電気火災の原因と対策(漏電だけが原因か)

新聞やテレビの報道で「この火災の原因は漏電によると思われる」のような情報がよく聞かれます。電気火災の報道で漏電以外の原因はほとんど聞いたことがありません。本当に漏電で火災がそんなに起こるのでしょうか。実際の火災は漏電以外のトラッキングや接続箇所や細い電線の発熱などが主な原因です。

現在漏電ブレーカー(漏電遮断器)が付いていない家庭はほとんど無いと思います。漏電ブレーカーが付いていれば漏電による火災は起こりにくいと思います。

電気火災の原因はコンセントや電線の接続箇所の発熱( ジュール熱楽天 、アーク熱)やトラッキング現象や各種のショート(短絡)が主な原因になっていると思います。漏電が原因の場合はごくわずかではないかと思います。

漏電のことがよくわからないのなら漏電、漏電と言わないでほしいと思います。

漏電とは

漏電説明図 屋内配線や電気機械器具は電気が本来の流れる部分から漏れないように絶縁物で覆われています。

左の図のように、この絶縁物が劣化したり破れたりすると、配線や電気製品の電気の流れる部分から電気が漏れて最終的に大地(地球)に流れていきます。

この電流は電柱の上のトランス(柱上トランスという)のアース(接地)から柱上トランスに戻っていきます。このような電気の漏れ方を漏電と言います。この電流のことを漏電電流または地絡電流と言います。

このへんの詳しいことは「感電とアース」のページで詳しく解説しています。

広い意味での漏電とは、電気が本来流れる部分から漏れることを全て言うとも考えられます。これから考えると、トラッキングも電線のショートも漏電と言えます。部品のコンデンサの絶縁が破れてショートして電気製品が故障するのも広い意味では漏電です。

これらを全て漏電と言っていたら混乱するので、漏電とは地絡電流のことを指すべきだと思います。

電気回路の接続箇所の発熱による電気火災

電気回路の接続箇所つまりコンセントの差込口や壁の中のコンセントと電線の接続箇所や電線同士の接続箇所は本来低い抵抗で接続しなくてはいけません。

コンセントに差し込んだプラグが緩いとか、電線の接続点での電線の差込不足があると接触抵抗が大きくなり、電流が流れると発熱します。発熱すると長い間には銅線が錆びたりなまったりして更に接触抵抗が大きくなります。そうなると更にジュール熱やアーク熱で発熱してついには発火することとなります。

発熱していたコンセントとプラグ

この写真はコンセント部分が発熱してコンセントから電気を取れない状態になっていたものです。プラグの電線接続箇所も発熱しています。プラグの銅の部分は錆びて変色、電線の部分は焦げて変色しています。

外観はコンセント部分が焦げて亀裂が入っています。プレート部分は融けて変形しています。もしこのような箇所があればすぐに新品と交換してください。

もう何年も前の話ですが、あるお客様の家へ電子レンジが時々使えないとのことで伺ったことがあります。壁の露出コンセントに100Vが来ていません。ブレーカーはひとつも落ちていません。

天井裏へ上がってびっくりしました。暗い中で一箇所光っているところがありました。それは電線を素人で配線してあって、接続部分はねじってあるだけでした。その接続部分でスパークしていました。いつ火災が起こっても不思議ではない状態でした。

対策

電線が細いこと等による発熱が原因の電気火災

細いビニルコードをエアコンの延長コードにするとか、電工ドラムに巻いたままや束ねたコードを使用することによって、電線が発熱して絶縁物が変形してショート(短絡)して火災に至ることがあります。

家屋の引き込み電線や幹線が細いのに、幹線に電流遮断器(漏電ブレーカー)が付いていない場合、または幹線の電流遮断器の遮断電流が電線の太さに比べて大きい場合は、電気を使い過ぎると幹線の電線が発熱、発火することがあります。

対策

トラッキング現象による電気火災

最近トラッキング現象という言葉をよく耳にします。これは長い間コンセントに挿したプラグの根元にホコリ(埃、ほこり)がたまって、そのホコリが雨や結露や空気中の湿気で電気を通し易くなることがあります。

少しでも電流が流れると発熱します。それが段々と加速してついにはホコリが熱を持って炭化します。そうなると更に電気を通し易くなります。ついには電流が加速度的に増加して発火に至ります。

プラグとコンセント間の接触不良がこれに加わると、電気製品を使った時の発熱がホコリの炭化を促進することがあり、さらにトラッキング現象が進みます。

対策

電線のショート(短絡)による電気火災

前記のトラッキング現象も最後はショート(短絡)して発火する訳ですのでこれもショートによる発火とみることもできます。しかし単純にショートが原因で発火することもあります。

テーブルタップ(延長コード)の電線の上に家具等が乗っていた場合は、長い間にコードが潰れて変形して電線がショートすることがあります。またコードに金属の鋭利な部分がいつも接触していると、コードの被覆が破れてショートすることもあります。

天井裏や壁の中でネズミが電線をかじってショートする場合もあります。

電線がショートしたりしなかったりという微妙な状態になると、電線間に火花が散って他の燃え易いものに引火して火災になります。

対策

電線の断線による電気火災

最近、電線の断線による電気火災が報道されていますが、電気あんかや電気毛布程度の消費電力の機器では、電線の断線によって電気火災が起こることはまずありません。

小電力機器の場合は、電線が断線しかかっても、小さい火花がちょっと出る程度です。やはり発火に至るには断線した線がショートする必要があります。つまり、電気火災の原因は前期と同じショートです。

しかし、エアコンのような大電力機器なら、電線の一部断線が原因で電線の抵抗が増してジュール熱によって発火することが考えられます。また、断線したり接続したりを繰り返すと、その都度大きな火花が出て発火することがあります。

対策

漏電による電気火災

漏電による火災は現在ではあまり例が無いと思います。何故なら漏電が起こると漏電ブレーカー(漏電遮断器)が働いて(15〜30mAで動作)電源が止まってしまうからです。100V30mAの電力(パワー)は3Wであり、これが一点に集中すればあるいは発火することもあるかもしれませんが、それはまれだと思われます。

しかし、漏電ブレーカーが付いていても、引込み線から配電盤までの間で漏電が起これば火災になる可能性はあります。でもそれは距離が短い場合が多いのと、ケーブルを電線管に入れる場合が多いのと、家の中の解りやすい部分を配線している場合が多いので、漏電の確率は低いと思われます。

相当古い家屋で漏電ブレーカーが付いていない場合は、漏電によって火災になることも考えられます。つまり、屋内配線のどこかで絶縁が破れて壁のラス網等に漏電して、その電流がアースに流れて柱上トランスに戻っていくからです。この時、ラス網の抵抗で発熱して火災になることもあります。

対策

地震による電気火災

平成7年1月17日の阪神・淡路大震災では、電気が出火原因と考えられる火災が全火災の約1/4を占めました。その原因は転倒した電気ストーブ等の電熱器具の発熱によるものや、転倒した家具等で配線に損傷を受け通電時にショートして発火したものなどがありました。

対策