVNAを使って測定したEFHWアンテナのSWRとスミスチャートです。これはアンテナの所ではなく約10mの同軸ケーブルの先で測定したものです。
各バンド共にほぼSWRが低くなっています。3.5MHzと7MHzは使用周波数範囲が適当ですが、それより高い周波数では高めの周波数に同調しています。アンテナの長さをもう少し長めにした方が良いのですが、3.5MHzと7MHzを犠牲にするわけにはいきません。
FT-991の内部アンテナチューナーを使用すればHF全バンド問題なく使用できました。
1.8MHzと1.9MHzでは、外部のアンテナチューナーを使用することで、他の方と遜色なく電波が届いているようでした。蛇足ですが50MHzでも使えるようです。
結果
我が家のアンテナの位置は標高約160mあります。しかし、南方向約300mには標高約330mの山があり、北約200mには約260mの山があります。つまり、我が家はその谷底にあるのです。
でも、東西方向は比較的よく開けています。このような地形でもHFの電波は問題なく飛んでいるようです。南米のチリやアルゼンチンにも50Wの電波でも届くようです。