智子の投稿集2

投稿集、読売新聞、山陽新聞等へ掲載された妻の投稿を集めたものです。「ドイツから娘のメール」「金色? それとも黄土色?」「ラズベリーを育ててみては」「換羽」など

ドイツから娘のメール

mail box

朝七時半ごろ、PHS(簡易型携帯電話)がピコピコと鳴った。何だろうと電話を手に取ってみると、Eメールあり、の表示が出ている。

PHSを持つようになってまだ間がなく、もたもたしながらも操作してみると、大学二年生の娘からのメールだった。

「私は今、ドイツにいます。風邪気味だしハプニングが多くて大変だけど、元気です。あさって岡山駅まで迎えに来てね。それではバイバイ!」

すべてローマ字表記。娘は大学の「語学と文化研修の旅」に参加している。十一日間の旅程で、ギリシャ、イタリア、スイス、ドイツを回るコースだ。寒さの厳しいスイス、ドイツへ行くとなると風邪が心配だったので、使い捨てカイロやビタミンC入りのあめを持たせた。メールの様子からすると、ひどい風邪ではなさそうなのでひと安心。

それにしても、ドイツから一瞬のうちに岡山までメッセージが届く時代になったとは。これがIT革命なのだと、驚くとともに、感激した。

石川 智子(岡山市、自営業・49歳)読売新聞 朝刊 ティータイム欄(2001.2.28)

金色? それとも黄土色?

cup

いつも愛用している マグカップ楽天 がある。コーヒー会社の懸賞で当たったもので、ムーミンとフローレンのイラストが描かれている。クリスマスのイメージだろうか、ひいらぎの緑の葉に赤い実、さらに緑・赤・金色を使ったリボンで飾られている。

少し大ぶりなので、コーヒー、紅茶、ココアなど、たっぷりと入る。新聞、雑誌、特に『PHP』誌などを、ゆっくり、じっくりと読みながらのリラックス・タイムの必需品である。

ある時、娘が電子レンジを使っていた。窓から中をのぞくと、何と私のムーミン・カップが回っているではないか。

「ちょっと、止めて、止めて。カップがはげる」
 「えーっ、何?」
 「ほら、ここの金色の部分、金箔がはってあるでしょう。電子レンジはダメだよ」
 「これ黄土色だよ。今まで何回もレンジで温めたけど、大丈夫だったよ」

目をこすって見ても、わかりづらい。でも、よく見れば、確かに金色ではなさそう。目の老化は日々進んでいるらしい。

しかし、思い込みは恐ろしい。今まで、金箔だと思い大事に扱ってきた。これからは、電子レンジを使って牛乳を温めたりと、ますますムーミン・カップの出番が多くなりそうだ。

石川 智子(岡山市・自営業・49歳)PHP誌 2001年6月号 談話室欄

ラズベリーを育ててみては

ラズベリーの実 昨日の雨に洗われ、ひときわ色濃い葉の下に、赤いラズベリーの実がつややかに揺れている。三年前に苗を買い求め、狭い庭の隅に植えた。秋にも実がなり驚いた。二季なりを植えていたのだ。
 よく観察してみると、新芽にしか実がつかないことがわかった。そこで、昨秋の収穫を終えた時、思い切って背丈の三分の二ぐらいに刈り込んでみた。すると、今年は今までになくたくさんの花が咲き、実をつけた。
 毎日少しずつ熟していくので、長い期間食べられる。手作りヨーグルトに入れて食べている。冷凍してハチミツをかけるのも、暑い時期は好評だ。
 最近、ラズベリーダイエットの広告を目にする。脂肪分解力がカプサイシンの三倍と書かれているものもある。手間いらずで育てられるので友人にも株分けしているが、繁殖力が強いので庭に植える時は注意が必要だ。それに、キイチゴの一種なので、小さなトゲがある。皆さん一度挑戦してみては。
石川智子 52 自営業 2004年6月22日 山陽新聞朝刊 「ちまた」欄

換羽

岡山地鶏 昨年5月から岡山地鶏を飼っている。真備町のTさんから、ひなを1羽譲り受けたものだ。娘がパレットと名付けた。庭の隅に専用小屋を作り、入れている。鳥インフルエンザが騒がれたときには、飼っている旨を市へ届け出た。
 今年3月から小さめの卵を産み始めた。うれしくてカレンダーに卵の数を書き付けていった。3、4月で30個、5月は20個、6月20個、7月18個、8月15個、9月15個、10月12個で、今までに134個も産んでくれている。
 ところが、台風23号以来、産まなくなった。小屋の地面が横なぐりの雨のためぬれた。それに加えて、長時間の暴風がストレスになったのだろうか。
 今月1日、えさを小屋へ持って行って驚いた。小屋中に薄茶色の羽根が散らばっている。夫に知らせ、イタチに血を吸われたのかもしれないと思い、小さな穴までもふさぐよう補修してもらった。
 しかし、血痕はどこにも見られない。パレットは、どことなく元気なさそうで病気かなと心配になる。インターネットで検索してみた。どうも、「換羽」に当てはまりそうだ。
 夏毛と冬毛の交換の時期だそうで、このときは体力を消耗して産卵はしばらく中止のようだ。原因が分かってよかった。ゆっくりと休んで、また、おいしい卵を食べさせてね。
石川智子 53歳 2004年11月14日 山陽新聞朝刊 「泉」欄