八木アンテナ(八木、宇田アンテナ)

八木、宇田アンテナは、日本の八木秀次、宇田新太郎によって開発されたアンテナです。テレビ放送やFM放送の受信用やアマチュア無線、業務無線などの送受信用によく利用されていて普通は八木アンテナと呼ばれています。

八木アンテナの構造と特徴

UHFテレビ用八木アンテナの写真

八木アンテナはこの写真のように受信の場合は放送局に向かって、後から反射器(リフレクター)、輻射器(ラジエーター)、導波器(ディレクター)の各素子(エレメント)を配置し、導波器にだけ給電する構造になっています。

反射器は半波長(1/2λ)より少し長い棒状です。輻射器は半波長のダイポールアンテナ又はその応用アンテナになってます。導波器は半波長より少し短くなった棒状をしているのが一般的です。

この八木アンテナには指向性があり、その方向は反射器から導波器の方向になります。つまり、受信アンテナの場合は導波器の方向が放送局の方向となります。

この写真の 地上波デジタル楽天 対応14素子八木アンテナは、反射器が1素子(6本)、輻射器が1素子(2本)、導波器が12素子(12本)となっています。輻射器は広帯域とする為に、2本の位相差給電となっているようです。

八木アンテナの電圧、電流分布

八木アンテナ各素子の電圧、電流分布は半波長(1/2λ)ダイポールアンテナと同様です。つまり、棒状のアンテナの先端では電流が零で電圧は最大となり、棒状アンテナの中央では電流が最大で電圧が最低となっています。

また、反射器は共振周波数より長めなので誘導性(L性)となり、電流位相は輻射器の電流位相より遅れた電流が流れ、導波器は共振周波数より短めなので容量性(C性)となり、電流位相は輻射器の電流位相より進んだ電流が流れています。このことにより指向性が形作られています。

八木アンテナの各素子の電圧、電流分布は半波長(1/2λ)ダイポールアンテナと同じなので、アンテナに接近する物体は、電圧最大点からできるだけ遠ざける必要があります。例えばアンテナのステー線がどうしても八木アンテナに近づく場合は、電圧最小点の近くになるようにしなければなりません。

つまりマスト上か、ブーム上ならステー線が近づいてもあまり影響はないでしょう。また、できるだけ輻射器の周辺を避けるのが望ましいのです。

八木アンテナの素子数と指向性と利得の関係

一般的な八木アンテナの反射器は1〜2素子で、導波器には多素子のものを用いて指向性を鋭くし、利得を高くするようにしています。

一般的に八木アンテナは素子数が多いほど利得が大きくなります。UHF(極超短波)テレビ放送受信には14素子程度の物(利得約10dB)がよく使われています。弱電界地域では20素子以上の物がよく使われています。

八木アンテナの反射器は素子数が少ないのが一般的です。これは反射器を多素子にしても利得の増加が少ないからです。

更に利得と指向性を良くするには、遠距離受信用の20〜30素子程度のアンテナをスタックにします。つまり、縦に2〜4段にしたり、横に2〜4列にして混合器で合成してやります。縦にスタックにすると垂直面の指向性が良くなり、横にスタックにすると水平面の指向性が鋭くなります。利得は2本にすると、理論的には3dB増加します。この場合、混合損失が2dB程度あるので、実際は利得の向上はわずかです。

八木アンテナを広帯域にする為の輻射器の工夫

一般的に輻射器には半波長ダイポールアンテナや折返しダイポールアンテナや2本の位相差給電アンテナや変形AWX等が用いられています。

特にテレビでは使用する周波数帯域幅が広いので、広帯域特性が求められます。この為、輻射器の素子を太くしたり、折返しダイポールアンテナの折り返しの幅を広くしたり2本の位相差給電アンテナや変形AWXにして広帯域になるように工夫をしています。

八木アンテナの応用

八木アンテナと形が非常によく似た形のアンテナには、位相差給電アンテナ(HB9CVアンテナ)や対数周期アンテナ(ログペリオディックアンテナ)があります。これらは、全エレメント給電アンテナですが、八木アンテナは反射器や導波器には給電しなくても位相の違う電流が自然に流れるのが特徴となっています。