私の骨盤骨折とその治療体験記4(恥骨離開と完治)

私が経験した重大な転落事故での骨盤骨折と入院、治療、リハビリとその完治の体験記録です。同じように骨盤骨折や恥骨離開になられた方の参考になりましたら幸いです。



転落事故、入院、治療、退院の経過

2012年4月4日午前11時頃、高さ約4メートルからコンクリートの上に向かって、頭から真っ逆さまに落ちました。転落の外傷は、両手の甲と肘、左肩の後ろ、左足のすねだけでした。しかし、尻から着地した為に、骨盤を骨折して入院しました。

入院期間は約1ヶ月でした。5月8日には普通に歩けるようになったので退院しました。とても早い回復で驚きました。

退院後の痛みと歩行不能

主治医(外科医)から言われていた事は「骨折箇所が痛くなければ、何をしても良い」とのことでした。私は医師の言うことを忠実に守って生活していました。

しかし、次第に骨折箇所が痛くなってきました。右足に体重を乗せることが全くできなくなりました。医師から松葉杖を使う指示は全くありませんでしたが、自分の判断で松葉杖を使うことにしました。

退院して1ヶ月後の健診

退院して約1ヶ月後の6月4日の健診で、全く歩けないことと、松葉杖を使っている事を整形外科の医師に伝えましたが、今のままの生活で良いとのことでした。痛くないようにしていれば痛みは自然に良くなるとのことでした。

その後の2ヶ月の生活と安静

私は医師の指示を忠実に守り、松葉杖の生活を続けていました。主な生活は、2階のベッドで寝ることですが、トイレは2階にありましたので、問題はありませんでした。食事には1階まで降りていました。風呂は週に2回程度にして、1階まで降りて全身の冷水シャワーとタワシ摩擦をしていました。

時には外出して骨折箇所が痛くなることはありましたが、相当痛くても1週間もすればその痛みも完全に治っていました。そんな生活を約1ヶ月間続けました。

このままでは、あまり良くならないことがわかったので、その後の1ヶ月間(7月中)は、完全に安静にすることにしました。つまり、トイレの回数を1日に5回程度にして、風呂に入るのはやめて、濡れタオルで体を拭くだけにしました。また、食事はベッドで寝たまま摂ることにしました。つまり、完全に2階だけの生活にしたのです。

そうすると、骨折箇所の痛みも完全に無くなり、腰の辺りの違和感も全く無くなりました。完全に完治したかに見えました。

歩くと痛い

8月に入って、今度こそ歩けるだろうと、そっと右足を使ってみました。ちょっとくらい右足に体重を乗せても大丈夫のようでした。2~3日経過した時でした。右足を使った直後に骨折箇所に冷や汗が出る程の激痛が走りました。やはり、治っていなかったようです。

恥骨離開(恥骨結合離開)と判明しました

骨盤ベルトと普通のベルト

整形外科の診察は月曜日だけなので、8月6日の月曜日に通院しました。医師によると、レントゲンの映像で恥骨離開が少し認められるとのことでした。この写真のような 骨盤ベルト楽天 を使うように指示がありました。特注で骨盤ベルトを作成するのに1週間は掛かるので、私は、代わりに父が持っていた腰痛ベルトを使ってみました。

また、この写真の下の普通のズボン用のベルトを腰骨と股関節の間で、股関節のすぐ上にきつめに締めて使ってみました。すると、あら不思議、何のことは無い。ちゃんと普通に歩けるではありませんか。これで、治る見通しが立ちました。つまり、痛みの根本原因は恥骨離開だったのです。

この写真の特注の骨盤ベルトは、約16,500円の製作費用がかかりました。国民健康保険の場合は、申請すると7割は後で返金されますが、それでも、約5,000円の負担が必要でした。この写真の下の普通の幅広ベルトはGパン等に使うものです。これは手持ちのもので、費用はかかりませんでした。普通のベルトは締め付けるのが簡単で、水に濡れても問題ありません。風呂でも締めたまま使えました。

一般的に恥骨離開は妊婦に多い病気です。従って、症状や治療の仕方はネット上にいくらでもあり、治療方法も確立されています。妊婦さんは骨盤ベルトとか、トコちゃんベルトとかを使うようです。だから、もう心配は要りません。今まで、私は、本当にこの骨折が治るのだろうかととても不安だったのです。

私の想像ですが、右足で歩くと恥骨結合部が開いていき、骨折した右側の仙腸関節部の下部が開いて、上部が狭まったようになるのではないかと思います。そこで、右の仙腸関節上部の骨同士が接触して、この部分に痛みが出るのではないかと思います。

恥骨離開が見抜けなかったのは医師の怠慢です

私の恥骨離開は、最初に転落で骨盤骨折した時からわかっていました。これは入院中に医師から聞きました。整形外科医なら、退院の時、足を使うと恥骨離開になることぐらい解っていたはずです。退院と同時に骨盤ベルトを使うように指示があって当然です。

もし、退院後すぐに骨盤ベルトを使っていたなら、私はその後の3ヶ月を無駄に過ごすことはなかったはずです。

退院後1ヶ月目の検診の日にも、私は痛くて歩けないと言っているのですから、この時に何の対策もしなかったのは医師の怠慢です。その後の2ヶ月も私は無駄に過ごすことになったのです。

恥骨離開の治療方法

恥骨離開を治すには、左右の恥骨が離れないようにして固定してやればよいのです。つまり、骨盤ベルトを使って骨盤を締め付けておけば良いのです。そうすると、次第に、骨の周囲の靭帯がそれに沿って形成されて、しっかりと骨が固定されてきます。

また、寝る時は骨盤ベルトを外して、横向きになって両足を曲げて寝るのが安定が良いようです。横向きに寝ると、骨盤を横から圧迫するようになり、恥骨が離開するのを防ぐことができます。これは、私が横向きに寝た時、恥骨が痛くなることから発見しました。1~2週間これを続けると恥骨の痛みが次第に和らいで、右の仙腸関節上部の痛みもなくなってきました。

今までは、恥骨が痛いからと、横向きに寝るのを控えて、仰向けまたは腹ばいになって寝ていました。今までは全く正反対の事をしていたことが判明しました。これでは治るはずがありません。

横向きになって寝ると、枕の高さが適当でないと、腕や肩や首がしびれたり痛くなったりします。横に寝た時、背骨がまっすぐになるように枕の高さを調整してください。

骨盤ベルトを使いだして約1~2週間が経過すると、トイレや風呂などの短時間の用事では、骨盤ベルトをしなくても問題ない位に回復しました。長時間の外出や長時間の机に向かっての作業や長時間の屋外作業では骨盤ベルトをして行ないました。その内、骨盤ベルトをしなくても問題無ければ次第に外せるようになりました。問題があれば、すぐに骨盤ベルトを装着しました。

恥骨や骨折箇所の痛みに注意

骨盤骨折の場合は、恥骨や骨折箇所の痛みがある場合は、あまり歩いてはいけません。私はこれを知らずに歩いた為、仙腸関節付近の骨折箇所に痛みが出るようになりました。

骨盤というのは仙骨と寛骨(腸骨)の間(仙腸関節という)と恥骨の部分が軟骨でできていて、少し動くことができるようになっています。だから、歩くと骨盤の骨折箇所や恥骨部分に無理が掛かります。特に、恥骨部分が痛い場合は、骨盤の靭帯部分や軟骨が治癒していない証拠です。

私の場合は、恥骨離開(恥骨結合離開)があったので、横を向いて寝ると、恥骨部分が少し狭まります。この為、横を向いて寝ると少し痛みがありますが、恥骨離開の治療には効果があったようです。

腹横筋を鍛えると腰痛予防になります

NHKのためしてガッテンで放送していましたが、腹筋の腹横筋を鍛えると、腰痛予防に効果があるとのことです。私は、骨盤骨折にも良いと考えて、リハビリとして腹筋運動もやってみました。

一般的に腹筋と呼んでいて、腹筋運動で鍛えているのは、「腹直筋」のことです。腰痛予防に効果があるのはその奥にある「腹横筋」です。これは、おへそを引っ込める運動で鍛えることができます。いわゆるインナーマッスルと呼ばれる筋肉です。

おへそを引っ込める運動をすると、次第に腹横筋が強く太くなっていきます。そして、この腹横筋はコルセットの役割をするのです。この腹横筋を鍛えると、姿勢が安定して、腰痛の予防や改善になるとのことです。私の骨盤骨折では骨盤ベルトを使いましたが、これが腹横筋を鍛えるのと同等の働きをしているのだと思います。

歩いたり、運動したりする時には、筋肉が少ないと体重全部が骨にかかってきます。腹横筋などの筋肉を鍛えておくと、体重が骨以外の筋肉などに分散されて、骨への負担を減らすことができます。