修理技術情報掲示板過去ログ182

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(3250)富士通ゼネラル製エアコン シリアル通信異常

投稿者:むっちゃん

通信異常解析中 今年の冬までは問題無く使用していた97年製の富士通ゼネラル製エアコン(AS25BPB)ですが、夏場に備えて試運転をすると動作しません。

内機のタイマランプが連続点滅をするので「シリアル通信エラー」である事は確実です。故障箇所が内機の基板か外機の基板かを確かめる為に、各基板を外して机上で調査を行なった所、通信形態の詳細と故障箇所の特定が出来ましたので、この場を借りて報告させて頂きます。

シリアル通信の形態は各社様々ですが、このメーカの場合は「黒線」からCRを通して導いた高インピダースの交流信号を「赤線」に加え、専用のHICにより交流の+側と?側の半波を欠落させた信号で通信をしている様です。(当然白線がコモンです)

信号はHICによりCPUと通信ラインを絶縁処理しており、「交流CLOCK」「受信データ」に2個のフォトカプラ、「送信データ」用にフォトSCR(フォトMOSかも?)を使用している様です。

・内機→外機には(白線から見た)+側に信号を重畳 HIC型式GK-30368
・外機→内機には(白線から見た)?側に信号を重畳 HIC型式GK-30369でした。

内機と外機間の赤線を外した状態ではCPUからの信号が各々重畳していましたが、赤線を接続すると?側の信号が消えてしまします。幸い、メーカの2003年環境報告書にHICの内部写真が掲載されており、計測した波形と写真から自分なりに回路を解釈しました。

回路が理解出来れば入手困難なHICが無くても修理は可能と考え、手元の部品でHICに抱き合わせて回路を組んだ所、通信エラーが無くなりました。湿度対策の為にシリコン樹脂堅め、天気の良い日中に本体に組み込み修理の検証をしたいと思います。

(Res:3250)Re:富士通ゼネラル製エアコン シリアル通信異常

投稿者:63H

すごいですね・・パワーエレクトニクスの設計の方でしたっけ?

(Res:3250)Re:富士通ゼネラル製エアコン シリアル通信異常

投稿者:dai

本当にすごいです。普通ここまではしません。

(Res:3250)Re:富士通ゼネラル製エアコン シリアル通信異常

投稿者:むっちゃん

通信異常解析のオシロスコープ波形 本業はパワエレを含む回路設計です。昔はテレビの回路図も同梱されていたので、街の修理屋さんも個々の部品交換で対応出来ましたが、今では基板Assy交換が当たり前になってしまったのが寂しいです。

ココの掲示板では、今でもTV関係は部品交換の話題が出るので愛着を感じています。パワエレでも回路さえ理解出来れば部品単品交換で修理が可能です。但し、TV同様に高電圧を扱いますので、感電事故には細心の注意が必要です。

エアコンの電気的な故障は屋外にオシロを持ち出しての検証となり、様々な制約が出てしまいます。出来れば外機・内機の基板を取り出して机上で確認・修理をするとスマートに対応出来ると思います。

後学の為に富士通のシリアル通信ライン波形をUPします。あくまでも私の自己判断ですのでその点を踏まえて参考にして下さい。

シリアル通信は【白線】をCOMとし【赤線】がにDATAです。DATAはAC半波の欠落で行っています。外機・内機の回路はシリアル通信とは絶縁された独立電源ですので、CH間非絶縁のオシロを入れる時には注意が必要です。又、シリアル通信自身はAC電位ですのでオシロに触って感電をしない様にして下さい。

・左上・・上が内機→外機、下が外機→内機のDATA(CPU出力)です。50mS/div
・右上・・【白線】から見た【赤線】で、外機の電源(DC280V)が入っていない時です。50mS/div
・左下・・【白線】から見た【赤線】で、正常時のシリアル通信状態です。50mS/div
上半分は内機→外機のDATAが重畳し、下半分は外機→内機のDATAが重畳しています。
・右下・・【白線】から見た【赤線】で、正常時のシリアル通信状態でこの波形のみ100mS/divです。データ更新周期は600mS程度ですので、オシロが無い場合には半波整流ダイオードを通してテスタで観測すれば(何とか)解るかも知れません。

シリアル通信異常が発生した場合、外機故障か内機故障かを切り分ける必要がありますが、上記を参考に判断が付くと思います。

富士通の通信HICは少なくとも1997年?2003年の(ひょっとしたら現行機種も?)機種に搭載されていますので、故障時のお役に立てればと思い投稿させて頂きました。

(Res:3250)Re:富士通ゼネラル製エアコン シリアル通信異常

投稿者:dai

とても参考になる情報をありがとうございます。

> オシロが無い場合には半波整流ダイオードを通してテスタで観測すれば(何とか)解るかも知れません。

この方法はエアコンのワンポイントサービスの本にも載っています。富士通ゼネラルだけのようです。半波整流ダイオードを通す代わりに、アナログテスターの交流レンジで測定できます。1と2番端子間を極性を入れ替えて2度測定します。

(Res:3250)Re:富士通ゼネラル製エアコン シリアル通信異常

投稿者:むっちゃん

管理人様、何時もお世話になっています。アナログテスターは私も好きで、回路が解っている時には重たいオシロを持ち出す前にアナログテスタで見当を付けています。

回路で何が起こっているのかを知るには便利な道具ですね。3V品ならΩレンジで(テスタ棒の極性を理解していれば)LEDも点けられますし、針の動きで色々な事が解りますね。

以前、ビーバエアコンの回路図を見た事が有りますが、通信用のDC電圧に、信号を重畳させているタイプでしたので、オシロが無いと解析は難しい様です。今後とも宜しくお願いいたします。

次の記事へ続く