アンテナの利得とは(利得の大小と指向性の関係)

一般的にアンテナに要求される特性としては、用途に合った使いやすい適度な利得と適度な指向性です。利得が大き過ぎると指向性が鋭くなり過ぎて使いにくいものです。利得が小さいと電波を遠くに飛ばすことができなかったり、不要な方向への電波が混信を起こしたりします。

アンテナの利得について(高利得アンテナ)

UHFテレビ受信用八木アンテナ

この写真は、テレビの受信用の八木アンテナで、一般的にアンテナとしては高利得です。

この写真のように、輻射器(放射器)の前に導波器を置いて、輻射器の後ろに反射器を置いて、アンテナ全体の長さを拡げると一般的に、利得(Gain ゲイン)が大きくなって、指向性(ビーム)は鋭くなります。このようなアンテナをエンドファイアアレイのアンテナと言います。

アンテナの指向性が鋭くなると、同一方向への電波が集中して、送信電力が同じなら電波がより遠くまで届きます。これをアンテナの利得が大きい(高い)といいます。

低利得のアンテナ(ダイポールアンテナなど)

ダイポールアンテナの模式図

これが、1/2波長のダイポールアンテナや1/4波長の接地アンテナの模式図です。アンテナの基本となるもので、低利得アンテナの代表的なもので、利得の基準となるものです。

アンテナの利得の基準は、全方向に均等に放射すると考えた仮想のアンテナ(Isotropic Antenna 等方向性アンテナ)を元にした利得(dBi)と、1/2波長ダイポールアンテナの利得を基準にした利得(dBd)の二種類があります。

ダイポールアンテナの利得は約2.15dBiであり、 1dBd = 2.15dBi の関係があります。

アンテナの指向性と利得とアンテナの大きさの関係

アンテナシステムの損失が同じなら、指向性が鋭い程、アンテナの利得が大きく(高く)なります。そして、一般的にアンテナの大きさは大きくなります。

前記の 八木アンテナ楽天 のようなエンドファイアアレイのアンテナでは、前後に長く大きなアンテナになるのが一般的です。

同じアンテナを上下に何段もスタックにしたり、横方向に何列もスタックにして並列励振をしたアンテナの配列をブロードサイドアレイのアンテナと言います。上下にスタックすると垂直面の指向性が鋭くなり、横方向(水平方向)にスタックにすると、水平面の指向性が鋭くなります。

この場合も同様に、アンテナが大きくなる程、指向性(ビーム)が鋭くなって、アンテナの利得が大きくなっていきます。つまり、アンテナの指向性と利得と大きさにはある程度の相関関係があるということです。小さくて利得の大きいアンテナというのは存在しません。

この事は受信アンテナを考えると容易に想像ができます。できるだけ多くの電波を受信しようとすると、アンテナの受信面積が広く必要となります。つまり、アンテナは大きくなるということです。

アンテナの利得は最大の輻射方向の利得です

アンテナそのものは電波を増幅をしているわけではない(パッシブなもの)ので、利得があるというのは最大の輻射方向の利得の事です。つまり、最大輻射方向以外の方向では、利得がそれよりも小さい(低い)ということになります。

アンテナには用途に合った利得と指向性が必要です

携帯電話やスマートフォンのような機器のアンテナでは、どのような状況でも送受信ができるように、ダイポールアンテナや1/4波長の接地アンテナのように指向性があまり無いものが望ましいものです。また、できるだけ小さい事も必要です。

また、テレビの送信アンテナや携帯電話の基地局のアンテナでは、垂直面内の指向性は鋭くて、四方八方に均等に電波を輻射するようなものが要求されます。

できるだけ遠方と通信する目的のアマチュア無線や、宇宙通信などでは巨大な八木アンテナやパラボラアンテナのような指向性の特に鋭いアンテナが必要になります。