ブースターの使い方(地上デジタル放送を綺麗に見る為に)
ブースターとは電波などの高周波の信号を増幅する装置です。ブースターを使えば必ず画面が良くなるというものではありません。ブースターを正しく使うには、技術的に高度な知識とデジタル放送用の電界強度計などが必要です。
ブースターの基本的な使い方
地上デジタル放送をうまく受信するにはテレビのアンテナ端子の信号強度は35dB~90dB[μV]が必要です。この範囲より信号が小さくなる場合はブースターでの増幅が必要です。
ブースターは基本的にアンテナ直下に使うものです
特に弱電界地域では、ブースターを使わないと、十分な アンテナ端子楽天 電圧が得られない場合は、アンテナ直下やアンテナに近い所にブースターを使います。ブースターはケーブルでの損失や、混合分配損失が発生する前に増幅してやらないと、ノイズが増える場合があります。
信号とノイズの比率をS/N比と呼び、入力のS/Nと出力のS/Nの比率をNF(ノイズフィギュア)といいます。S/N比もNFも比率なので単位はありません。通常デシベル(dB)で表します。したがって理想増幅器のNFは0dBです。
弱い信号を受信する場合、ブースターを使わなければケーブルやコネクター等で損失が発生して、信号はどんどん小さくなってしまいます。信号が小さくなると相対的にノイズの量が増えるので、減衰した分だけNFも悪くなってしまいます。
一旦NFが悪くなってしまうと、いくら理想の増幅器で増幅してもNFは改善されません。減衰する前に増幅することが大切な事がわかると思います。
ブースターは基本的には損失を予め補償する使い方をします
強電界地域でもブースターが必要な場合があります。例えばアンテナの出力での信号強度が70dB[μV]あった場合、ケーブルでの損失が15dBで分配損失が20dBあった場合は、テレビの端子では35dB[μV]になってしまいます。これではうまく受信できないことがあります。
このような場合は、損失が発生する前か分配器の前に20~30dB増幅するブースターを入れてやります。もしアンテナ直下に入れる場合は、約100dB[μV]以上の定格出力が必要です。
卓上型ブースターを使う場合
強電界地域で、アンテナの信号が十分強い場合、分配した後でのアンテナ端子の信号が弱い場合は、卓上型のブースターを使った方が良いこともあります。マンションやアパートの壁面端子の信号が弱くて、テレビの映りが悪い場合にはこのようなブースターの使い方は効果的です。
ブースターの適正入力と定格出力を守る必要があります
ブースターの取説の明細を見るとブースターには適正入力範囲と定格出力が書いてあります。ブースターを使う場合はこれを守らないと、効果が無いばかりか、返って逆効果になることがあります。
適正な入力範囲に入らない程信号が大きい場合は、入力に減衰器(ATT、アッテネーター)を使います。出力は定格オーバーにならないように利得(ゲイン)の調整をします。アンテナの信号は変動することがありますので、変動しても規格内に入るように余裕を見込んで調整します。
適正入力と定格出力を守らないと、混変調が発生したり、アナログテレビではワイパー妨害が発生したりします。デジタル信号の場合は、信号品質(BERとMER)が悪くなることがあります。BER(ビット誤り率)が2.00E-4(2.00×10-4)以下であれば受信可能です。MER(変調誤差比)が25dB以上ならば受信が良好となる目安です。
CATVブースターの選定方法(地上デジタル放送を受信する場合)
CATVでは家庭に入った信号は各部屋に4~8分配する場合が多く、この場合は電波がかなり弱くなるので分配する前にCATVブースターを挿入して分配損失を補償する必要があります。この場合は下り増幅用のCATVブースターを使います。
BSやCS信号を同じ同軸ケーブルに混合する場合は、BSやCSも増幅する下り増幅用のCATVブースターを使います。BSアンテナにもプラス15Vを給電できる機種を選んだ方が使いやすいでしょう。
CATVブースターの下り信号の増幅は70~770MHzに対応したものを使います。この周波数帯域をほぼフラットで増幅してくれるのでCATV信号や地デジの増幅には最適です。CATV用ではなくて、普通のアンテナ増幅用のU/V/BS/CS用のブースターはCATVチャンネルを増幅しないようになっているので注意が必要です。