中波ラジオの送信アンテナ

郊外を車で走っていると、広大な敷地に50〜100m程度の大きな中波ラジオの送信アンテナを見かけることがあります。とても大型なのでよく見えませんが、このアンテナの構造や仕組みはどのようになっているのか考えたことがありますか。

中波ラジオの送信アンテナの模式図とその特徴

中波ラジオの送信アンテナの模式図

中波(Medium Frequency)ラジオの送信 アンテナ楽天 の頂上には容量環と呼ばれる円形の電線があります。(頂冠空中線とも言います。)これはアンテナの対地容量を増やして、アンテナと送信機に直列に入れてあるコイル(延長コイル)と共にアンテナの共振周波数を低くして、アンテナを等価的に長く見せることができます。つまりアンテナ本体を短くしてもあまり性能が落ちないようにできるのです。

また、容量環はアンテナ先端部の近くの高周波電流を増加させる効果があり、電波の打ち上げ角度を低くして、電波を遠くに飛ばしたり、電波が強くなったり弱くなったりする(Fading フェーディングという)のを軽減する効果があります。

一般的には実際のアンテナの長さは(1/4)波長より短いのですが、電気的には(1/4)波長より長くして、電流の腹(最大点)を地上より少しでも高くして、電波の打ち上げ角度を低くした接地型アンテナの一種です。コイルはアンテナの下部に接続するよりも、容量環のすぐ下に配置する(トップロード、Top Loading)方が効果があります。

アンテナの下の地中には接地極と地線接地(放射状接地、ラジアルアースとも言う)と呼ばれる接地線を中心から放射状に張り巡らしています。これは電波の放射効率を良くする為です。このラジアルアース(Radial Earth)は長さが(1/4)波長近くになるものもあります。(50〜100m以上)ラジオの送信所には広大な敷地が必要な理由です。

NHKラジオ、松江放送、津和野送信所の例

NHKラジオ、松江放送、津和野送信所

NHK松江放送局、津和野ラジオ送信所(島根県鹿足郡津和野町鷲原)

第一放送 999kHz 100W 波長は約300m

第二放送 1359kHz 100W 波長は約221m

森鴎外の旧宅の対岸にあった中波ラジオ放送の送信アンテナです。

中心の赤白に塗装された柱はアンテナの本体です。多数のステーを張って本体が倒れないように支えていますがステーに電波が乗らないようにする為、所々に碍子(がいし)を入れて絶縁してステーの長さを短くして電波が共振しないようにしています。

ここの送信所の送信電力はあまり大きくありませんが、一般的には中波ラジオの送信電力はとても大きく10kW程度のものも珍しくはありません。送信電力が大きいと、送信所の近くでは様々な不思議な現象が現れることがあります。例えば蛍光灯のスイッチが入っていないのに蛍光管が発光したり、ラジオが近くに無いのにどこからかラジオの音が聞こえるとかの珍現象(怪現象)があります。

送信電波の周波数が1MHz(1,000kHz)とすると、波長は300mとなり、(1/4)波長のアンテナの長さは75mとなります。実際のこのアンテナの高さは周囲の建物から考えて50m程度と思われます。