私の骨盤骨折とその治療体験記2

私は還暦後、初めて重大な転落事故に会い1ヶ月以上入院し、約5ヶ月は歩けませんでした。その時の骨盤骨折とその治療の体験を記録しました。皆様の参考になりましたら幸いです。



転落事故と入院しての安静治療

転落事故の現場と状況の写真

2012年4月4日午前11時頃、この写真の、高さ約4メートルの上から下のコンクリートに向かって、頭から真っ逆さまに落ちました。転落の外傷は、両手の甲と肘、左肩の後ろ、左足のすねだけでした。しかし、尻から着地した為に、骨盤を骨折して入院しました。

一般的に、骨盤骨折になると、 大量出血楽天 を伴うことがよくあります。また、他の臓器も同時に損傷することがあります。まずは、入院してすぐにヘリカルCTによるレントゲン撮影をしました。

今回の転落事故で右側の臀部から着地したことで、背骨につながる仙骨と右側の寛骨の間の近くが骨折していたようです。恥骨の軟骨部が少し開いている(恥骨離開)ようでした。

骨盤骨折の症状としては、骨盤骨折そのものによる痛みや他の臓器の損傷による痛みや出血があります。骨盤骨折で、一番注意しなければならないことは動脈や静脈の損傷による出血性ショックです。これがあると、すぐに命にかかわります。

4月5日に、ヘリカルCTでの血管造影による血液の漏れ検査をしました。この結果、幸運なことに他の臓器や血管に何も損傷がないことが判明しました。

骨盤骨折での安静と治療

病院での骨盤骨折の治療は、優先順位を決めて重要なものから治療をします。動脈や静脈の損傷による出血性ショックがある時は、最優先で血管の塞栓手術や輸血をします。他の臓器にも損傷がある場合では、必要があればその修復手術をします。骨盤骨折で骨盤が不安定になっている場合はその固定手術を行ないます。

私の場合は、他の臓器や血管に何も損傷が無かったので、骨盤骨折の治療としては比較的簡単な部類に入ります。骨盤骨折で骨盤が不安定になっていることもなく、コルセット等も必要ありませんでした。主な治療としては安静だけです。

輸液の点滴と痛み止めの服用は5~6日間程度で終了しました。その後は治療薬は一切無く、安静だけが治療でした。

輸液の点滴

入院直後から輸液の点滴です。4月4日~8日まで、「ソルラクトD 500mL 100kcal」と「ソルデム3輸液 500mL 54kcal」の点滴をしました。これらは内出血等がある可能性があるので、体液の補充という役目のようです。4月9日は「ソルラクトD 500mL 100kcal」の点滴だけでした。

痛み止めの服用

4月5日から一週間は、痛み止めの飲み薬が処方されました。 痛み止め楽天 の「ロキソニン錠 60mg」と、胃薬の「ムコスタ錠 100mg」とを毎食後各1錠を服用しました。これは非常によく効きました。

約1日分を残して痛み止めの薬を飲むのを中止しましたが、それ以後は痛みが我慢できない程ではありませんでした。

入院から半月以後は、身体の痛みは、骨折部分よりも、転落時の「打ち身」や「捻挫」による痛みが主となりました。具体的には、左肩の後ろと内股部分(恥骨の近く)と腰の辺りです。この痛みは退院してからも続きました。

睡眠薬の処方(不安や緊張をやわらげる為)

4月4日の夜は痛み止めの薬も無く、腰の辺りが痛くてよく眠れませんでした。これは当然のことですが、看護師に眠れなかったと言うと睡眠薬「デパス錠0.5mg」が7回分処方されました。

入院2日目(5日)からは、痛み止めの薬がよく効いたので、結局、睡眠薬は一度も飲まずに捨てることになりました。これは医療費の無駄以外の何でもありません。

緩下剤の服用

4月7日の最初の排便以後、便が再び出なくなりました。寝返りで腸の調子は良くなったのですが、4月9日に緩下剤「プルゼニド錠 12mg」が2錠処方されました。この薬も非常によく効き、次の日に排便がありました。

排尿について(導尿、尿瓶)

ベッドでの安静期間が6~8週間とのことで、4日に導尿の管を入れられました。小便に行かなくても良いのですが、これには閉口させられました。管を入れる時とても痛いのです。また、夜中にペニスが勝手に勃起するのも痛くて困りました。これは男にしかわからないでしょう。

4月10日まで導尿をして、11日に導尿管を取りました。その後は尿瓶(しびん)で排尿しました。一日の排尿の量は約2~2.5リットルでした。尿瓶での排尿間隔は約3~4時間で、一回の尿の量は約200~400mLでした。

導尿の管を外した後は、尿が出ようとすると、尿道に痛みがあり、尿を出したくても身体が出さないように反応します。その後何日も排尿に苦労しました。

排便について(オムツ、差し込み便器)

ベッドで安静ということは、ベッドから降りられません。もちろん排便もベッド上ですることになります。オムツの中に排便しなさいと言われても出るわけがありません。当然、便秘になりました。最初の排便は3日後の4月7日でした。やっとの思いで出すことができました。

また、オムツカバーの「かぶれ」にも閉口しました。オムツカバーの縁の所が肌に当たる部分に水ぶくれができて、それが潰れて痛いのです。

11日に導尿管を取ると同時に、オムツとオムツカバーも取ることができました。その後は「差し込み便器」を使って、ベッドの上に便器を置いて排便することになりました。これ以後は毎日排便することができました。

差込み便器の使用方法は、看護師や介護福祉士によって使い方がまちまちで、使ったことがない人もあり、私に使い方を聞く人もありました。一度、差込み便器をそのまま使って、便器とお尻がくっついてしまい、便器がお尻から離れなくなったことがありました。差し込み便器の上に一枚布を敷けばそのようなことはありません。

寝返りと腸閉塞の関係

骨盤骨折の初期では、ベッドで寝返りができません。当然、上を向いたままで何日も過ごすことになります。4月7日に最初の便が出ましたが、その後便が出る様子が全くありません。そして、腹が張って下腹が痛くなってきました。

インターネットで検索すると、寝返りが排便に効果がありそうだとわかりました。私の場合は、仙骨と右側の寛骨の間が骨折しているので、左側には寝返りしても良いと医師から言われていたので、左側を下にして寝返りをしてみました。

そうすると、とたんに腸の内容物が動き出したのがわかりました。その後に大量の「おなら」が出て腹痛が治りました。やはり寝返りは腸閉塞に効果的なことがわかりました。その後、毎日何回も寝返りをしたのは言うまでもありません。寝たきりで便秘の人は寝返りを試してみてください。便通が良くなりますよ。