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水道蛇口のアースは有効か

電気洗濯機等でアースが簡単にできない時、よく水道の蛇口にアース線がつないであることがあります。これはアースとして有効でしょうか。水道管の壁のところはたいてい鉄管でできています。一般的にはそこから1〜3メートル程度が鉄管で、そこから先は硬質塩化ビニルパイプでできているものが多いようです。最近は鉄管はごく一部でそれより先はポリエチレンパイプというものまであるようです。


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私が作った水道蛇口の接地抵抗測定

蛇口の一例

そこでこのようなものの接地抵抗を測定してみました。まずは構造のわかっている私の設置した蛇口です。

左の 蛇口楽天 は7/8インチの銅管を約1m使用しその先は硬質塩化ビニル(VP20)約3mで接地された井戸ポンプに接続されています。我が家の井戸水は不純物が多く、1リットルの水の中の蒸発残留物は1グラム以上あり、水道水より電気を通し易いと言えます。

私の使っている接地抵抗計では1kΩまでしか測定できませんので測定不能でした。我が家の建物の鉄骨の接地抵抗は約6Ωですので、鉄骨との間の抵抗をテスターで極性を変えて手早く測定すると 約40kΩ となりました。これでは全くアースとしては使用できないのがわかります。(テスターは直流なので、アース極による電池の生成と、電気分解による分極作用の影響を減らす為、極性を変えて手早く測定する)

アース(D種接地)として使用するなら100Ω以下にするか、高感度高速形の漏電ブレーカーとの併用でも500Ω以下にしなければなりません。

アースされているかどうかをテスターで簡易的にみる

接地されているかどうかの目安をテスターでみる方法として、簡易的に100Vの電源側とアース間の電圧を測ってみる方法があります。テスターをAC120Vレンジ(内部抵抗8kΩ/V)にして、コンセントの100Vの電圧側とこの水道アース間の電圧を測ってみました。96Vありました。テスターの内部抵抗は 8kΩ*120=960kΩ で、この水道の接地抵抗が40kΩですから96Vというのは計算通りの値です。

もしこの値が99Vでも、この水道アースの接地抵抗は約10kΩとなります。これでは全くアースとして有効ではありません。

この方法は接地抵抗を簡易的に測定する方法としては適当ではないようです。テスターの内部抵抗を10kΩ程度にすれば(テスターに10kΩ程度の抵抗を並列に取り付ける)1kΩ以上の接地抵抗なら簡易的に測定できそうです。しかしこの回路の電流が約10mAとなり、他にも漏電があれば漏電ブレーカーが動作する可能性があります。(普通の漏電ブレーカーは15〜30mAで動作します)

既存の水道蛇口の接地抵抗測定

蛇口の配管の例

次に我が家の風呂場のモップ洗い用となっている単独蛇口の接地抵抗の測定です。これは市の水道につながっています。床下の様子を見ると上の写真のように鉄管でブロック壁の中を通って土の中に約10cm埋まっています。土は常に湿った状態です。それより先は硬質塩化ビニルで配管されています。


蛇口の配管の例

左の写真は、以前、洗濯機用にこの蛇口を使用していた為、蛇口の鉄パイプをアース棒等でアースにつないでいたものです。今回はこれを外して測定しました。

同様にテスターで接地抵抗を測定すると 約2.5kΩでした。やはり少しでも土に埋まっていれば接地抵抗は下がるようです。これでも水道の蛇口をアースとして使用するのは適当ではないと言えます。

塩化ビニルパイプ中の水の抵抗値の計算

河川水や上水の抵抗率ρは約 1〜20 [kΩ・cm] ( 約 10〜200 [Ω・m] )です。

塩化ビニルパイプVP20 1m の中の水の両端での抵抗 R を計算してみます。パイプの内径は 2cm です。

R = ρ L / S
  = ρ L / π r2    (L = 100cm r = 1cm)

となりこれを計算すると、 約32〜640[kΩ] となります。上記の「水道蛇口の接地抵抗測定1」の場合、3mの塩化ビニルパイプの中の抵抗値が 約100kΩ〜約2MΩ となるはずです。実測値 40kΩ はこれよりかなり小さいので、水の抵抗より銅のパイプと壁との間の絶縁抵抗が効いているものと思われます。

この結果から水道パイプの中の水は蛇口アースの接地抵抗(100Ω又は500Ω以下)にほとんど寄与しない事がわかります。

感電防止の為に電気温水器の金属製タンクの水側に50cmの、湯側に1mの絶縁パイプを取り付ける事になっています。この長さで水との絶縁が出来るという事ですから、塩化ビニルの水道管でアースが出来るはずがない事がこの事からもわかります。

土の中に打ち込むアースは下記のように、あらゆる方向に電流が拡散して接地抵抗が低くなりますが、塩化ビニルパイプの中の水を流れる電流は拡散せず、電流密度が一定なので接地抵抗が下がらないのです。

結論(法的には100Ω以下でも普通は水道管をアースとして使用できません)

水道管のアースは全く有効でない場合があります。接地抵抗計で測定しないと電気的にはアースとして使えません。もちろんすべて金属管で土の中に長い距離で埋まっている場合は電気的には有効です。しかし、法的に水道管を接地極として使用できるのは次の場合だけですので、普通は水道管をアースとして使用してはいけません。

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水道管を接地極として使用しても良い場合

地中に埋設され、かつ、大地との間の電気抵抗値が3Ω以下の値に保っている金属製水道管路は、水道管路の管理者の承諾を得て、これをA種接地工事、B種接地工事、C種接地工事、D種接地工事 その他の接地工事に使用することができる。(電気設備技術基準解釈22条)

 
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更新日:2011/12/07