テスターの基本的使い方と裏技的使い方
テスター(回路計)は電気回路や電子回路の設計、製作や修理には欠かせない測定器です。切替スイッチを操作することによって一般的に直流電圧や直流電流、交流電圧、抵抗値等を測定できるものです。アナログ式のものとデジタル式のものがあります。
アナログテスターとデジタルテスターの比較
私の使っている三和のDA-54LS デジタルマルチメーター(左)と、三和のYX-361TRアナログテスター(右)です。修理等には特別高級品は必要ありません。
私は デジタルテスター楽天 よりアナログテスターの方が使いやすいと思います。値が変化する場合はデジタルでは全くわかりません。アナログなら針の振れ方で予測できる場合もあります。電解コンデンサーの容量を抵抗計で見る場合もアナログでないと無理です。
測定値が表示されるまでの時間はアナログの方が早いでしょう。デジタルは測定レンジが安定しないこともありますし、一般的に応答が遅いと思います。
アナログテスターの簡単な仕組み
アナログテスターを構成している部品には指示するアナログメーターと切り替え操作をするスイッチと測定する端子やテスター棒があり、そして内部には抵抗器やダイオードやヒューズ等があります。
アナログメーターは可動コイルと永久磁石を組み合わせて作られています。可動コイルに電流が流れると、コイルによる磁力と永久磁石の磁力との相互作用とバネの力の均衡で指針を振らせています。
この為、このメーターだけでは直流しか測定できません。交流を測定する為にダイオードで整流して、直流に変換して測定しています。
このメーターにはとても高感度の電流計が使われています。レンジ切替スイッチの周辺には抵抗器がたくさん接続されています。それは測定端子から流れてきた電流を抵抗器に分流させて多くの電流を測定したり、メーターに直列に大きい値の抵抗器を接続して電流を減らして電圧計として測定できるようにするためです。
抵抗を測定する時は電流計とテスターに内蔵されている電池や抵抗で構成された回路になっています。この電池によって測定物に電流を流して抵抗を測定するようになっています。
アナログテスターの使い方(デジタルテスターも基本的には同じです)
テスターは一般的には、直流電圧や直流電流、交流電圧、抵抗値等を測定できます。中には交流電流が測定できるものもありますが、普通のテスターでは、交流電流は測定できません。
直流電圧DC[V]交流電圧AC[V]の測定
- レンジを直流電圧DC[V]または交流電圧AC[V]で、測定しようとする電圧に応じたレンジにします。
- 電圧が不明の時は最大レンジにします。(例、1000Vレンジ)
- テスター棒の黒をマイナス(-)表示(COM表示の場合もある)の端子に、テスター棒の赤をプラス(+)表示の端子に接続します。
- 直流の場合は電圧の高い方にテスター棒の赤を接続し、電圧の低い方にテスター棒の黒を接続します。交流の場合はどちらでもかまいません。
- 読み取りにくい時は、レンジ切り替えをします。この時テスター棒の接続を外してからやります。
直流電流DC[A]の測定
- レンジを直流電流DC[A]で、測定しようとする電圧に応じたレンジにします。
- 電流が不明の時は最大レンジにします。(例、10Aレンジ)
- テスター棒の黒をマイナス(-)表示(COM表示の場合もある)の端子に、テスター棒の赤をプラス(+)表示の端子に接続します。
- テスターによっては大電流の時はテスター棒を接続する端子が違うので注意します。
- 測定する回路を切り離して、電流が流れて来る方にテスター棒の赤を接続し、電流が流れて行く方にテスター棒の黒を接続します。つまり、回路に直列にテスターを挿入します。
- けっして電圧計と同じ感覚でテスター棒を接続しないでください。電流計なので、電圧計と同じように接続すると、大電流が流れてメーターが壊れてしまいます。
- 読み取りにくい時は、レンジ切り替えをします。この時テスター棒の接続を外してからやります。
抵抗[Ω]の測定
- レンジを抵抗[Ω]に切り替えます。この時測定しようとする抵抗値がメーターの中央付近にあるレンジを選びます。
- テスター棒の黒をマイナス(-)表示(COM表示の場合もある)の端子に、テスター棒の赤をプラス(+)表示の端子に接続します。
- テスター棒の黒とテスター棒の赤をショートして、指針が0Ωを指すように零オーム調整器を調節します。
- レンジを切り替えると零オーム調整がずれるので、再調整します。
- 抵抗を測定したい所にテスター棒を接続します。
- 抵抗を外さず測定する時は、機器の電源は必ず切った状態にします。電池を使用した機器の場合は電池を外しておきます。
- けっして電圧計と同じ感覚でテスター棒を接続しないでください。抵抗レンジは基本的に電流計と同じ動作なので、電圧計と同じように接続すると、大電流が流れてメーターが壊れることがあります。
- アナログテスターはプラス(+)表示の端子に内蔵電池のマイナス(-)が、マイナス(-)表示の端子に内蔵電池のプラス(+)電圧が出ています。これを利用して色々と応用ができます。赤い棒の方がマイナスで黒い棒の方がプラスです。間違えないように。(デジタルテスターはこの反対になっているようです。)
テスターを応用した裏技
テスターを本来の使い方にするだけでなく、工夫すれば色々な用途に使えるものです。これはデジタルテスターでもできますが、アナログテスターの方が応答が速く、針の振れ具合で判定することもあり、このような用途には使いやすいと思います。
抵抗測定の裏技でダイオードやトランジスターの良否を判定する
トランジスターやダイオードをアナログテスターで導通をみることによってこれらの良否を判定できることがあります。
ダイオード(LEDも同じ)の場合は、P形半導体からN形半導体へ電流が流れるので、テスター棒の赤(マイナスの電圧が出ている)をカソード、黒(プラスの電圧が出ている)をアノードに接続すれば、アノードからカソードへ電流が流れます。その逆は電流が流れません。適切なレンジを選定するとテスターの電流でLEDが点灯します。
LEDの場合は順方向の電圧が少なくとも1.7V以上必要なので、テスターの電池の電圧がこれより低いとこの測定はできません。最近はLEDの順方向の電圧が3V以上必要なものもありますので注意してください。
トランジスターの場合は、P形半導体からN形半導体へ電流が流れるので、とりあえずベースはわかります。コレクタとエミッタの見分け方は次の様にします。
NPN型(2SC、2SDタイプ)を例に説明します。テスターは抵抗の約千倍レンジにしておきます。写真の様にコレクタと思われる足にテスターの黒の棒(電圧はプラスが出ている)を当て、エミッタと思われる足に赤の棒(同マイナス)を当てます。コレクタと思われる足とベースとの間を指で触ります。テスターの針が普通に指だけに当てた時より大きく振れれば、想定した足がコレクタとエミッタです。
PNP型はテスターの色を逆にします。
応用として、何個もあるトランジスターの中からhfeの大きいのを探すとか、hfeの揃ったのを探すとかにも利用でき、簡易的に識別が可能です。トランジスターが生きているか死んでいるかもわかります。トランジスターを使用する前に私はいつもやっています。知っていて損はないと思います。
これはテスターの電源とテスター内部の抵抗を使って簡単な増幅回路を形成しています。ベースとエミッタ間の指は人体を抵抗として使いベース電流を流してやります。
テスターはアナログの方が使いやすいと思います。
SCRやMOS-FETもテスターでチェックできます
本当はサイリスター(SCR)や電界効果トランジスタ(MOS-FET)もテスターでチェックできる物もあるのですが、説明がめんどうなのでここには書きません。自分で考えてみてください。
抵抗測定の裏技で電解コンデンサの容量抜けと絶縁を判定
最近のデジタルマルチメーターにはコンデンサの容量を測定できるものもありますが、アナログテスターだけで電解コンデンサの容量抜けを判定することができます。
アナログテスターを抵抗測定の高レンジにして、電解コンデンサに当ててやります。一瞬針が振れて元に戻ります。指針の振れ具合で容量が推定できます。テスター棒の赤と黒を入れ替えて何度でもできます。新品の物と比較すればよくわかります。
テスターの赤い棒をコンデンサのマイナス端子に、テスターの黒い棒をコンデンサのプラス端子に当てた時の安定した指示値が、コンデンサの絶縁抵抗値になります。この値は大きい程コンデンサとしては良いことになります。
電圧測定の裏技でテスターを検電器として使う
最近のテスターの電圧計は内部抵抗が大きくて、50kΩ/V程度のものもあります。1000Vレンジだと、内部抵抗が50MΩにもなります。100Vレンジでも内部抵抗が5MΩです。
これなら電圧計の100V〜1000Vレンジで検電器として使えます。つまり例えばテスター棒の黒を手で持って、赤い棒を100Vのコンセントに差し込めば、これが電圧側(Hot側)ならテスターの針が振れます。接地側(Cold側)では振れません。200Vなら両方共、針が振れます。
このことは、ある程度電気の知識がある人なら当然知っていて活用していると思ったのですが、全く知らないか、活用されていないようです。(あるサイトの書き込みで知りました)私は中学生の頃から知って活用していました。(電灯線をゲルマラジオのアンテナとして使う為)
但しこれは自己責任でお願いします。安全の為に対地電圧150V以上の電圧では使わないようにしましょう。また、絶縁の良い靴やスリッパを履いているとか、乾燥した絨毯や布団の上に居る場合に限るとかの注意も怠ってはいけません。
電線がホットかコールドかを知るのは電気工事の時に必要となります。電線の色でホット側(黒色)とコールド側(白色)は色分けされていますが、無資格者が工事をしたのか、その通りになっていない場合がたまにあります。また相当古い配線ではそもそも色分けがされていません。
