ブースターと雑音指数NF

BSやCSの受信に使うブースターやアマチュア無線の受信用のプリアンプなどは使い方が悪いと効果がないばかりか、無い方がましという事さえあります。ブースターとNF(雑音指数、ノイズフィギュア)について実験を通して考察しました。

弱い信号を受信する場合、 ブースター楽天 を使わなければケーブルやコネクター等で損失が発生して、信号はどんどん小さくなってしまいます。信号が小さくなると相対的にノイズの量が増えるので、減衰した分だけNFも悪くなってしまいます。

一旦NFが悪くなってしまうと、いくら理想の増幅器で増幅してもNFは改善されません。減衰する前に増幅することが大切な事がわかると思います。

S/N比とNFの定義

信号とノイズの比率をS/N比と呼び、入力のS/Nと出力のS/Nの比率をNF(ノイズフィギュア)といいます。

S/N比もNFも比率なので単位はありません。通常デシベルで表します。したがって理想増幅器のNFは0dBです。

総合NFの計算方法

ブースター等の機器のNFは定格等に書いてありますし、損失や減衰器のNFは減衰量そのものです。これらを何段にも組み合わせた場合のNFの計算式は次のようになります。

総合NFの計算式

NF1〜NFn : 各段の単体のNF

G1〜Gn : 各段の利得

計算はdBではなく、真の値で行ないます。エクセルによる計算式はこちらです。

インターネットエクスプローラーとエクセルがインストールされていればすぐ使えると思います。うまくいかない時は右クリックでファイルに保存してエクセルで使って下さい。

増幅器(ブースター)によるNFの改善

ブースターの画像

この写真のようなブースターを使うことによって、受信系統のNFを改善することができます。

ブースター以外にアクティブ素子の無い場合

理想の増幅器はこの世に存在しないので、増幅することによって必ず雑音が発生すると言えます。従って増幅器を使用する時は雑音の発生量が少なくて、利得の大きい増幅器を使用する必要があります。雑音の発生量が少ないということは、雑音指数NFが小さい増幅器ということになります。

例1

例として弱い信号を受信するアンテナシステムにブースター(プリアンプ)を1つだけ取り付ける場合を考えてみます。

アンテナからブースターまでの損失量=10dB

ブースターのNF=3dB 利得=30dB

ブースターから受信機までの損失量=10dB

受信機のNF=3dB

総合のNF=13.04dBになります。

例2

上の例でブースターをアンテナのすぐ後に付けたらどうなるでしょうか。

アンテナからブースターまでの損失量=0dB

ブースターのNF=3dB 利得=30dB

ブースターから受信機までの損失量=20dB

受信機のNF=3dB

総合のNF=3.41dBになります。

もしブースターがなければ信号の強さはアンテナの出力の-20dB(電力比で1/100)、NF=23dBです。アンテナの信号が弱い場合はたぶん満足な受信は出来ないでしょう。例1の場合でも信号の強さは十分でもNF=13.04dBです。同じくアンテナの信号が弱ければうまくは受信出来ないと思います。例2の場合はNF=3.41dBでこれらの比較では理想に近い状態だと思います。

もちろんブースターがなくても適度な信号強度がある場合はブースターをどこに入れてもあまり問題にならないと思います。

アンテナの信号が弱い場合はNFが良く適度の利得のブースターをアンテナ直下に入れることがいかに重要かお解りいただけましたでしょうか。

BS/CSアンテナにブースターを取り付ける場合

BS/CSアンテナシステムにブースターを取り付ける場合ではアンテナのBS/CSコンバーター利得を考えて計算をするべきかどうかを実験によって確かめました。

後述の実験の結果、コンバーター利得を考慮して計算するべきとの結論に至りました。
 これは福島県の太陽電化サービスの一條様より、私の間違いの指摘を頂き実験したものです。一條様ありがとうございました。

例3

アンテナのBS/CSコンバーターのNF=1dB 利得50dB

ブースターのNF=5dB 利得=30dB

ブースターから受信機までの損失量=30dB

アンテナシステム総合のNF=1.0001dBになります。信号の強さは損失分をブースターで増幅しているので、BS/CSコンバーターの出力と受信機の入力は同じです。

例4

今度はブースターを受信機の直前に付けたらどうなるでしょうか。

アンテナのBS/CSコンバーターのNF=1dB 利得50dB

BS/CSコンバーターからブースターまでの損失量=30dB

ブースターのNF=5dB 利得=30dB

アンテナシステム総合のNF=1.108dBになります。信号の強さは損失分をブースターで増幅しているので、BS/CSコンバーターの出力と受信機の入力は同じです。

BS/CSコンバーターからブースターまでの損失量が30dBもあるのに、総合のNFが1.108dBなら何の問題もないはずです。ブースターはBS/CSアンテナのNFに関する限り、卓上型でも何の問題もないことになります。BS/CSブースターのNFも特に良い必要はありません。

私も驚きました。ブースターはアンテナ直下に入れるという常識を覆すものでした。次にその根拠になった実験結果をお知らせします。

BSアンテナ出力を減衰させた時のC/N比測定実験

BS/CSアンテナシステムにブースターを取り付ける場合BS/CSコンバーターのすぐ後にブースターを取り付けるのが常識ですが、BS/CSコンバーターの出力を一度減衰させて、ブースターで増幅したらC/N比(*注)はどうなるかを実験で確かめました。

結果はBSコンバーターの出力を42dB減衰させて、ブースターで増幅してもC/N比はほとんど変化しないことが解りました。当然テレビは綺麗に映りました。

(*注) C/N比とは信号の搬送波(キャリア)と信号の無い部分のノイズとの比でS/N比と似たようなもの

実験方法

BSコンバーターのすぐ後に、アッテネータ(減衰器)を挿入し、その後にブースターを取り付けて、ブースターの出力のC/N比を測定しました。ブースターを使った理由は、ブースターがないと電界強度、C/N比共に測定出来ない為と、電界強度を出来るだけ揃えてC/N比を測定したい為です。

実験日時  2002.08.23 PM5時

実験機材

■BSアンテナ ナショナルフラット TA-BS7A

アンテナ利得 32dB  NF 1.2dB  コンバータ総合利得 49±4dB

■電流通過型F型減衰器 4個

減衰量実測値 10dB 12dB 14dB 16dB 各1個

■ブースター

DXアンテナ製 GSM-301A BS利得 30dB型

■電界強度測定器

リーダーの952型

実験結果

減衰量[dB] ブースターの 利得調整 信号強度[dBμV] C/N比[dB]
0 Min. 88.8 18.2
12 Min. 76.3 18.3
22 Adj. 70.0 18.5
30 Adj. 70.0 18.8
42 Max. 63.8 17.6

測定チャンネルは BS9 NHKアナログハイビジョン放送です。

測定結果に変動がある為、測定は2度行ない平均値を出しました。

[dBμV]とは1μVを0dBとした時の比率で電圧を表したものです。