ベーチェット病(特定疾患、難病)

最近知人が関節リウマチに似たベーチェット病を発症しました。ベーチェット病は全身の粘膜や皮膚に原因不明の炎症が繰り返し起こるもので、急性の炎症性発作を繰り返すことが特徴となっています。「特定疾患治療研究事業対象疾患」に指定されている難病です。

ベーチェット病とは

ベーチェット病は、1937年にトルコの医師ベーチェットによって報告された疾患で、厚生労働省の「特定疾患治療研究事業対象疾患」に指定されている特定疾患の 難病楽天 です。つまり治す方法が見つかっていない病気です。医療費の自己負担の軽減(特定疾患治療研究事業)対策があります。

全身の粘膜や皮膚に原因不明の炎症が繰り返し起こるもので、急性の炎症性発作を繰り返すことが特徴となっています。本来体内の異物を攻撃、除去する白血球が、異物を間違えるのか、異常に集まって炎症を起こすのです。

ベーチェット病は、日本、韓国、中国、中近東、地中海沿岸諸国によくみられます。このためシルクロード病ともいわれています。日本では北海道、東北に多く、北高南低の分布を示します。平成20年3月末現在、この疾患の特定疾患医療受給者数は約1万7千人です。

ベーチェット病の主な4症状

ベーチェット病の主な症状は、眼の症状、口腔粘膜のアフタ性潰瘍、外陰部の潰瘍、皮膚症状の4つです。

ベーチェット病の主症状が2つ以上あれば、定期的な経過観察を必要とするので、リウマチ・膠原病科や眼科や皮膚科の専門医を受診します。

眼の症状はベーチェット病で一番重い症状です。ほぼ両眼が侵され、網膜絡膜炎を起こして失明することもあります。

口腔粘膜のアフタ性潰瘍では、くちびるやほおの粘膜、舌、歯肉等に円形の潰瘍ができて、再発を繰り返します。この症状はたいていの方に発症するようです。

外陰部の潰瘍とは、男性の場合は陰のう、陰茎、亀頭に、女性の場合は大小陰唇、膣粘膜に起こる痛みを伴う潰瘍ができます。

皮膚症状としては、足や腕に結節性の紅斑ができます。ちょうどデキモノができて、芯がある感じになります。また顔や首や胸部や腹部等に発疹ができたり、皮下に血栓性静脈炎ができることもあります。

上記の主な症状は、繰り返し症状が現われますが、一般に病気の予後は良いようです。10年程度で疾患の勢いは下火となって、約20年を越えるとほぼ再発しない場合が多いようです。

ベーチェット病のその他の副症状

ベーチェット病には、上記以外の副症状として、関節炎、副睾丸炎、消化器病変、血管病変、神経病変等があります。

人によっては関節リウマチのような症状になります。非対称の関節に症状が出ること、変形を残さないこと、手や指等の小さい関節が侵されないことで、関節リウマチとは異なります。

特に神経症状が強く出る場合を神経ベーチェットといって、男性に多く治りにくいものです。

ベーチェット病の診断(厚生省研究班の診断基準)

主症状がすべて出現したときの診断はそれほど難しくはありませんが、副症状が主体になるときは診断が困難なことがあります。

症状の現れ方によって「完全型」「不全型」「疑い」と分類されます。また、臓器病変が主体である場合は、病変に応じて血管型、神経型、腸管型に分類され、特殊病型と総称されます。

完全型
経過観察中に4つの主症状が出現したもの
不全型
(a)経過観察中に3つの主症状(あるいは2つの主症状と2つの副症状)が出現したもの
(b)経過観察中に定期的眼症状とその他の1つの主症状(あるいは2つの副症状)が出現したもの
疑い
主症状の一部が出没するが不全型の条件を満たさないもの、および定期的な副症状が反復あるいは憎悪するもの

ベーチェット病の原因

ベーチェット病の原因は不明ですが、その病気の成り立ちについては少しずつ明らかになってきました。それは、何らかの内因や外因によって白血球に異常が生じるということです。

また、発病の条件には組織適合性抗原のHLA-B51がかなり関与していることから、HLA-B51のような複数の発症感受性遺伝子が存在するのではないかと考えられています。なお、遺伝的要因があっても必ずベーチェット病を発病するとは限りません。

外因としては、汚染物質や細菌、ウイルス等が関係している可能性も指摘されていますが、原因として特定されていません。

ベーチェット病の治療

ベーチェット病に良い日常生活は一般的な闘病生活とほぼ同じで、十分な睡眠や休息をとることや、規則正しい生活をすることや、ストレスを溜めないことや、バランスのよい食事をすること等です。

薬物治療では、病状に応じて治療の優先順位を決めて行われます。生命の危険や重篤な後遺症となるおそれがある場合には、副腎皮質ホルモンのステロイド投与が行なわれています。

ステロイド薬は副腎皮質で作られるホルモンと同じで、急性の炎症を抑えることができます。点眼、内服、注射等があります。

深刻な後遺症を残す可能性のある眼のブドウ膜炎については、白血球の動きを抑えるコルヒチンを内服します。ステロイド薬の点眼や眼囲注射をすることもあります。その他にシクロスポリン、シクロホスファミド、アザチオプリン、ミゾリビン等の免疫抑制剤を使うこともあります。

粘膜皮膚や関節炎等には、症状を抑える局所療法を行ないます。アゼラスチン、コルヒチン、レバミピド、エイコサペンタエン酸や非ステロイド性抗炎症剤が使われます。口腔内アフタにはセファランチン、エパデール等が使われています。

ベーチェット病の合併症

ベーチェット病の眼病変の虹彩毛様体炎や網膜ブドウ膜炎では、白内障や緑内障、網膜剥離等の合併症が起こることがあります。このような合併症で視機能が低下する可能性があるので、早期治療を受けることが大切です。

適切な時期に専門医による治療を受ければ、視力が回復したり病状の進行を最小限に抑えることが可能です。