BSアンテナ用室内取付け金具の製作

BSアンテナは普通屋外で使いますが、BSアンテナを室内で使いたい時、BS放送をうまく受信するように、パラボラの反射器を水平に近くなるように設置して、屋内専用としてオフセット型のBS取付け金具を製作してみました。

BSアンテナ用室内取付け金具の必要性

オフセット型のBSアンテナ は普通屋外で使うものですが、臨時にBSを受信するとか、室内で使いたい時もあると思います。その場合、屋外用のBS取付け金具を使うこともできます。しかし、屋外用のBS取付け金具だと、BSコンバーター部が前部に飛び出したようになり、どうしてもパラボラアンテナ部分が窓よりかなり離れた場所に位置します。そうすると、窓の庇(ひさし)や軒の部分で、衛星電波を遮られてうまく受信できないことがあります。

そこでBSアンテナを後ろへ90度倒して前後を逆にして、パラボラのおわんを水平に近く配置してやると、BSコンバーター部はパラボラの上部に位置します。これならパラボラアンテナ部分を窓のすぐ近くに配置することができます。

このアンテナを部屋の南や西に面した出窓に配置すると置き場所にも困らず簡単に設置することができます。もちろん、屋外に設置してもかまいません。

製作した室内取付け金具とBSアンテナの概要

製作した室内取付け金具とBSアンテナの写真

これが製作した室内取付け金具とBSアンテナの写真です。金具はイレクターと言う商品名の、鉄パイプの周囲にプラスチックを巻いた構造をしたパイプと部品をホームセンターで購入して作りました。金切り鋸と専用の接着剤だけで作れます。

この写真をごらんいただけばわかりますが、イレクターをT型に配置してそれに足と足ゴムを付けただけの簡単な構造です。高さが低くて安定も良いようです。

本来の BSアンテナ楽天 を垂直のマストに取付ける部分をこの金具の水平のパイプに取付けます。岡山付近(仰角42.3度)ではこの部分は水平でも問題ありませんが、東北や北海道のような高緯度地方(仰角25~35度)では、金具の後部を約10度高くしないと調整できません。沖縄県(仰角50~55度)はこのままで調整可能です。

この金具を水平にした場合は、本来のパラボラの仰角の調整は、(90 - 仰角)の位置にします。また、金具の後部を10度高くした場合は、(80 - 仰角)の位置にします。日本全国対応にするのなら、金具の後部を10度高くしておいた方が良いでしょう。

(東北や北海道のような高緯度地方でも、このアンテナを後ろから見て左に傾ければ、受信できると思います。極端な場合、左に90度傾ければ、仰角0でも受信するはずですから。もし、どなたか実験してうまくいったら教えてください。)

室内アンテナでBSを見たいと言われるお客様に、これを製作してあげたことが何度かあります。とても喜ばれました。現在は製作していません。

日本各地から見たBS衛星の仰角と方位角

場所 稚内 盛岡 東京 名古屋 大阪 岡山 松山 福岡 那覇
仰角 29.1度 34.0度 38.0度 40.1度 41.5度 42.3度 43.7度 45.2度 53.6度
方位角 220.9度 223.4度 224.4度 221.5度 220.0度 217.9度 217.0度 213.9度 215.9度

BS衛星は静止衛星で、地球の中心から見て地球の半径の約6.6倍の位置にあります。赤道上空約35,700kmの位置にあり、地球の自転と同じ速度で地球を回っていますので、地球から見ると静止しているように見えます。

BS衛星のおよその位置は、春分か秋分の日の午後2時の太陽の方向だと言われています。方位角225度が南西方向です。

仰角とは

仰角(ぎょうかく)とは水平面よりも上にある対象物を見る視線と水平面とがなす角度です。仰ぎ見る角度なので「仰角」と言います。仰角0とは水平線を見る感じで、この角度を大きくすると見上げる感じになります

方位角とは

方位角(ほういかく)とは、ある方向と基準となる方向との間の角度差で、方向を数値で表すことができます。普通は北を基準として、時計廻りに角度を測り、度・分・秒の単位で表します。

BS室内アンテナの調整

BSアンテナの調整はアンテナを窓際の南西方向へ向けて、パラボラの位置をこの写真のような位置にすればうまく受信できます。パラボラの仰角の調整をしてから、方位角の調整をします。

受信できたら、テレビの画面を見ながら最良の位置に調整してください。正確に調整するには、BSコンバーターをタオルかハンカチを湿らせたもので巻いて、ぎりぎり受信できるようにしてやるとうまくいきます。

電界強度測定器があれば何も問題無く調整できるでしょう。

BS室内アンテナの再調整のしかた

一度調整されたBSアンテナを再調整するのはとても簡単です。金具の足に位置する部分の床に目印のシール等を貼っておけば、足がその位置にくるようにBSアンテナを動かすだけです。

このアンテナを同じ地域の別の家や別の部屋で使う場合でも、床の水平が悪い家はほとんどないので、調整はBSアンテナの方位角の調整だけです。仰角の調整は必要ありません。

窓ガラスやカーテンによる受信感度への影響

室内アンテナとして使うと、窓ガラスやカーテンを通して電波が来るので、どうしても電波が少し弱くなってしまいます。

私の実験では、普通のガラス(ペアガラスでも)やカーテンなら感度の低下は気にする程でもないようです。外の街路樹や庇(ひさし)や樋(とい)の影響の方が重要です。

屋外用のアンテナとしても使えます

このアンテナは屋内用として製作しましたが、ベランダ等に置いて、屋外用のBSアンテナとしても使えます。その場合は、同軸ケーブル接続部分のF型コネクタの防水を完全にしてください。

また、雪国ではパラボラのおわんの角度が本来より水平に近くなるので、パラボラの上に雪が積もったら取り除く必要があります。

また、このアンテナは横風に強く、風の強い地域や車の上や船などに取付けるアンテナとして優れていると思います。方向が自動調整できる機構があれば完璧なのでしょうが。

このアンテナ金具を作って15年以上になります。簡単な物なので既にやっている人が何人も居るだろうと、インターネットで調べてみましたが、見つけることができませんでした。

意外とみなさん工夫をしないんですね。最近は私のページを見て真似をする人が増えてきました。

参考ページ、BSアンテナ取付け金具の工夫

2衛星対応アンテナの場合

1つのパラボラアンテナで2つの衛星に対応したアンテナがありますが、この場合は、このままでは対応できません。コンバーター部分から見た、衛星の方向が逆になるからです。

コンバーター部分を外せる場合は、コンバーター部分を逆に取り付ければ受信可能だと思います。ケーブルが邪魔になり、そこまでする必要はないでしょう。

この件について問い合わせを頂いてもお答えはできません。ご自分で確かめてください。