智子の投稿集4

投稿集、地元の山陽新聞等へ掲載された妻の投稿を集めたものです。「ホームバーバー」「カブトエビ」「ジャンボタニシ」など、もう何年も前のものです。

ホームバーバー

髪が随分伸びてきたと自覚していたが、鏡に映った自分の姿に驚いた。もともと顔や頭が大きい上に、硬い髪質のくせ毛がさらに大きく見せている。

早速、高二の娘にカットを頼んだ。玄関に散髪セットを用意して始める。まず、全体の髪の長さを一定にするため、髪を少しずつ手に取ってハサミで切りそろえる。次に、スキバサミで量の多い部分をすいていく。最後に、顔の両横と後ろを切りそろえる。

娘にカットしてもらうのは、今回で五回目ぐらいだろうか。最初の時、 スキバサミ楽天 を使わずにすると言うのでハサミだけで試してみたが、なかなか量が減らない。結局、スキバサミでバシバシ切ってもらった。

「この髪には一生苦労するよ」「そうだね。あんた、似なくて良かったね」

娘は回を重ねるたびに上手になってきている。自分がカットした頭は気になるのだろう。「どう、なじんだ?」と私の頭をくるくるとなでてくれる。ホームバーバーは、母娘のスキンシップの思い出となろう。そして、何かの自信へとつながってくれればと願う。

石川智子 53歳 2005年4月8日 山陽新聞朝刊 「泉」欄

田でせわしなく動くカブトエビ

カブトエビの写真 カブトエビの写真

家の周りの田は早々と田植えが終わり、稲は青々として順調に成長している。近所の奥さんが、子どもが小さいころにいたカブトエビやホウネンエビが田に見えると、教えてくださった。

早速、田を注視してみると、カブトガニに似たカブトエビが見えた。赤くて二センチ位な虫が、おなかのたくさんのひれを高速で前後に動かしながら、自由自在に動き回っている。その動きを見ていると「とてもせっかちなんだね。もう少しゆっくりしなさいよ」と声をかけたくなるほどだ。

田の草を食べたり動くことで、田の水を濁らせたりして草を生えなくさせる効果があることから”田圃の草取り虫”と呼ばれているそうだ。低農薬に一役買っているありがたい生物である。一月くらいで卵を産んで死んでいくらしい。だから、忙しくしているのかもしれない。

今のところ、空梅雨で水不足が心配されている。カブトエビの協力のもと、大きい台風も通らないで、おいしいお米が食べられるよう豊作となってほしいものだ。

石川智子 53歳 2005年6月22日 山陽新聞朝刊 「ちまた」欄

外来種の繁殖防止策実行を

産卵中のジャンボタニシ 昨年の十月、家から北へ数百メートルの水路に産みつけられたジャンボタニシの卵を初めて身近で見た。

ショッキングピンクの卵は、色からして不気味だった。テレビニュースで、卵が異常繁殖した地域で学生たちが網でタニシや卵を採取している様子を映していたので、知ってはいたのだが、いよいよこの地域にもーの感があった。

今年、ついに家の前の小さな溝の壁にたくさんの卵を見つけた。水の中の両壁には、直径五センチ前後のタニシ、少し小さいタニシが、ズラッとへばりついている。

ジャンボタニシは草を食べて生きているので、同じ溝にすむメダカは元気であるが、突然の侵入者に驚いているだろう。この異常繁殖が来年の水稲の苗を食い荒らさなければいいがと危ぐしている。とりあえず、卵は産卵後、十日ほどのうちに水の中へ落とせば呼吸できずに死ぬそうだ。

外来種の被害と言えば、山間部でヌートリアが川から出て作物を食べて困り、あげく作付けをやめたという話を聞いた。ジャンボタニシも今のうちに何らかの対策を実行してほしい。

石川智子 54歳 2005年9月23日 山陽新聞朝刊 「ちまた」欄