電磁シールド(静電シールド、磁気シールド、接地)

電磁シールドとは、電磁波(電界と磁界またはその両方)の侵入や漏洩をさせないようにしたものです。つまり、建築物や電気機器や電気部品で、ある部分から他の部分へ不要な電磁波の進入や漏洩を防止するために設ける隔壁等のことです。

電磁シールド(電波シールド)

電磁波楽天 は電界と磁界の両方の性質を持っているので、次のように静電シールドだけや磁気シールドだけをしたのでは、効果があまりないことがあります。その両方を施さないと完全ではありません。

電界シールド(静電シールド)

電界シールド(静電シールド)は電界を遮蔽するもので、導体で対象物を囲んでその導体を接地(アース)してやればその目的を達することができます。静電界まで完全遮断するには、隙間無く導体で囲んでやる必要があります。

磁界シールド(磁気シールド)

磁界シールド(磁気シールド)は磁界を遮蔽するもので、有効な厚みを持った磁性体で対象物を囲んでやればその目的を達することができます。静磁界を遮蔽するには、磁性体は十分な厚みが必要です。

電磁シールドの材料

電磁シールドに使われる代表的な材料としては、鉄板、金属メッシュ板、導電塗料、メッキ等があります。導電塗料や絶縁物へのメッキは静電シールドの効果しかない場合がありますが、電磁シールドとして有効な場合もあります。

銅やアルミニウム板のような非磁性体の場合でも、電磁波に対しては磁気シールドが可能です。これは電磁波の磁気による渦電流が導体に流れることによって電波が遮蔽されるためです。

導体またはメッシュに開いた穴は、電磁波の波長に比べて十分小さくなければなりません。そうしないと、電波はこの穴を通して障壁を通過してしまいます。

シールドを施したところに電波吸収材を併用する場合も効果的です。これは音響の無響室で吸音材を使うのと同じ考え方です。

電磁シールドの応用例

同軸ケーブル(シールド線)と接地

同軸ケーブル(Coaxial Cable、シールドケーブル、Shielded Cable)は、中心の芯線を取り囲んだ編組線(ワイヤメッシュ)や金属箔で電磁シールドをしています。この電磁シールドは芯線からの信号が外部へ漏れ出すの防ぎ、外部からの信号が内部へ侵入するのを防いでいます。

低周波用のシールド線については外側の導体を安定な電位と接続して、接地するのが一般的です。これは低い周波数では接地しないと妨害が排除できないことが多いからです。

この場合、シールド線の片側で接地するか、両側で接地するかが問題になることがあります。低周波では片側だけで接地するのが基本です。両側で接地すると、シールド線に妨害電流が流れて芯線に妨害電圧が発生することがあります。

高周波では同軸ケーブルの両端を接続しないとインピーダンス整合が取れないので、必然的にシールド線の外皮は両側で接地することになります。

電波暗室(電波無響室、シールドルーム)

音響の無響室のように電磁波には電波暗室と呼ばれるものがあります。電気機器の不要輻射の測定や電気機器が受ける外部電磁波の影響の測定等に利用されます。

鉄板や鉄の網で囲まれた部屋を作るのが一般的です。使用する周波数を考えて網の目の間隔を選びます。内部に引き込む電源からの電磁波の進入や、流出も考慮します。

シールドルーム全体には接地(アース)を施します。従ってシールドルーム内では感電の危険があるので、絶縁トランス(セパレートトランス)を使用した方が安全ですし、絶縁トランスが一種のフィルターにもなります。私も会社勤務時代はそのようにしていました。

オフィスの無線LAN電波漏洩対策

ブロードバンド化されたオフィス等で、無線LANの電波が建物外で受信できてしまう問題があります。こんなことがあると、情報データの漏洩やセキュリティを悪用した不正アクセス、データの改ざん等が起こる可能性があります。

そこでオフィス全体を簡易な電波暗室にしてしまうことが考えられます。屋根や壁や床に電磁シールドの材料として、亜鉛メッキ鋼板や銅箔やアルミ箔を使ったり、窓には電磁シールドガラスを使ったりします。電気配線にはノイズフィルタを入れたり、電線管を磁性体の鉄管にしたりします。

電子レンジのドア

電子レンジのドアの前面窓には普通はパンチングメタルがあります。マイクロ波(周波数2.45GHz、波長約12cm)から見れば、このパンチングメタルの穴は電子レンジの電波の波長に比べて十分小さいので、電波が外に漏れることはありません。しかし、可視光線(電磁波の一種で波長400nm〜700nm)は、この穴が波長に比べて十分大きいので、簡単に通過して中を見ることができるのです。

テレビや電子機器の筐体(きょうたい)

テレビや電子機器の筐体にも不要な電磁波を通さない工夫がされています。金属製の箱ならまず問題はありませんが、テレビでは安全性や重量やコストの面で、プラスチック製のものが多いのです。この場合は、電磁波が通過してしまうので、導電材料を混ぜたり、内側に導電塗料を塗ったり、アルミ箔を貼ったりしている場合があります。