電撃装置ショックンPCの回路図

電気柵に使用する電源装置(牧柵器、電撃装置)の実際の回路図を公開します。現在主流となっているコンデンサー放電方式で販売していたショックンPCの実際の回路図です。自分で(DIYで自作)作ろうとする方の参考になるはずです。

イノシシの画像

ショックンPCは販売も修理も終了しましたが、せっかく何年も掛けて開発したので、回路図だけでも公開することにしました。回路の動作がわかれば、後はPICプログラムを作れば動作させることができます。

意欲のある方がDIYで製作する時の参考になれば幸いです。意欲のある方の質問はできるだけ受けるつもりです。しかし、全ての部品や主要な部品と定数を教えてという要求には答えられません。解らない部分だけの質問にはできるだけお答えします。

ショックンPC(コンデンサー放電方式)の回路図

電気柵用電撃装置ショックンPCの回路図

ショックンPCはコンデンサーに蓄積した電荷を一気にトランスT1に放電させて トランス楽天 によって昇圧する方式です。

この回路図は長年私が実験を重ねて開発した電気柵回路の集大成と言えるものです。

回路は比較的簡単ですが、回路のひとつひとつには様々な工夫がされています。

回路を複雑にして同じ動作をさせるものを作るのは比較的簡単ですが、回路部品を究極まで少なくしてうまく動作させるのは、実は大変な事なのです。抵抗1個コンデンサ1個まで吟味して使用しています。

また、全体の回路をコントロールしているのが、8PINのPIC12F629です。このICで全ての動作を決定しています。

ショックンPC回路図の簡単な説明

まず、12Vの直流からT2のトランスとQ3のFETを使って、交流に変換してから約300Vに昇圧しています。これをD3で整流してC5に直流として充電しています。

この時の交流はPICでQ3のFETをON/OFFすることで作っています。PICでON/OFF信号を作れば、発振回路を作成するより簡単に回路を構成することができます。また、規定の電圧に充電されたら、充電を停止することも簡単にできます。

C5に充電された直流の電荷は、TR1の トライアック楽天 でT1の高圧トランスの1次側に一気に放電させます。そうすると高圧トランスの2次側には数千ボルトの高圧パルスが発生します。

主な回路はたったのこれだけですが、回路の補足説明をします。TR1のトライアックをONさせる為のトリガーはPICの3番PINからQ2のトランジスターを介してゲートに加えています。これはゲートには一時的に大電流が必要だからです。もちろん、トライアックをONさせるタイミングはPICで制御しています。

コンデンサーC5に充電された電圧はZNR1とZNR2の直列回路に接続されています。もし、何らかの不具合でコンデンサーC5の電圧が上がりすぎた時の対策です。ZNR1の電圧を超えた場合はR7、R8、R9、C4で分圧整形してPICの6番PINに加えています。

これらの回路はコンデンサーC5に充電された電圧をPICで測定しています。C5の電圧が規定値に達すると充電を終了させる為です。これは、電源電圧の変動でも高圧が安定するという効果があります。

高圧回路には一切の電流を制限するものを設けていません。それは、柵に触れた場合にできるだけ多くの電流を流してやって、ショックを多く与える為です。高圧のエネルギーはコンデンサーに蓄電するエネルギーで制限されていますので、危険なことはありませんが、ショックは大きくなります。

電解コンデンサーは信頼性に欠けるので使用していません。大容量の物は積層チップコンデンサーを使用しました。

ヒューズは大電流が流れたら発熱して抵抗が大きくなり、電流が少なくなるリセッタブルヒューズを使っています。一度スイッチを切れば何度でも交換することなく使えます。電源の逆接続はD1とリセッタブルヒューズで防止できます。

PICプログラムや回路での工夫

PICマイコンはCMOSのICであり、高圧を扱っているとICのラッチアップという現象は、避ける事が難しいものです。

高圧の放電等でPICがラッチアップして突然ICに大電流が流れる事があります。異常時に電源をわざと不安定にして内部リセットを掛ける事で解決しています。

プログラムの暴走はマイコンの宿命のようなもので、コンピューターというものは時々言うことを聞かないことがあります。ウォッチドッグタイマー(番犬タイマー)を使用して、もし暴走したら即リセットを掛ける事で解決しています。

回路によっては高圧の放電時には大きなノイズが発生して、PICが誤動作することがあります。プログラムのメインルーチンにPICのI/Oポートの再設定とPICの初期設定を可能な限り入れて、もし誤動作してもすぐ元に戻すようにしています。

PICプログラムは全てアセンブラーで組んであります。プログラムに慣れると細かい動作を短いプログラムで思い通りに動作させることができます。

昼間等の待機時にPICを動作させておくとPICの電源安定化などに最低でも数mAの電流が必要です。この為アナログ回路を駆使して、待機時はPICを動作させない回路にして、待機時の消費電流を約0.05mAにしています。(通常必要な1/100以下の電流)

PICの動作時の平均電流は約1mAですが、Q2から出るパルスの大電流のパワーはC2のコンデンサから供給しています。この辺の回路の説明はPIC電源回路の工夫に記載しています。