スタックアンテナの利得と指向性

八木アンテナなどを何個も使って、垂直に2段にしたり、水平に2列にしたりしているのを見かけたことはありませんか。これはアンテナのスタックと言って、アンテナの利得を上げたり、アンテナの指向性を改善したりする目的で行われています。

アンテナをスタックにする理由

アンテナをスタックにすると、利得や指向性が向上しますので、その目的を達するのが主な理由です。ひとつのアンテナでは、利得に限界があります。この為、更に高性能にする為に、これをスタック(並列)にしているのです。

アンテナをスタックにすると、アンテナの配置によって、 妨害電波楽天 を排除することもできます。1つのアンテナでは、どうしてもできなかったことが、2つ以上のアンテナを組み合わせることで、ある方向からの電波を全く受けないようにもできます。(ビームパターンのヌルポイント)

スタックアンテナの利得

1個のアンテナを2個並列にすれば、利得は理論上、最大で2倍になります。これは、デシベルで表せば3dBに相当します。2列2段にすれば、利得は2倍の2倍ですから、最大4倍になります。これは6dBになります。

アンテナの数を10倍にしても、理論上の利得の増加は最大10dBにしかなりません。スタックでの利得の増加は確実ですが、なかなか上がらないのが実情です。

アンテナをスタックにして最大の利得を得ようとすると、そのスタック間隔が狭くては、利得は上がりません。少なくとも0.5波長、できれば1波長以上のスタック間隔が必要となります。6dB以上の利得を上げようとすると巨大な空間が必要なことがわかります。

スタックアンテナの指向性

アンテナをスタックにすると、スタックの数量に応じて指向性が鋭くなっていきます。水平方向にスタックにすると、水平面の指向性が鋭くなり、垂直方向にスタックにすると、垂直面の指向性が鋭くなります。

もし、4本のアンテナをスタックにした場合、4列1段でも1列4段でも2列2段でも、利得の増加は6dBで同じですが、アンテナのビームパターンはそれぞれ別のものになります。何を目的にするかで、スタックのやり方が変わってきます。

上記でも述べましたが、スタックの間隔を変えると利得も変わりますが、ビームパターンのヌルポイントも変わってきます。スタック方向(普通は水平方向)とスタック間隔を変えることで、水平方向の妨害波を排除することもできますので、実際の運用で活用できます。

Qマッチを使ったアンテナの2スタックの例

50オーム系のアンテナを2個スタックにする場合で、よく使うQマッチの方法を紹介します。特性インピーダンス50オームのアンテナに特性インピーダンスが75オームの1/4波長のケーブルを接続すると、50オームが112.5オームに変換されます。

75*75/50 = 112.5

これを2個並列にすると、インピーダンスは56.25オームとなります。つまり、これは50オームに接続できることになります。

75Ωの同軸ケーブル5C-2Vなどの波長短縮率は約0.67ですので、1/4波長のケーブルを作る時は、計算した値に0.67を掛ける必要があります。

Qマッチを使ったアンテナの4スタックの例

50オーム系のアンテナを4個スタックにする場合で、よく使うQマッチの方法を紹介します。まず、50オームのアンテナを2個並列に接続します。そうするとインピーダンスは25Ωになります。

特性インピーダンス25オームのアンテナに特性インピーダンスが50オームの1/4波長のケーブルを接続すると、25オームが100オームに変換されます。

50*50/25 = 100

これを2個並列にすると、インピーダンスは50オームとなります。つまり、これは50オームに直接接続できることになります。

50Ωの同軸ケーブル5D-2Vなどの波長短縮率は約0.67ですので、1/4波長のケーブルを作る時は、計算した値に0.67を掛ける必要があります。

スタックにした時の損失

アンテナをスタックにすると、各アンテナからの位相合わせと、混合、マッチングに神経を注ぐ必要があります。これらがうまくいかないと理論通りの性能は見込めません。また、ドンピシャうまくいったとしても、各部品には必ず損失がありますので、1〜2dBの損失は覚悟しなければなりません。